ラーメン&つけ麺食べ歩き
よし丸
(埼玉県 鶴ヶ島市)

店名 よし丸(よしまる)
住所等 埼玉県鶴ヶ島市南町3-1-12 【地図表示】
禁煙 タバコ分煙(混雑時は禁煙)
訪問日 2004年4月下旬 豚骨ラーメン 600円 
           よし丸ラーメン 700円 
           和風ラーメン 600円
 
2006年8月下旬 よし丸ラーメン 700円
           つけそば 600円



〜よし丸 その1〜



到着しました。
黄色の看板が目立ちますな。
裏手が駐車場になっています。






ノレンも黄色です。
顔のトレードマークが目印。






食券制です。
ほう、結構バリェーションが豊かですな。
かなーり、迷ったすえに
豚骨、よし丸、和風、の3つのラーメンを購入。






ご夫婦とおぼしきお二人で切り盛り。
お互いを信頼しつつ、阿吽の呼吸で調理を
進めてゆくさまは非常に好印象。
お二人の姿勢に大きな共感を覚えます。















2004年4月下旬 豚骨ラーメン 600円
(この写真はクリックで拡大します)



この濃厚さは「一線」を越えている。
豚の頭なども炊き込んだような、物凄い濃密な「コク」。

こういう、舌ではなく、食べ手の脳髄に直接アタックしてくる深ーい味は、
骨や肉だけでは決して出ないんですよね。

普段口にする豚骨のコクとは全く「別種」のコク。
こ、これは・・・ハマる人が続出でせう。









【動画】(約2.2MB)

「よし丸」の麺上げ&盛付けシーン。

いやー、本当に「真摯に」調理してくれますな。
こちらも姿勢を正して頂きたくなります。

本当に、お二人の調理ぶりを
いつまでも見ていたい気分です。




2004年4月下旬 豚骨ラーメン 600円 

埼玉県西部では屈指の人気を誇るお店らしい。都内にいてもその「名声」はつとに聞こえて来る。
お店は閑静なちょっとした並木道に面している。ご夫婦とおぼしきお二人で営まれている。メニューも豊富にそろっている。

作るところを見ていたら、このラーメンだけ、調理の最後に「チャッチャッ」と背脂を振り掛けていた。
ラーメンを目の前に出された瞬間から、スープは多少はっきりと豚の臭みはある。背脂が散らされラードの層も厚めで、見るからに量感のある濃厚そうなスープ。
一口スープを飲んでみると、その直後、もの凄い「豚の濃厚な味」が脳天を突き抜ける。まるで舌を翻弄するような、複雑で、クセのある、深い深いコク、私の脳幹のあたりがこの味に反応したように、ジンワリと熱くなって来る。

おそらくは、豚の頭の脳味噌から出ていると思われる「えも言われぬ」もの凄い複雑で深い深い味わい。豚骨や背骨では到底出せない一線を越えた味・・・・。豚の頭を使うと、エンドルフィンとか、ドーパミンとか、そう言った脳内ホルモンがスープに混じる事でこう言った「別物」の味が出るのだろうか・・・・。
コクはコクだが、普段口にする豚のコクとは全く「別種」のコク。ただただ驚嘆するインパクトのあるスープだ。

ここまで「豚」という素材を大胆に上手に使い切っているスープは、九州本場の博多豚骨ラーメンの老舗店などには多いようだが、関東では珍しいと思う。
しかし、濃厚ではあるが変なくどさはなく、むしろ「サラサラ」している印象さえ感じる。これはおそらく新鮮で良質な材料だけを使うとともに、塩分や化学調味料を控えているからだろう。

麺は丸太でよじれているタイプ、濃厚なスープをよくからめて食べると、モチモチと絶妙な弾力があってビロードのような柔らかい滑らかな舌触り。
しかし、コシもしっかりとあり、舌にまとわり付くような食感がやみつきになる絶賛の出来栄え。舌の動きに合わせてまるで生きているかのように、モチモチとからみ付き、ムッチリとまとわり付いてくる。
多加水の麺が好きな人にはたまらない食感だと思う。濃厚スープのため良く判らないが、おそらく麺そのものに甘味も結構あるように思える。
絶品スープにばかり目が奪われがちだが、この「麺」の出来栄えも出色の素晴らしさだ。

チャーシューはバラ肉、脂身が半分近くあるが、しっとりとした食味で臭みもなくなかなか良い肉質だと思う。
玉子半分が入るが、プルンとした軽快な食感と、味付けされていない淡白さが、濃厚スープの口直しにぴったりだと思う。メンマはシャクシャク歯応えが軽快で、やはりこの濃厚スープの絶妙な箸休めになっている。

全体を通して、文句なくおいしい。これだけのスープを作るのは並大抵の事ではないはず。
食べ終わってからも、かなり長時間、このスープからの「メッセージ」が、私の脳下垂体のあたりに、じわじわと届き続けていた。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)




↓続きあり






〜よし丸 その2〜










同上日 よし丸ラーメン 700円



「よし丸」の店名を冠したラーメンです。
非常に濃い豚と、非常に濃い魚出汁のダブルスープ。
お互い一歩も譲らぬ両雄の「頂上決戦」という感じ。

横綱同士の優勝争いのような大迫力です。
とても美味しいですが、インパクトも強大。



同上日 よし丸ラーメン 700円 

こちらの店名のついた「よしまるラーメン」。麺と具は「豚骨ラーメン」と同じ。
登場したラーメンはまるで味噌ラーメンのように濃いこげ茶色にスープが濁り、割と魚粉が混じっているのが見える。ラードもかなり厚く浮いている。

一口スープを飲んでみると、遠慮なくドスンッと舌の中央に乗って、そのまま、まるで動こうとしない超濃厚スープ。その濃厚さの正体は・・・非常に濃い豚の出汁と非常に濃い魚出汁のダブルスープのようである。
それぞれが横綱級の「大物」という感じなので、二者がそろうとほとんど他店スープの倍近い濃度を感じる。また、この「両者」の比率が素晴らしい。まさに、どちらも多すぎず少なすぎず、ブレンド比率の絶妙なピンポイントを探り当てている感じだ。
これは到底、一朝一夕でなせる業ではないだろう。

豚と魚がスクラムを組んだ熱々のスープは、トロリとした表面のラードが加わって、舌にグングン、ビンビンと猛烈な旨味の総攻撃を仕掛けてくる。これらの濃厚な旨味は、非常にライブ感のあるダイレクトなもので、途切れる事がなく、ちょっと舌が忙しすぎる位に感じるほどのインパクト。
濃厚さやインパクトというと、普通のお店なら化学調味料や固形ポークブイヨン等をたっぷり使うところだと思うが、こちらはそのような「あざとい旨味」ではなく、あくまで本物の動物素材や魚介類から「取り出した」旨味である。
後半になると、多少魚節系が勝っているようにも感じられたが、おそらくスープの底のほうに沈んでいた魚粉がダイレクトに舌に触るようになったためだと思う。連食なのであまりスープを飲めないのが残念。

それにしても、よし丸の魅力はラーメンだけではないと感じる・・・。
それは、もくもくとラーメンを茹で、スープを注ぎ、具を盛り付け、配膳してくれるご夫婦(?)お二人の、謙虚で寡黙な調理振りである。
本当に「心を込めて」「全力で」調理をしていることが、見ているだけでもひしひしと、深く、そして確実に伝わってくる。その調理中の「背中」が、静かに語りかけてくる。「精一杯おいしいものを出したい」と。
言葉を交わした訳でもないのに、尊敬に値する人間性を感じてしまうのである。
いろいろ、あちこち、ラーメンを食べ歩いてはいるが、こういう経験はあまりない。埼玉の「名店」ここにありと思う。


(麺は完食。スープは6割飲んだ。)




↓続きあり






〜よし丸 その3〜










同上日 和風ラーメン 600円



先の強烈な二品と比較すると、ホッとする味 (´Д`)
あっさり好きの人で、よし丸のクオリティを味わいたい人には好かれそう。

比較的スープが「静か」なので、
モチモチした麺の美味さが際立ちますな。



同上日 和風ラーメン 600円

最後は「和風ラーメン」。
麺や具は「よし丸ラーメン」や「豚骨ラーメン」と同じだが、こちらのスープは「豚」が随分と控えめになっており、よし丸としてはかなり穏やかなラーメンを目指した印象だ。

また、「和風」という事なので、思い切りカツオ節や煮干が香るのかと思ったが、意外にこれら魚系も控えめで、魚粉も入らないので、むしろ「よし丸ラーメン」よりもかなり魚系自体も控えめであった。
すべての味が穏やかにまとまっているので、やはり先の二品と比べるとホッとはするものの、逆にこちらのお店らしいインパクトを期待すると、ちょっと「物足りない」とか、やや「不完全燃焼」という感じはある。
先の二品が、圧倒的な「動」のスープだったので、こちらのスープは比較的「静」のスープという印象。
インパクト系ではなく、落ち着いたラーメンがしみじみ食べたいという時にはベストチョイスかも知れない。とは言え、ラードの量は相変わらず多めであり、それなりの重さはある。

また、スープが大人しめな分、麺の美味しさが判りやすく、一層その素性の良さが伝わってくる。このモチモチ感が際立つ麺なら「つけそば」で食べてみるとさらに美味しいように思える。
次回は、ぜひ「つけそば」にチャレンジしてみたい。


(麺は完食。スープは4割飲んだ。)




↓続きあり






〜よし丸 その4〜



ほぼ、二年半ぶりの再訪問。
店頭には相変わらず並木が豊かに茂っておりますた。






相変わらず、実にさりげない、飾り気のない店構え。
黄色のヒサシに、黄色のノレンが映えます。






店内右端に置かれた券売機です。
二年半の間も、特にメニューには変化はなかったようですな。
定番の「よし丸ラーメン」と、宿題だった「つけそば」を購入。






厨房に貼られたメニューの解説。
「よし丸キャラ」が店頭のヒサシの絵と
ビミョーに違うような・・・?






営業時間と定休日の案内。










2006年8月下旬 よし丸ラーメン 700円
(この写真はクリックで拡大します)



「噛む」。「喰う」。「すする」。

この「食の原点」「本能行動」とも言える三点を、
とことん心ゆくまで堪能させてくれる、
これぞ、男の中の男のラーメン・・・・でしょう。

しかも、どれだけがっつり喰っても・・・・後味が実に爽やか。
味の円熟感と、無化調を確信させられる
「後味のすっきり感」「味離れの良さ」が実に印象的。









今回のスープは意外に豚臭くなく、すっきり洗練されている印象。
「豚頭」を使ったようなディープな匂いやパンチはあまり感じられませんでした。
逆にカツオ節が強めに「バシイッ」と効きすぎ、やや浮いた感じも・・・・。






今回の麺は、前回よりも明らかに「硬め」寄りのチューニングに感じられます。
ムッチリとした多加水麺に特有の優しさ、ソフトな風合いを持ちながら、
「どっしり」とした量感と、「がっつり」した噛み応えを両立。




2006年8月下旬 よし丸ラーメン 700円

埼玉県西部の「雄」、人気の「よし丸」をほぼ二年半ぶりに再訪問。
二年半を経ても、店構えやメニューには大きな変化は見て取れなかったが、久しぶりに見る店主さんは・・・・かなり体重が増えたのでは?と感じられた。
また、前回は、店内に「豚頭」系の匂いが強めに漂っていたが、今回は随分と匂いが大人しくなったように感じられた。ただ、スープの仕込みのタイミング次第で店内の匂いも激変するだろうから、これはたまたまの事かも知れない。

登場したラーメンは、黄色の器からして、思い切り「アツアツ」でびっくりしてしまった。調理の様子は見られなかったが、これはかなり高温で器を湯煎している熱さだ。
当然、スープもかなりのアツアツぶりなので、良く冷ましてから一口飲んでみた・・・・。
前回と比較すると、スープは意外に豚臭くなく、随分と洗練されていると言うか、「豚頭」を使ったようなディープな匂いやパンチはあまり感じられなかった。
逆にカツオ節が効きすぎていて、ちょっとあざとい味わいに感じられてしまう。最初からカツオが強めに「バシイッ」と効いてしまい、器全体の中で、一人だけ「浮いて」感じられてしまうのだ。

前回のような・・・・舌の上でまるで動こうとしない超濃厚スープ、舌にグングン、ビンビンと猛烈な旨味の総攻撃を仕掛けてくるかのような・・・・ほとんど他店スープの倍近い濃度を感じたスープから比較すると、今回は動物系の旨味やコクが穏やかで、「グイグイ」と押して来る感じが控えめである。
また、味にエッジが立たないと言うか、円いと言うか・・・・まさしく「無化調」であるがゆえの「味の大人しさ」「旨味の穏やかさ」が感じられる。前回は、良く判らなかったが、今回のスープは、かなりはっきりと「無化調」である事が明らかな味わいだ。

一方の自家製麺は・・・・・前回のビロードのような柔らかい滑らかな舌触りと「モチモチ」とした絶妙な弾力のある豊かなコシ、そして、歯に「モチ肌」のようにからみ付き、舌に「ムッチリ」とまとわり付いてくるような食感が長らく忘れられなかったのだが・・・・・今回の麺は、前回よりも明らかに「硬め」の歯応えに感じられた。
そのため、せっかくの美点と思っていた「モチモチ」とした絶妙な弾力のある豊かなコシや、舌に「ムッチリ」と絡み付き、まとわり付いてくるような「モチ肌」的感触は影を潜め、代わりに、「どっしり」としたヘヴィなすすり心地と、「がっつり」としたストロングな噛み応えがメインに感じられる。

うむむ・・・・「よし丸よ、お前もか・・・・」である。
おそらくは、よほど頻繁に客から「麺硬め」を依頼されたのだろう・・・・。その結果、この二年半で、徐々に「硬め」の茹で加減がスタンダードになってしまったものと推察する。
また、硬さのせいかどうか・・・・以前よりやや太めになったような気もする。ただ、決して生煮えではなく、しっかりと完全に茹で上がった中での「硬め」をキープしているのはさすがだと思う。

まあ、こう言う「がっつり」系だから「男達」が集まって来るのだろう。
実際、「ツルツル・・・サクサク・・・スルリ・・・」とほとんど噛まずに食べられる軽い食感やノドゴシではなく、この太麺の「ガッツガツ、ハグハグハグハグ、ハグハグハグハグ・・・・ゴックン・・・・」と、まさしく「噛む喜び」「噛み砕く楽しさ」・・・まさに「喰らう」と言う感覚に、ちょっとした「興奮」を覚えてしまう。

しかも、それでいて、カンスイによって胃がキリキリ痛むとか、胃の中で硬い麺同士がゴツゴツぶつかるとか・・・・そう言う感覚が絶無なのは、何より特筆されるべき美点であろう。
加水率の高さもあると思うが素晴らしく消化の良さそうな麺であり、カンスイ感や添加物感がなく、お腹にはまったくもたれず、むしろ優しさとソフトさだけがお腹に残っている感じがある体に優しい麺なのだ。

具の中では、チャーシューが出色の出来栄えである。肉の旨味が満載で、トロッ・・・ととろける美味しさが高ポイントであった。
茹で玉子に味付けがされていないのは、濃厚なスープの口直しの役目なのだと思う。

ただ、実は今回二名で訪問したのだが、同行者の注文した「よし丸ラーメン大盛」を途中で少しもらったところ、同じ「よし丸ラーメン」とは思えないほどに、魚ダシがかなり薄かった。普通盛りと同じ和風スープの量を入れて、豚骨スープのみ増やして大盛りとしているのだろうか?

食べ終えての感想としては・・・・・「麺」が硬めになってしまったのは時代の趨勢で仕方ないのかも知れないが、個人的には以前の舌に「ムッチリ」と絡み付き、まとわり付いてくる「モチ肌」的なムッチリ麺の美味しさが忘れられない。
また、二年半前のスープは、舌ではなく、食べ手の脳髄に直接アタックしてくる深ーい味であり、濃厚な旨味のスープに感服してしまったが、今回は、味の円熟感と、無化調を確信させられる「後味のすっきり感」「味離れの良さ」が特に印象的だった。


(麺は完食。スープは6割飲んだ。)




↓続きあり






〜よし丸 その5〜










同上日 つけそば 600円
(この写真はクリックで拡大します)



麺皿がデカッ・・・・。

柔らかな「モチ肌」を持つ太麺は、「がっつり」と「モッチリ」が見事に同居する食味。
ほぼ「打ち立て」と言う印象の・・・・素晴らしく消化の良さそうな麺です。

和風のつけ汁には、「カツオ節」がたっぷりと効いていて、
ワラワラと賑やかに味がやって来るものの、
「麺」の存在感に比較して、やや「つけ汁」が弱い印象・・・・かな。

もう少し汁皿が深い方が良いような気も・・・・。









つけ汁は、「トロリ」とするゼラチン感が少なく、透明感があり、「サラサラ・・・」としたタイプ。
カツオ節と塩分が「ビシィッ」と効いていて、味を引き締めています。
「甘・辛・酸」などでいじった味ではないですな。
つけ汁にはサイコロ状に切られたチャーシューが入れられております。






ラーメンの麺よりも一回り太い「つけそば」の麺。
表面はツルツル系ではなく、「モチモチ」と粘りがあり、柔らかな「モチ肌」のような感触。
噛み締めると「ムッチン」とゆっくりと粘り、がっつりとした「厚み」を感じる。




同上日 つけそば 600円

「つけそば」の食券は「つけそば/塩つけそば」と書かれており、醤油味と塩味のどちらかを指定する形になっているので、「醤油」を指定した。
二年半前に訪問した時に、こちらのお店の「モチモチ」と舌に絡み付くような自家製麺の美味しさに感嘆し、ぜひ次回は「つけ麺」をと思っていた。
しかし、ラーメンを食べた限りでは、この二年半の間にどうやら「麺硬め」方向へシフトしたようで、大いなる期待と若干の不安が交錯する中、いよいよ「つけそば」が登場した。

その「つけそば」は、非常に大きな麺皿で登場した。
まずは、汁に浸けず、麺をそのまま食べてみると・・・・つけそばの「麺」は、ラーメンの麺よりも一回り太いものが使われている。
表面はよくあるツルツル系ではなく、やや溶けかかったようになっていて、「モチモチ」とおモチのような粘りがあり、ちょっと「うどん」のような食味にも感じられる。
柔らかな「モチ肌」のような感触だが、すすっても「モソモソ」として、動きがゆっくりである。やはり意図的に硬めに茹で上げてあるようで、噛み締めると「ムッチリ・・・」とゆっくりと粘る感じがあり、がっつりとした「厚み」を感じて、なかなか噛み応えがある。
つまり、単に太くて硬いのではなく、「どっしり+がっつり」と同時に「モッチリ・・・」としたモチ肌のソフトな風合いを併せ持つ、類まれなる麺だと思う。
カンスイ臭さや金っ気が絶無で、上質な小麦粉の良い風味だけを凝縮したような清々しい香りが漂う。

そして、「アシ」が非常に長くて、麺が縦方向に「プニプニ」と良く伸び、噛み切るときも決して「プツッ」と簡単には切れず、「ムチムチ」「ムッチン」と粘り切れるような食感がある。
この食感からすると・・・・ほとんど熟成させず、打ってからすぐに出している印象の麺だ。ただ、「土三寒六」の真夏のせいか、麺だけを食べると、麺からややしょっぱめの塩気を感じてしまうのが気になった。

つけ汁は、動物性が少なく、和風出汁がメインとなっている。そのため、見た目も味わいにも透明感があり、「トロリ」とするゼラチン感が少なく、「サラサラ・・・」としている。
麺を浸けて食べてみると、「魚節」がたっぷりと効いていて、ワラワラと賑やかに味がやって来るが、同時に塩分も「ビシィッ」としょっぱめに効いていて、味を引き締めている。つけ汁の常套手段である「甘味、辛味、酸味」などの後付け調味がほとんど感じられないのは随分と潔い。
サイコロ状に切られたチャーシューが入れられているが、ラーメンのふっくらしたチャーシューとは異なり、フライパンで焼かれているのか焦げ目が付き、肉が締まっていて、やや硬めの歯応えになっていた。

ただ、麺をつけ汁に浸けながら食べていると・・・・どこかしら「アンバランス」に感じられてしまう面がある。
数口食べて、その理由が判ったのだが、「麺」の量感や食感に比較して、やや「つけ汁」が弱い印象なのだ。あっさりとして、シンプルな味の構成なのに加え、ゼラチン成分が少ないので、汁があまり麺にからまないと言う事もある。
さらに、汁皿が浅過ぎて(小さ過ぎて)、麺を浸けても頭が出てしまい、双方の「サイズ」が合っていない気がする。
そのため、特に後半になって汁が減って来ると、一層、汁が麺を受け止め切れていないジレンマの印象を持ってしまう。

ちなみに後で知ったのだが、メニューにある「特つけそば」は具が増えるタイプかと思っていたが、そうではなく、どうやら「和風ダシ+豚骨」のつけ汁になり、辛味噌ペーストも添えられるようだ。「つけ汁」が補強される分、太麺とのバランス的には「特つけそば」の方が良好かも知れない。

個人的には、こちらのお店では「つけそば」よりも「ラーメン」の方が好みに合うようだ。
それにしても、こちらの客層を見ていると、前回の訪問時も客は全員男ばかりだったが、今回も全員が男で、しかも20代位の食べ盛りの男達がほとんどである。
しかし、その理由は、こちらのラーメンを食べてみれば自ずと判ろうと言うものだ。

こちらのラーメンは、「噛む」、「喰う」、「すする」・・・・この「食の原点」「本能行動」とも言えるこの三点を、とことん心ゆくまで堪能させてくれる。そういう「本能的なモノ」を満たす魅力を持った麺であり、スープであり、食べ終えれば、腹をかかえて「喰ったー」と言う満足感、達成感、征服感・・・・に全身が心地良く包まれる。
これぞ、まさしく「男の中の男のラーメン」と言う印象だ。
しかも、どれだけがっつり喰っても・・・・舌に味が残ったり、食べ手の体調を変化させるような事がなく、後味が実に「健やか&爽やか」なのは素晴らしい。


(麺は完食。スープ割はせず。)










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