ラーメン&つけ麺食べ歩き
田中屋
(福島県 白河市)

店名 味の店 田中屋(たなかや)
住所等 福島県白河市横町21 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2006年7月上旬 ワンタンメン 650円 
           味噌ラーメン 600円 




〜手打ラーメン 田中屋 その1〜



お店に到着しました。
目の前の道路を右へ真っ直ぐ行くと、徒歩約7分でJR東北本線の白河駅です。
お店の両隣に駐車場があります。






ノレンには「手打中華そば」「手打ワンタン」の文字。
手打ちラーメンのメッカ白河でも、特に「ワンタンメン」の抜群の美味しさで知られる人気店のようです。
引き戸が三つ並びますが、右手のドアがお店への入口です。






店内はテーブル席と小上がり席。
隅々まで清掃が行き届き、卓上の調味料類も充実しています。






小窓の向こう側一帯が厨房です。
多くの表彰状を始め、マスコミやタレントからの色紙や記念写真が並びます。
白河では珍しい「禁煙」「禁携帯電話」のマークも。






「ワンタンメン」と「味噌ラーメン」を注文しました。
ラーメンのボリュームや質から考えると、値段は非常に良心的ですね。
単に美味しいだけでなく、白河でも屈指の素晴らしいコストパフォーマンス。
「ホワイトラーメン」ってどんなラーメンだろう?










2006年7月上旬 ワンタンメン 650円
(この写真はクリックで拡大します)



うむむ・・・・「そ、そうだったのか」。
こ、これこそ・・・「ワンタンメンの真実」を語る味なのでしょう。

多加水でピロピロ縮れの「手打ち麺」と・・・
チュルルン&ムッチョリの極薄「手打ちワンタン」・・・

「麺」と「ワンタン」の放つ食感のコントラストと複合味が生む「未体験ゾーン」は
想像を大きく超える「美味の新境地」です。

こちらのお店のワンタンメンを食べて、初めて、
「ワンタン」+「メン」とする事の真の「意味」を悟りますた。

勉強になるなー (゚Д゚)









鶏ガラと豚骨ベースの醤油スープは、コトコト煮詰めたようなコクのある熟れた風味。
少ない油分が細かな霧雨のようになってスープ表面に拡散。
おそらく意図的に味がやや「強め」「きつめ」にチューニングされている印象。






思いっ切り強めに「手もみ」された手打ち麺は、細かったり太かったりするうえに、
表面が波打って形が一定しない不規則な形状・・・。
しかし・・・・この複雑な「形状」こそが、「手打感」を倍増させる美味しさの究極の秘訣。






ツヤツヤする瑞々しさが、いかにも「多加水」と言う感じ。
なんとも、刻々と変化する「柔肌」の醸し出す・・・「味覚のイリュージョン」です。
この口当たり、噛み応え、ノド越し・・・・すべてが「多加水」の恩恵ですね。






これがウワサの「絶品ワンタン」です。
まるで・・・羽ボウキで舌をなで回されるかの如き滑らかな食感・・・。
手打ち麺のさらに数段上を行く妖艶な「ビロード感」に「洗脳」されそうです。

さらに・・・「手打ち麺」と一緒に頬張れば・・・
手打ち麺との「相乗効果」で・・・・二種類の無類の食感が織り成す
「超絶マジック」の新世界を体験できますぞ。




2006年7月上旬 ワンタンメン 650円 

白河の中でも特に「ワンタンメン」の美味しさで知られる地元の人気店。
「手打ちラーメン」のメッカ福島県白河市は、同時に「手打ちワンタン」のメッカでもある。となれば・・・・当然のように「ワンタンメン」を出すお店も多い訳だが、事前に福島県の有名ラーメンサイトを拝見したところ、中でもこちらのお店の「ワンタン麺」を推す声が多いようなので、訪問してみた。

ちなみに都内で食べ歩いていると、大抵のワンタンは小さな皮で大きな餡を包み、完全に「具」としての扱いを受けているような気がする。
しかし、地方の老舗店へ行くと「ワンタン」は具ではなく、むしろ「麺」と同じ主食として位置付けられているようで、「皮」が薄くて大きく、「餡」は極めて小さいと言う・・・・ともかく美味しい「皮」を食べるものとして考えられているようだ。
要は「麺」も「ワンタン」も、いずれも主食としての「小麦製品」なのであり、細長く切るか、薄く平たく延ばすか、の形が異なるだけと言うイメージである。
そのため、メニューにも「ラーメン」と「ワンタン」が並列に記載され、二者択一的に、完全に同等の「主食」としての存在に扱われている事が少なくない。

入店してみると、タレントのサインや記念写真などが飾られてはいるものの、店内はいかにも地元指向と言う雰囲気で、観光客などが喜びそうな演出とは縁がないシンプルな造作である。
ご夫婦らしきお二人で営まれていたが、調理や接客は常に一生懸命な感じで、まさに「切り盛り」と言う言葉が良く似合う。それでいて温かみのある飾らないもので、まるでご近所づきあいのような・・・・日常の等身大的な良さがある。

登場したワンタンメン・・・・まずはすぐにスープの色が他店と異なることに気付いた。
他の白河ラーメンは生醤油のような「赤み」の差す色合いのスープが多いが、こちらの醤油スープはいかにも醤油が長時間「火入れ」されたような・・・・こげ茶色をしている。そして浮く油が極めて少なく、その少ない油分が細かな霧雨のようになってスープ表面に散っている。そのため、ガラや醤油の香りがホワホワ〜と周囲一帯に匂い立っている。

スープを一口飲んでみると・・・・鶏ガラと豚骨ベースの醤油スープであるが、色だけでなく、味的にも今まで食べて来た白河ラーメンとは若干、趣きを異にする印象を受けた。
醤油の鮮やかなキレや鶏ガラのフレッシュな旨味と言うよりも・・・・長時間コトコト煮詰めたような、舌にジワジワと来るコクのある熟成したような味わいがあるスープであり、どことなく「町の中華屋さん」ジャンルのラーメンスープを連想するテイストがある。
そして何と言うか、味にはあまり「透明感」がなく、その代わり「煮詰めたようなコク」がある。さらに、かなり味が濃い目で、塩分も多め、旨味も強めで、パワフルなパンチを持っている味わいであり・・・・この味付けの濃さ・・・・いわゆる「ガテン系」の味付けにも感じられる。

一方の麺は、幅や厚みが一定しない実に不規則な形状と、強い縮れ&ネジレが織り成す、手打ち麺特有の食感が美味しい。
手打ち特有の多加水さゆえに麺の口当たりがトロンとしているのだが、同時に麺のフチがノコギリ状になっていて、このフチが唇や舌を「プル、プル、プルルル・・・・」と無数にタッチしてゆく感触は「ヤミツキ」である。ただ、さほど縦に伸びる「アシ」は感じられず、おそらくはグルテンのさほど多くない中力粉をメインに使っている印象を受ける。
思いっ切り手揉みされた平打ちの縮れ麺は、舌先での動きがピロピロと速く、すするのが非常に楽しく快感だ。口中に入ってからも、この多加水麺に特有の「円い柔らかさ」、噛めばモチモチと歯に吸い付く感じが、こちらの手打ち麺の醍醐味であろう。
しかし・・・・この麺の絶妙な食感は、この後に起きる「驚愕の味覚体験」へつながる・・・・まだまだ「伏線」に過ぎなかった。

ワンタンは小さな餡に大きな薄皮の組み合わせだ。
その大きな薄い皮は、手打ちで作られたゆえに瑞々しくも、非常にデリケートで柔らかく、ややスープを吸って重く一層柔らかくなっていた。こうなるともう容易にちぎれてしまい、簡単には箸で掴み上げられないほどだ。
そうして一口食べてみれば・・・・「ツルンッ」とする硬質な皮ではなく、既にスープと同化を始めたかのような・・・・「トロントロン」、「モッチョンモッチョン」の口の中でとろけるような何とも柔らかな口当たり、そして飲み込んだ時のスルリと滑らかな喉越しが秀逸である。
そして、10円玉位の大きさに平たく圧縮された小さな餡も、いざ食べてみると肉の旨味がしっかりとしていて、生々しく風味が豊かで美味しい。

ちなみに「機械」で作ったワンタン皮は低加水で「カッチリ」としていて、このような「とろける食感」は絶対に出せない。なぜなら機械で柔らかな多加水ワンタン作ろうとすると、皮が機械のロール面にくっついたり、破れたりして、どうしても一定以上には加水を増やせないのだ。

さて、「麺」も、「ワンタン」も十分に美味しいが・・・・この時点までは、ある程度「予想の範囲内」であった。

しかし・・・・・しかし・・・・・次の一口、麺と、ワンタンを、一緒に「同時に」頬張った瞬間から、予想だにしなかった「未体験の衝撃」に襲われた。
それまでも「多加水でモチモチ柔らか」と思っていた手打麺が、さらにその数段上を行く「超多加水感」と「トロトロにとろける感じ」のワンタンと一緒に食べられる事で、「対比」の原理でお互いの食感が一層はっきりと際立ち、その持ち味を数倍に引き立てあうのだ。

なんとも、フカフカのビロードの絨毯のように広げられた「艶かしいワンタン皮の上」を、縦横無尽に、自由奔放に、実に伸び伸びと、「手打麺が泳ぐ・・・」感覚。
舌の上を刻々と交錯する「麺」と「薄皮」の醸し出す・・・・「味覚のイリュージョン」、「絶品手打コンビのショータイム」の始まりである。
「ワンタン」の平らで柔らかな食感に神経を集中すれば「麺」の複雑で長い輪郭が・・・・逆に「麺」のピロピロ速い動きに神経を研ぎ澄ませば「ワンタン」のトロけるゆったりとした動きが・・・・一層の「光彩」を放つのである。

いやはや・・・・何と言う信じ難い「美味しさ」、何と言う巧妙な「心理戦」、そして・・・・何と言う考え尽くされた「組合せの妙味」だろうか・・・・。

今回、この「対比」「コントラスト」が生み出す、異なる二つの食感が織り成す「超絶マジック・ショー」に予期せず遭遇し、「麺」と「ワンタン」を一つの器に入れて食す事の「真の意味」が初めて理解できた。「なるほど、これこそが・・・・ワンタンメンの真実を語る味」なのかと・・・・・世の中に埋もれていた真理を一つ発掘&解明したかのような・・・・大いなる感慨深い感動を得た気分である。
この「新食感」の感激を味わうには、ともかく、ワンタン単独ではなく、必ず「手打ち麺」と一緒に食べるのが、何より重要な「コツ」だと思う。

もちろん、単純にこの両者を重ねれば良いわけではなくて、お互いの食感、口当たり、歯応え、味わい・・・・に至るまで、決してバラバラであってはならない。バラバラでは決してこの絶妙なる「複合味」は誕生しないことになる。
要は、「空中ブランコ」の如く、演技する二人の息がピッッツタリと合ってこそ、このような息を飲む見事なパフォーマンスが演じられるのであり、そう言う意味では、こちらのお店の「ワンタン」と「メン」は、過去に経験のないほど、見事に「パーフェクト」な相思相愛の相性なのだろうと思う。
しかし、逆に・・・・今まで食べて来たワンタンメンは、このレベルの複合味の「領域」には到達していなかった事にもなる。
過去、あまりにも「ワンタン」+「メン」の真の意味について無知だった自分に気付き、ただ単に「漫然」と食べていた事を反省したくなる何とも複雑な心境だ。

この食感のマジックは・・・・もし例えるなら、「イチゴのショートケーキ」の仕組みに近いと思う。
ご存知のように「ショートケーキ」は柔らかなスポンジケーキの層に、淡い口当たりのホイップクリームの層を重ね、それを何段か重ね合わせて作られている。もし、スポンジケーキだけを単独で食べてみれば・・・・見た目どおり「フカフカに柔らかい」だけであり、逆にホイップクリームだけを食べてみれば・・・・やはり「トロトロ滑らかな舌触り」に過ぎない。
しかし、この両者を幾層にもサンドして一緒に食べてみると・・・・単独の時では想像し得なかった、新たなる新食感と、食感の相乗作用が発生して、「ケーキ」と言う全く別な味わいへと変化し、明らかにワンランク上の美味しさへと成長する。

スポンジケーキとホイップクリームをいつまでも別々に食べている人には、まさかその両者を「マリアージュ」させる事でこれほどの想像を超える新しい「超絶美味」(絶品ケーキ)が誕生するとは・・・・・永遠に想像さえ出来ないことだろう。
つい10分前までは、まさに私もその一人だった訳だが・・・・。
まさに、こちらのワンタンメンは、優しい手打ち麺が「スポンジケーキ」、さらにトロトロのワンタンが「ホイップクリーム」・・・・と言うイメージだろう。

ちなみに具のチャーシューは・・・・あまりフチが赤くなく、硬めのモサモサとする乾いた歯応えで旨味は淡白、メンマもやや硬めだがシャクシャクとして歯触りは良い。彩りと栄養価アップのためか、インゲンが載せられているのはいかにもご当地らしい。
ただ、スープは、特に後半になると、舌にしょっぱさが蓄積する感じで、あまり飲み進めなくなる。
これで、スープの味の濃さ、強いしょっぱささえなければ・・・・とは思えたが、「飲み干す」ことよりも、麺とワンタンを「食べさせる」ためのスープとして敢えて濃い目のチューニングがされているのだろう。

実際、私が訪問した際の印象としては、客層的にも働き盛りの男性が多く、暑い夏の最中と言うことも加味されて、むしろこの位の濃い目の味付けが歓迎されているような雰囲気が感じられた。
そう言う意味では、白河市内の人も、おそらく自分の行きつけのラーメン店というものが、ある程度決まっていると思われるが、その中でもこちらの「田中屋」へ来る人はおそらく「田中屋」以外へ行くことは極めて少ないだろうと思う。なぜなら、あっさりとして大人しく、きれいな味付けの多い「白河ラーメン」の中で、このような濃い味でパンチのある「ガテン系」の骨太ラーメンを標榜するお店はなかなか貴重な存在だと思えるのだ。
実際、メニューに、高カロリーの乳脂肪がたっぷり追加される「バターラーメン」があるのも、こちらのお店のラーメンが目指す方向性を雄弁に物語っているように感じられる。


(麺は完食。スープは3割飲んだ。)




↓続きあり






〜手打ちラーメン 田中屋 その2〜








同上日 味噌ラーメン 600円
(この写真はクリックで拡大します)



「味噌ラーメン」は、
醤油ラーメンに、さらなる輪をかけたインパクト路線。

幾重にも、何重にも、「やるべき事はすべてやった・・・」と言う
完全無欠、万全なる味の包囲網のイメージ。

食べ始めれば・・・・一切抗えず、
確実に「美味い」と思わせられてしまう実力に舌を巻く。

この味噌ラーメンにも熱心な「固定ファン」がかなり多いでしょうな。

「ニンニク入れますか?」
と尋ねられますぞ (゜∀゜*)









味噌スープはコクがあり、味も濃く、万人受けしそうな王道路線の味。
左下のクリーム色の「小山」はオロシニンニクの山でつ。
オレンジ色のラー油がかかっております。
トラッド路線のラーメンが多い白河の中でこの独創の「センス」はお見事。






おお・・・・見るからに水分をたっぷりと含んだ「多加水麺」です。
この優しい口当たりの「ピロピロ」「ムッチョリ」麺が、強大なインパクトの味噌スープを、
実に優しく大らかに受け止めて、味噌スープの味の濃さを良い塩梅に中和。
多加水のこの麺だからこそ、全体のバランスが良いのでしょう。






手打ち麺とは言え、ここまで大胆に縮れ&ねじれている麺も珍しい。
縮れとネジレ+幅や厚みの変化+多加水=ポヨポヨと唇や歯に艶かしいタッチ・フィール。
食べ進めば、迷いなく「至福」と言う言葉が脳裏に浮かん来る。




同上日 味噌ラーメン 600円 

私は普段は味噌ラーメンをあまり食べないのだが、こちらのお店に入店した際に、たまたまかも知れないが10名ほどの先客の7割ほどが「味噌ラーメン」を食べていたので、ついつい気になって味噌ラーメンもオーダーしてみた。
すると、店員さんから「ニンニクを入れても良いですか?」と尋ねられたので、「はい」と答えた。

暫しして登場した味噌ラーメンは・・・・たっぷりの野菜が浮く味噌スープに、「こんもり」とクリーム色の小山が鎮座し、オレンジ色の液体がかかっていた。
最初は何が乗っているのかと驚いたが、匂いを嗅いでみると、何と「オロシニンニクの山」にラー油がかけられたものであった。
うーむ・・・・多くのお店が同じ「あっさり醤油味」の土俵の中で競い合い、やや「右へ倣え」感のある白河ラーメンが多い中で、この独創の「センス」には見事に意表を突かれた想いである。
ちなみに、味噌ラーメンにはチャーシューは入らなくなるようだ。

まずは、ニンニクの山を避けて、味噌スープを飲んでみた。
味噌の強い味わいがきっちりと出ていて、剛速球ストレートど真ん中と言うか・・・・多くの人がイメージする最も「味噌スープ」らしい味わいに思え、味噌っぽさが全開になっている。
要は店主のこだわりで、あれこれ妙に気取ったり、変に凝ったり・・・・と言うのではなく、良い意味で万人向けのチェーン店などで研究されたかのような、誰の口にも合うであろうはっきりとした判りやすい旨味に満ちた「王道」路線の味噌スープなのだ。
コクがあり、塩気も感じるが、水分の多い野菜がたっぷりと入るせいか、意外に「あっさり」感が同居しているので、濃い目の味だが、先の醤油スープよりも優しい味わいになっていると感じられた。

次に、ニンニクとラー油をスープへ溶かし入れると、食欲をかき立てるニンニクの強い風味とラー油の辛味が加わり、それまでの「ノーマル・アスピレーション」から、いきなり「大径セラミック・ターボ」が全開で効き始めたかのような旨味の加速感に襲われ、本当に「アクセル全開」の・・・・まさしく怒涛の「直線番長」の味が現出する。
つまりは、パンチがあり、スピード感があり、旨味も豊富だが、同時に直進性の強い非常に「判りやすい味」なのだ。ひねりや謎掛けのような曖昧な部分がなく、ただただ、目に見えるとおりの味がそのまま舌の上でも展開される安心感がある。
ラーメンフリークやマニアではない普通の食べ手にとって、こう言う「リニアな」「判り易い」味わいこそが大いに歓迎されるのは間違いないだろう。

それにしても、ただでさえ味の骨太な「味噌ダレ」に加え、大量の「オロシニンニク」「野菜の旨味」「鮮烈な辛味のラー油」と言う「ツワモノ」を器の中に一堂に取り揃えているのであるから、これはもう・・・・あまりにも「万全」過ぎる味の布陣である。
食べていると、二重三重に、幾重にも、四方八方から美味しさに「包囲」されて、念入りな波状攻撃を受けてしまうような・・・・そんな感覚を受ける。
あくまで「味噌」を主役として据えつつも、見事な脇役陣を配置する事で、旨味を見事に倍増させている印象であり、実に念入りな素材の采配を感じるスープだ。
幾重にも、何重にも、「やるべき事はすべてやった・・・」と言うオールスター・キャストの完全無欠の包囲網のイメージなのだが、それでいて、多めの野菜が奏功しているのか、どこかしらに微妙に息抜きと言うか、決して「閉塞感」がないのもお見事だ。

麺は先のワンタンメンと同じ手打ち麺。
それにしてもいくら手打ち麺とは言え、ここまで大胆に縮れ&ねじれている麺も珍しい。幅や厚みも変化が激しいので、これで低加水ならすする時に唇や歯にひっかかると思うが、思いっきり多加水なので、ポヨポヨと唇や歯に艶かしく(なまめかしく)タッチして行く絶妙な食感を生み出している。ちなみに、こちらの店主さんは手打歴40年以上だそうである。
また、この優しい口当たりの「ピロピロ」「ムッチョリ」麺が、この強大なインパクトの味噌スープを、実に優しく大らかに受け止めてくれるので、麺と一緒に食べ始めると、スープの味の濃さも実にいい塩梅だ。多加水の柔和な手打ち麺だからこそ、こう言うスープと組み合わせて、全体のバランスが良いのだろう。

さらに、麺を食べ始めると、次第に器の中がかき回され、野菜の旨味がスープへ溶け出し、味噌や動物性の旨味だけでなく野菜の淡い旨味が混じって次第に優しい味わいに変化して感じられて来る。
しっかりと火の通ったモヤシは柔らかめで、手打ち麺の繊細な食感を邪魔せず、むしろ歯触りと水気を付与し、味わいに「明るさ」と「あっさり感」を生んでいる。

口の中いっぱいに、ふくよかな手打麺と柔らか野菜と味噌スープを頬張ると、これはもう一切の迷いなく、「至福」と言う言葉が脳裏に浮かんで来る。
数口食べ始めれば・・・・すぐに「大満足」と言う名のゴールゲートが、自分の真正面に見えて来る。そのまま一切抗えず、一度もハンドルを切らず、ゴールへ怒涛の一直線・・・・確実に「美味い」と思わせられてしまうのだ。
誰一人として「食べ手」を脇見させず、迷わせない・・・・そんなイメージであり、それでいて、決して強引な自己主張ばかりではなく、どこかしらフレンドリーで、気取りがなく親しみやすい味の作り・・・・とも感じられる。

そして食べ終える頃には、モリモリと全身に「活力」が漲って来る・・・・不思議な感覚がある。
美味しさだけでなく、滋味豊かな味噌とたっぷりのニンニクパワーで、疲れた体と心に、優しくもしっかりと明日への「喝」を入れてくれ、たっぷりの「エネルギー充填」が完了したかのような・・・・まさにそんな「スタミナ」満点のラーメンであり、働き盛りの男達にとってこれ以上はない「強い味方」と言う印象だ。

先のワンタンメン同様に、この味噌ラーメンにも熱心な「固定ファン」がかなり多い事だろうと思う。
独創の味噌スープの味付けに加え、美味しい手打麺の出来栄えも考えると・・・・全国どこを探しても、まず滅多に同じ味には出会えないだろうと思える。
さらに、食べ終わって会計をする時に・・・・これほどの美味しさ、インパクト、満腹感を与えてくれるラーメンにも関わらず、値段がかなり良心的である事に再び驚かされる。
価格もまた、れっきとして「地元指向」と言う事なのだろう。


(麺は完食。スープは4割飲んだ。)










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