ラーメン&つけ麺食べ歩き
若月
(東京都 新宿区)

店名 らーめん 若月(わかつき)
住所等 東京都新宿区西新宿1-2-7 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2004年11月上旬 ラーメン(並) 400円 



〜手打ちラーメン 若月〜

(各写真はクリックで拡大します)




新宿名物「思い出横丁」です。
東京一のビッグターミナルJR新宿駅から
徒歩1分とは到底思えない何ともレトロ感満載の一画。
ぜひ100年後もこのままの姿でいて欲しいですな・・。






思ひ出横丁を入り、右左から聞こえてくる
サラリーマン諸氏の楽しそうなご歓談の声をBGMに、
約30秒程で「若月」の提灯を発見。






ちょっと通り過ぎた位置。
道が狭いっス・・。






店内はカウンターのみ。
やはりお酒を飲んでいる客が多いですな。
女将さんが調理を担当。
麺茹では意外に時間がかかります。






メニューです。
ラーメン(並)を注文。
塩、味噌、パイタン(白湯)ラーメンまであります。










2004年11月上旬 ラーメン(並) 400円



いやー、びっくりです。
これほどの美味スープ・・・・都内でも珍しいでしょう。
トリガラ、豚骨が素晴らしくワイルドに自身の魅力を「ぶつけて」来ますな。
ビンビンと伝わって来るその荒削りな魅力と腕力で、
強引にねじ伏せられる気分・・。

相当な量のガラを使っている「本物」の味ですね。
酔った口に、しっかりピントを合わせた手打ち麺や具も実に見事。









うーん・・・こりゃうまい。美味すぎる。
トリガラと豚骨が、めいっぱい強烈に自己主張して来ます。
人工的な味もなく、実に素晴らしい「ワイルド・テイスト」。
まさに「アニマル」を「喰っている」感覚・・・。
どこへ出しても「通じる」美味。






ゆるやかな平打ち縮れの手打ち麺です。
「ユルリ」とする柔らかいコシと、縮れて「プルプル」主張する口当たりは
お酒でアゴの力のゆるんだ「口」に、実に見事なほどに
「ピッッッタリ」と照準を合わせた食味。




2004年11月上旬 ラーメン(並) 400円 

戦後まもなくからこの「思い出横丁」で営業しているお店らしい。
実は「思い出横丁」自体は、随分通っているが、若月へ入るのは初めて。店頭には「自家製手打ちらーめん400円」と看板が出ている。店内はカウンターのみで、お店の奥が仕込みスペースになっているようだ。
調理は気骨のありそうな女将さんが担当していた。意外に麺茹でが長い。たまたまなのか他の客は「焼きそば」を注文する人が多かった。

登場したラーメンは、「ビジュアル」という点では、やはり価格相応という気がしたが、何気なくスープを一口飲んでみて、その凄まじいほどのパンチ力に、まさに「ぶったまげて」しまった。
最初の一口は、「うわー、鶏だなぁ」「鶏だ、トリ!」と言う感じで、いわゆる伝統的な中華そばのトリガラ・テイストを感じたが、その数秒後にもう一押し、ズンズンと豚骨の分厚くワイルドな風味が突き上げてくる。この豚骨が、おそらく意図的に「豚臭さ」「ワイルドさ」が強烈に出ていて、「こんなに出しちゃっていいの?」と、ちょっと躊躇してしまうであろう位の、まさに「むき出し」の「アニマル・テイスト」、実に強烈な味わいだ。

色々ラーメンを食べ歩いていても、これほど、ダイレクトな「鶏」「豚」を感じる事は少ない。まさに、遠慮なく鶏や豚の特有の臭みが「ぶつかって来る」感じであるが、その辺がいかにも「戦後」直後の創業っぽいというか、この「思い出横丁」の雰囲気にマッチしているというか、この「荒削り」っぽさが逆に非常に「新鮮」に感じられる。何と言うか小賢しさがなく、真摯な味なのだ。
価格から考えれば、化学調味料などをどっさり使ったチープなラーメンを想像するところであるが、実際には、人工的な味がまるで感じられず、まさに「動物尽くし」という、濃厚でナチュラルな旨味が隙間なく連続している。しかも「出来立て」と言う感じで、実に「フレッシュ」で「ビビッド」な味わいなのだ。おそらく動物系だけではなく、煮干なども使っているのかも知れないが、今回たまたまなのか、あまり感じる事はできなかった。

正直言えば、「ガラ」自体はそれほど原価が高い訳ではなく、単に下処理や仕込みの手間と大量のゴミ処理が大変なだけであると思う。そういう意味では、こちらはそういった「手間」を省略せず、大量のガラを使いこなすことで、これだけの「本物」スープを、400円と言う低価格で日常的に提供しているのであるから、いずれのお店も屋台的な低価格で頑張っている「思い出横丁」のお店であればこその、実に「善意」と「決意」に満ちた経営である。
はっきり言って、都内の700〜800円の有名店のラーメンと比較しても、そのほとんどのお店のスープを凌駕する実に美味しいレベルの高い「本物」スープだと思う。
なぜかこちらのお店は、「自家製麺」ばかりが話題になっているようだが、このスープにこそ、こちらのお店の真価があるような気がしてならない。

また、その手打ちの麺であるが、これが何とも「個性的」な麺で、他店の麺とは明らかに目指しているものが異なる印象だ。一言で言えば、「酔客の良き理解者(ベストパートナー)」と言う感じの麺。
短めでウェーブしたその麺は、特段に力を入れずとも、すすると、「ユルリ」といつの間にか口の中に入っていて、噛み締めるでもなく、飲み込むでもなく、あまりそういった意識的動作を必要とせず、口に入れているだけで、数秒後には知らぬ間に喉の奥へ、胃の中へと移動してしまっている。何と言うか「酒に酔った」状態で、ちょっと口元のゆるんだ状態、咀嚼を面倒に感じる状態、ロレツの回らない状態、を想定しているかのような、食べ手に負担をかけない「ゆるやかさ」がある。

しかも、絶妙なウェーブが付いているので、すすったときや飲み込むときにもその角が「プルプル」と唇や舌や喉に当たり、ゆるやかながらも、実に「麺を食べている」という自覚をしっかりと促してくれるのだ。
ちょっと全体に短めなのも、「すすり切り易さ」を考慮しているのだろう。なんとも計算されつくした実に巧みな食味だ。
まさに、飲んで、食って、ホロ酔い気分での・・・「締めの一杯」に焦点を合わせた構成である。先のスープが、ワイルドなほどに強烈にダシが出ていたのも、まさに酔った口にもしっかりと味が伝わるようにと、配慮してのことなのだろう。

メンマは、絶妙な繊維感があり、軽妙な歯応えと、しっかりした味付けでなかなか美味しい。海苔は通常サイズの半分ほどにちぎられているのが、何とも微笑ましい。肩ロース?と思われる小さなチャーシューは、しっかりと味付けされて、臭みもなく美味だが、やはり価格相応の大きさ。いや、むしろ価格相応というよりも、おそらく、飲んで食べた後の「締め」のラーメンと言うことで、具の量なども胃腸の負担とならないよう意図的に控えられているのではないかと思えてしまう。

これでもう少しカツオ節や煮干などの魚風味が強く出ていれば、ズンズンと突き上げてくる強烈なダシの旨味と、ユルリとした手打ち麺のコンビネーションは、先月食べた「平野屋支店」(群馬県・館林市)のラーメンと、味、レベルともに、なかなか近いものがある気がする。
並盛だと麺の量はさすがに多くはないが、大盛りでも500円だし、チャシュウメンにしても580円なのだから・・・このまるで戦後の混沌と荒々しさを連想する「ワイルド・テイスト」のスープと低価格ワールドを、ぜひ再度堪能してみたいものだ。
「酔った舌」にだけ、相手をさせておくには、あまりにもレベルの高すぎる見事なスープだと思う。食後も、舌や胃に残る後味の悪さが全く感じられず、あの「鮮烈」なスープの「記憶」だけが、私の脳裏に長らく残った。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)











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