ラーメン&つけ麺食べ歩き
ゼットン
(東京都 豊島区)

店名 中華そば ゼットン(ぜっとん)
住所等 東京都豊島区西池袋2-9-7 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2007年10月下旬 つけそば(中盛) 700円


〜ZETTON〜



ふうふう・・・・JR池袋駅から徒歩約15分。
住宅街の碁盤の目のような狭い路地を延々と歩く・・・・。
まるで「地図を片手に宝探し」気分ですぞ・・・・ (´Д`;) '`ァ'`ァ。






おお・・・・ついに発見、ここが噂の「ゼットン」ですか。
「目白駅」「椎名町駅」「要町駅」等からも徒歩10〜15分程のようです。
10名程の「行列」かと思ったら・・・・。






さらに店内にも10名程の待ち客が・・・。
ほぼ一時間待ち・・・さすが人気店ですなあ・・・。
店頭に木製のテラスのようなスペースがあり、そのガラス奥が製麺室。






店内の半分程は広大なウェイティングスペースとして使用。
実際の客席はカウンターのみ8席程度。
もともとはプールバーか何かだったような造りの印象。






卓上のメニュー、「並」と「中」は同額サービス。
注文は並んでいる際に聞かれました。
「つけそば」(中盛)を注文済み。










2007年10月下旬 つけそば(中盛) 700円
(この写真はクリックで拡大します)



文字通り、「小麦色」をした自家製麺・・・・
その茶色い「穀物風味」をたっぷりと堪能できる一杯。
これぞ「穀物フリーク」御用達の一品でしょう。

食べ応えのある「極太麺+濃濁スープ」でありつつも、
非常に「緻密」「精巧」な造り込みと、
味付けの「行儀良さ」「ジェントルさ」が印象的。

安易に流行の味に付和雷同することなく、
しっかりと「独自のアイデンティティ」を確立した味ですね。









一見、がっつりと「濃味&粘度」を予感させる汁ですが・・・・
旨味は極めて自然で、味のトーンも柔らかく、口当たりもスッキリ。
「甘味」はなく、「酸味」は少しあるものの、まずは「辛味」が表面を覆う感じ。
赤みがかっているのは唐辛子オイルなのかな?






うっすらと茶褐色の麺は・・・噛み締めると茶色い穀物の風味が口中に広がる。
噛み心地は強いのに「硬直」した感じがなく、「グニン、グニン・・・・」と「弾力」が豊か。
香り、舌触り、噛み心地、味わいとも・・・「穀物」本来の魅力を突き詰めた感じ。






自家製麺のアップ。
「潤いベール」に包まれたウェットで軟質な表面。
麺に全く「星」(黒点)がないですね。






重量感があり、動きは「のっそり・・・」「ゆったり・・・」とした感じ。
「プリンプリン」と弾む感じがなく、卵を多めに使った「プラスチッキー」な麺とは違う。
「独特な噛み応え」と「濃厚な穀物風味」が・・・大変強く印象に残る。






つけ汁に浸けて引き上げたところ。
付着する唐辛子片は僅かだが・・・実際は見た目以上の辛味が絡む感じ。
この辛味が「チラチラ・・・ピリピリ・・・」と最初から最後まで伴走。






最後にスープ割をして頂きました。レンゲの形もユニーク。
「豚骨」全盛のこの時代に・・・・意外にも「鶏メイン」のスープのようで、
「あっさり柔らかな旨味」に満ちた極めて上品なスープ。




2007年10月下旬 つけそば(中盛) 700円

2007月6月新規オープン、都内有数の激戦区「池袋」で注目を集める人気店。
10月にTV朝日「裸の少年」で佐野実氏がこちらのお店を自家製麺の要注目店の一つとして紹介していたのを見て訪問。こちらの店主氏は「地雷源」(杉並区)のご出身らしい。

池袋駅の西口からテクテク歩き、10分ほどもすると巨大商業地域の面影はすっかりと影を潜め、閑静な住宅街の細い路地へと入る。そこからさらに5分ほど歩くと人影が密集しているのが見えた。「ゼットン」である。
10名程度に見えた行列は、さらに店内にも10名程が並んでおり、合計20名ほど・・・・ほぼ一時間待ちコースである。店内は、製麺室の前に広めのウェイティングスペースがあり、雨の日や寒い日は重宝しそうだ。

実際の客席はカウンターのみ8席程度で、もともとはプールバーか何かだったような造りの印象。しかし、広々として窮屈な感じがないのは良いし、カウンター台も広いのでラーメンをゆったり食べ易い。席に着いて少しすると「あれ・・・・この雰囲気、どこかで体験したような・・・・」と言う感覚が頭をよぎる。漆黒に囲われたバー調の造り、そう修行先の「地雷源」(杉並区)の雰囲気である。そう言えば・・・・「地雷原」も「不如帰」も敢えて裏通りに出店している。こちらの立地もその「流儀」なのだろうか。

登場した「つけそば」・・・・自家製の極太麺を箸で一つかみした感じは、重量感があり、動きは「のっそり・・・」「ゆったり・・・」として、卵を多く使った麺に特有の「プリンプリン」と弾む感じがない。
まずは、麺を汁に浸けずにそのまま食べてみると・・・・キンキンに冷たく締めてはおらず温度は常温程度、表面がややヌルヌルと粘膜をまとったようなウェットなベールに包まれていて、すするとこの膜が潤滑剤のようになって感じられる。わずかに粘度のある「ヌッペリ・・・」とした表面のせいか、すすり心地は「ムニムニ・・・」「モニモニ・・・」と軟質で、「ツルツル、コツン」とした乾いた硬質な感じはない。

そして、麺の風味は・・・・割と「茶色っぽい」風味だ。
昨今、話題になる自家製麺のお店は、いずれも上質小麦に特有の「白っぽい」「優雅な」風味のお店が多いので、これはちょっと意外な感じがした。
だが、「ザラッ・・・」とする粒子の粗さや「ボソボソ」感が絶無で、なかなかソフィスティケイトされており、決して「野暮ったい」麺ではない。
「カンスイ臭」はほとんど感じられず、食感や風味から判断すれば、おそらくは「卵」も全く使っていないか、もし使っていたとしても極少量だろうと思う。
そのため、茶色い「小麦風味」を遮る物が一切ないと言うか・・・・より一層、「穀物」の風味が「露わ」(あらわ)になって強く感じられる。小麦粉以外の混ぜ物を徹底して排除し、麺における「穀物風味」を目一杯「ドカッ」と真正面に出して来た感じで・・・・「穀物マニア」の人に大いに喜ばれそうな濃厚な風味の麺だ。

噛んでみると・・・・「グニン、グニン・・・・」として強い噛み応えがある。
この歯応えからすれば間違いなく「強力粉」をブレンドして使っているとは思うが、しかし、よくある「がっつり」と言うのとは微妙に違い、歯応えは硬めで重厚だが、「弾性」はあり、「プラスチッキー」ではない。まるで同じ強力粉でも・・・・「硬質小麦」ではなくて、「軟質小麦」の「強力粉」を使ったような・・・・過去、あまり経験のない歯応えだ。

この「噛み応え」がこちらの麺の一番の特色のように思え、「今までありそうでなかった新食感」として大変印象が強く感じられる。おそらく数種類の銘柄をブレンドしていると思うが、一体どう言う小麦粉を使っているのか興味が湧く。
よーく噛むと、「モチモチ」して来るかと思い良く噛んでみたが、硬さが残り、「モチモチ」する粘り気はあまり出て来なかった。
この歯応えのイメージは・・・・中華麺や、ウドンや、スパゲティと言うよりも、「硬めに茹でたマカロニ」が最も近いような気がするが、どうだろうか・・・・。

ただ、麺に含まれた塩気が舌に「チリチリ・・・」と結構触って感じられ、少なからず麺に「しょっぱさ」を感じてしまう・・・・。一般に「塩」は小麦グルテンの働きを強め、麺生地のコシを強くする作用がある訳だが、この塩気のしょっぱさが、せっかくの茶色い小麦の旨味をややかき消してしまう感じがあるのはもったいない。

ちなみに・・・・小麦粉は「精製度」(外皮部分の混入割合)によって、「特等粉、一等粉、二等粉、三等粉、末粉」・・・・の五つのグレードに分けられて流通している。
価格で言えば、真っ白な「特等粉」が一番高価な訳で、とても上品な味と非常に滑らかな舌触りの麺が出来る。だが、「外皮部分」(フスマ)の多く含まれる二等粉などの方が、舌触りがザラッとして雑味も増えるものの「穀物」本来の香りや味と言う点では遥かに強く、麺に穀物らしい風味が豊かに感じられる。

「手作りパン」などでも、わざわざ「全粒粉パン」などが作られるのは、生地に強い風味があり、穀物本来の味を余すことなく楽しめるからだ。「米食」で言えば「玄米」と「白米」の違いのようなものか。
日本酒などでも、原料米の精白率が70%位の純米酒は「米の味」が豊かで口当たりに厚みがあるが、50%以下の高価な「大吟醸」クラスになると、雑味がなくなり非常に研ぎ澄まされた高貴な味になるが、同時にほとんど「米」そのものの味はしなくなってしまう。
どちらが良いかは「好み」と言う事になるのだろうが、一般にドカ盛り系のラーメンのほとんどは安くて茶色い「二等粉」を使った麺である事が多い。

さて、一方の「つけ汁」は・・・・最近の話題店の「定番」とも言える「魚粉」が混入した濃濁タイプだが、見た目の濃濁さから抱く「濃い味」や「ガツン度」を予想すると・・・・おそらく大いに「意表を突かれる」ことだろう。
先行する豚骨魚介醤油の人気店の「濃&強」な味パターンに比べると、舌に伝わる旨味は極めて自然で、全体の味のトーンが大変柔らかく、口当たりも意外なほどスッキリとしている。
油は割と浮いているが、その下の本来の汁はとにかく「柔らかな味」・・・・女性にも好かれそうな「清楚な味」である。
そのため、多大な物量や化学の力を投入した「ガツンと濃い味」を予想していた人にとっては、やや平坦でパンチの少ない味わいに感じられてしまうかも知れないが・・・・せっかくの自家製麺の豊かな穀物風味が埋もれないように、敢えて汁の味を「抑制」しているようにも思え、もともと、いわゆる「特濃系」「重量級」を狙った路線ではないのだろう。

ただし、太麺に負けないインパクトのあるつけ汁を演出するためなのか、ピリッと来る「辛味」がかなりはっきりと表面を覆っている。表面の油がやや赤みがかっているのは、ひょっとして唐辛子オイルなのだろうか?
辛味が舌に蓄積して徐々に増すのではなく、一口目からいきなり舌に触ってくる辛味であり、唐辛子による辛味なのは間違いないが、「鷹の爪」とか「ハバネロ」とか、結構辛いタイプを使っているような気がする。

もちろん決して「激辛メニュー」タイプではなく、唇や舌に「ピリリ・・・」と来る薄皮が一枚かぶった程度なのだが・・・・おそらく、全体の味のトーンが柔らかいので、さほど強くないはずの辛味が相対的に目立ってしまうのだろう。
また、砂糖などによる「甘味」はゼロで、「酸味」は少しあるようだが、ほとんど「辛味」に隠れてしまう。
ただ、甘味がないので、「辛」と「甘」の「味覚の対比」効果が生じず、最初から最後までずっと「チラチラ・・・ピリピリ・・・」と、辛味が出っ放しに感じられてしまう。

そのため、ダシを味わおうとしても、「ピリッ」とした辛味が立ちふさがって、舌の行く手をさえぎる感じがしてしまうのはもったいない。
メニューによれば「化学調味料不使用」という事だが、無化調ラーメンでよく言われる「ピントがぼやけた感じ」、「締まりのない味」、「インパクトのない味」・・・・などを払拭しようとすると、どうしても「他の何か」に頼ることになる。潤沢な素材からのダシで旨味の輪郭がはっきりと出せれば良いのだが、コストの制約がある中で、それはまさに「言うは易く、行なうは難し」だろう。となれば、「塩」や「醤油」や「唐辛子」や「揚げネギ」などを多めに入れて、味の芯や輪郭を出しているお店が多い。
こちらのお店では、キレのある「辛味」を入れる事を選んだのだろう。その代わり、無粋な「しょっぱさ」や「塩辛さ」は全く感じられなかった。
また、厨房には「魚節」類の箱が積まれていたのだが、この辛味のせいか「魚介」の味はさほど強くは感じられなかった。

チャーシューは・・・・割と大きなサイズの「サイコロ」のような立方体の形をしており、チャーシューとしては珍しい形状である。
食べてみると、柔らかくて肉汁もタップリ内包されており、とても美味しい。もし「硬い」と真四角の肉は噛むのに難儀しそうだが、ホックリと柔らかいので問題はないし、むしろ立方体ならではの「厚み」「容積」がある事で、その内側に多めの肉汁が「キープ」されており、噛み砕くほどに旨味があふれ出す。普通の薄いチャーシューが「焼肉」だとしたら、こちらはちょうど「角切りステーキ」を食べるような感覚だろうか。

メンマは大き目の「材木切り」といえば良いのか・・・・大きいが薄い「短冊型」ではなく、縦15×横15ミリ角ほどの「角柱型」であり、これまた・・・・珍しい形状。
三本入っていたが、これも硬いと大変そうな形状だが、しっかりと柔らかめに仕上がっていて、味付けも行儀良く絶妙で、かなり美味しい。
ただ、粗い繊維によるザックリとする柔らかさではなく、非常に肌理の細かいシルキーで滑らかな柔らかさは・・・・あまり「竹」らしさを感じさせない食感であり、「メンマ」特有の醗酵臭も感じられず・・・・他ではあまりお目にかかれない新感覚のメンマである。

また、麺に乗って来る大きな海苔は、大きいのは嬉しいがサイズ的にちょっと食べづらいと思う。なぜならラーメンなら熱々スープに浸してすぐ溶けて柔らかくなるが、つけ麺の冷めた小さなつけ汁の器の中では、このサイズは結構持て余すのだ。できれば真ん中から切って二分割して乗せて欲しい気がする。

麺を食べ尽くし・・・・スープ割をお願いすると、何とも「上品」で「優しい」スープが注がれる。
魚が「グワワッ」と押し寄せるとか、豚骨が「ガツンッ」と出ているとか・・・・そう言う「ドッカンパワー」系のスープではなく、意外なほど、柔らかく、軽く・・・・独特なミルキー感を持つ動物性の旨味である。
「豚骨」全盛のこの時代・・・・当然、こちらも豚骨メインなのだろうと思っていたが・・・・後日、ラーメン本で知った限りではどうやら「鶏メイン」でスープを構成しているらしい。どこかしら甘くない「練乳」のような・・・・子供の頃に食べた「不二家ミルキー」や「千歳飴」から甘味を抜いたような味を連想させられ、臭みや荒さが全くなく、非常に柔らかで上品な円い味である。

ただ、ここでもまだ「辛味」がやや残っていて、じっくりとスープの旨味を堪能しよう、追いかけよう・・・・とする舌の行方を遮るような感じがある。
ともかく、この「辛味」が「表層」「表面」に出ている印象のスープで、なかなかその「先」や「奥」を見せてくれようとしない印象があり、ジレンマを感じるが、果たしてこの辛味の出方が「お店の狙い通り」なのか、それとも今回たまたまの「ブレ」なのかは判らない。

食べ終えての感想としては・・・・茶色い小麦粉が「ドカッ」と腹に入った感じがあり、口中にも多少の小麦の粉っぽさが残る。
ただ、見た目が「極太麺+濃濁スープ」とは言え、全体的に造りの荒っぽさや豪快さではなく、そこここに「緻密」な造り込みと「気品」を感じさせ、味付けの「行儀の良さ」「紳士っぽさ」が目立って印象に残った。この辺りから、やはり「地雷源」出身と言うニュアンス、その影響がとても強く感じられる気がする。
改めて思い返すと、自家製の極太麺にも「荒々しさ」や「粗雑さ」と言うものが微塵も感じられず、茶色い「穀物風味」をたっぷりと堪能できながら、決して古臭さや野暮ったさがない。とても「ジェントル」と言うか、すこぶる「丁寧」と言うか、現代的に「洗練」されている印象を受ける。

世間では「濃厚ブーム」の嵐が吹き荒れているが、安易に流行の味に付和雷同することなく、今まであまりなかった「がっつり感」と「上品さ」の両立と言う独自路線を狙っているイメージだ。
特に「自家製麺」は・・・・今まで食べた、どこのお店とも異なる麺と言うか、着眼点が鋭いと言うか・・・・自家製にする以上、ぜひ「今までにない麺を・・・・」と考えてレシピを研究している感じであり、つけ汁や具なども含め・・・・「自分だけの味造り」「独自のアイデンティティ」に情熱を燃やしている印象を受けた。

ちなみに、こちらのお店の立地の不便さが話題となる事が多いようだが、帰り道に周囲を少し散策してみると、この周辺一帯はまるで「第一種低層住居専用地域」かと思えるほど、商店や飲食店が少ない。その割に、マンションは多く、実際には結構人通りがあるし、一万数千人を超す学生が通う立教大学のすぐ裏手と言う事も考慮すると、人気化すれば安定して結構な客足が期待できる場所だと思う。
店主氏は「物件選び」にもなかなか目の付け所が優れているように感じられる。


(麺は完食。スープ割も完飲。)









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