ラーメン&つけ麺食べ歩き
染谷製麺
(東京都 練馬区)
(2005/8閉店)

店名 染谷製麺(そめやせいめん)
住所等 東京都練馬区栄町4-8 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2005年3月下旬 細麺ラーメン 550円



〜染谷製麺〜

(各写真はクリックで拡大します)




西武池袋線江古田駅の南口です。
日大芸術学部や武蔵野音大が近いせいか、
演劇系、音楽系、美術系アーティスト達の街というイメージ。






駅から徒歩1分でお店を発見。
どうやら夕方のみの営業のようです。
「技心伝承」「一子相伝」の文字が勇ましいですな。






入ってすぐ右に券売機。
メニューの番号を入力して買うタイプ。
西武線の黄色い電車が右に見えますね。
つまり、線路沿いの立地です。






メニューです。
最近リニューアルしたようですな・・。
「細麺」(11番)を購入しました。






店内はタイル貼りで明るく清潔感満点。
使われている小麦粉の袋が額入りで飾られています。
手前の袋は「かちどき製粉」のようです。






小麦の見本がオブジェ風に飾られていました。
「辛味噌入れてミソ」
( ´∀`)










2005年3月下旬 細麺 550円



うーん・・・さすがに「麺」がいいですね。
カンスイのレトロチックな食味・・・その懐かしさとともに、
卵黄をたっぷり使った豊かな現代的風味が新しさを感じさせます。

「レトロモダン」な新食感を巧みに探り当てているとともに
何より「中華麺」らしさに立ち返った感じですな。

マー油が浮くスープは旨味も油感も満載という感じです。









スープはともかく「味」がぎゅうぎゅうに詰まっている感じ・・。
最初の数口にインパクトウェイトを置いているイメージです。
その分、後半やや食べ疲れがあるかも・・?






オリジナリティにあふれた細麺は相当に研究して完成された様子。
麺が濃い黄色なのは卵黄を贅沢に使っているようです。

昔ながらの「中華麺」を、
見事に現代風に「リメイク」したようなイメージですね。






「パキパキ」「ポキポキ」と麺が次々と折れて行く感覚・・・
そして、歯で「ザックリ」と噛み切る時の食感がヤミツキになるほどの超快感です。

ともかくモチモチとかの「粘り気」や、プリプリなどの「弾力」が皆無で、
小気味の良いハリと、明快な歯切れが織り成す「低加水」の食味が実に素晴らしい。




2005年3月下旬 細麺 550円

先日行った「らすた」(横浜市)の麺が美味しかったので、同じく染谷製麺の麺を使っているこちらを訪問してみた。
少しネットで調べてみると、どうやら両店は同じ経営母体のようなのだが、こちらはズバリ店名からして「染谷製麺」の名を冠していて、より一層自家製麺をウリにしているようだ。
江古田駅を出て右側の線路沿いにお店はある。太麺+カレー風味のパーコー(排骨)をオーダーしようと事前に決めていたのだが、入店してメニューを見ても、「細麺」しか表示されておらず、またパーコーも見当たらなかった。
店内はタイル貼りで明るく清潔感満点である。製麺に使われている小麦粉の袋が額に入れられて飾られていた。

登場したラーメンは、一見すると熊本ラーメンのようなスープで、薄茶に濁った豚骨スープにマー油が浮いている。
まずは一口飲んでみると・・・・マー油の独特の香ばしい風味と、豚骨スープのたっぷりとした旨味に、舌が上下から一気に挟み撃ちされる感覚で、いわゆる「ガツンッ」と来る味である。
ともかく濃厚で判り易い味に感じられ、何とも「味」がぎゅうぎゅうに飽和状態まで詰まっている感じ・・・・言い方を変えれば序章というものが全くなく、いきなり一口目からクライマックスの味の大津波がやって来る感じである。ただ、化学調味料や塩辛さなどに頼った味ではなく、風味豊かで確かに美味しいのではあるが、その美味しさがやや押し売り的、ゴリ押し的に感じられてしまう気がするのである。また、意外にラードが浮いているので、割と飲み口の重さもある。

いよいよ麺であるが、卵黄によるものなのか、かなりオレンジ色がかったその細麺は、一見何らの変哲もないように思えたのだが、一口すすってみると、その後の数十秒間、全身の神経が口中に集中してしまうような、見事なショータイムを演じてくれた。
まず、一見ストレートのように見えるが、実は微妙なウェーブが付いていて、ツルツルと軽くすすれる感じではなく、「ワサワサ」とやや騒がしく口の中に入って来る。
そして口中で「ゴワゴワ」と膨れ、舌の上で「モソモソ」と動くような感覚がある。そしてゆっくりと噛み締めてゆくと・・・・「パキパキ」・・・「ポキポキ」・・・と、絶妙に残っていた麺の芯が一本ずつ徐々に折れて行くような・・・そんな感触が連続して発生する。
続けて、歯で噛みちぎると、「ザックリ」と言う音が聞こえてきそうなほどの、まさに「快感」に近い素晴らしく心地よい歯ギレを放ち、その快感を何度も繰り返し楽しんでしまいたくなる衝動に駆られ、思わずザクザクと噛み砕いてしまう。すると次第に、「ザラッ」とする粒子の粗さを感じるようになり、そのままモグモグと噛み締めていると、いつの間にか、麺の姿が口中から消え去り、はかなく喉の奥へ落ちて行っている・・・という感じだ。
特に、この「パキパキ」「ポキポキ」と麺が折れて行く感覚・・・・そしてその後に、歯で「ザックリ」と噛み切るという感覚は、まさにヤミツキになる快感である。
これは低加水麺に特有の美味しさであり、モチモチとかの「粘り気」や、プリプリなどの「弾力」が皆無で、小気味の良いハリと、明快な歯切れが織り成す食味が実に素晴らしい。

店頭に「炭酸卵麺」と表示されていたが、カンスイに「炭酸カルシウム」を使っているのだろうか、確かに明らかに特殊なカンスイや製法による麺と言う感じであるとともに、絶妙にノスタルジー気分をあおり、子供の頃に食べたような何とも昔懐かしいレトロな中華そばの麺を彷彿とさせてくれる麺だ。この麺の食味は、創業50年を超える老舗である「福寿」(渋谷区)などの麺と共通する懐かしい部分があるように感じた。
しかし同時に、たっぷり使われたとおぼしき卵黄の豊かな玉子風味があふれて来るので、「味」的には茶色とかグレーというイメージではなく、まさに「オレンジ色」と言うか、いわゆる「暖色系」の味わいがあるのだ。
つまり、懐かしさや素朴さ一辺倒ではない、意外にも豪華な、現代風の「豊かさ」が巧みに加えられており、この辺のサジ加減が絶妙、「レトロモダン」とでも言えばいいのか、なかなか心憎い「狙い」を感じる。

昨今の新規店の自家製麺と言うと、特に細麺については往々にして国産の上質小麦に内モンゴル産天然カンスイ使用の細麺・・・というパターンが多いが、こちらの細麺は、意外にありそうでなかった、「ニッチ」とも言える路線を巧みに突いて来た印象だ。
そして何よりも、「日本そば」や「うどん」「パスタ」などとの境界線が曖昧になりつつある中で、しっかりと「中華麺」の王道に原点回帰している印象なのも素晴らしい。
最近の新店の中には、「美味しいけれど・・・どうもラーメンを食べた気になれない」と感じることも少なくない中で、こちらのお店の麺は、しっかりとラーメン「らしさ」を放っている。

ただ、麺とスープのバランスや相性という点においては、麺に対してスープがやや従属的という印象を受ける気がする。
つまり、スープがスープとしての自身の魅力を放つと言うよりは、あくまで麺を食べさせるためにのみ存在していると言う感じなのだ。そのため、麺を食べるには確かに丁度良いパンチがあるスープだと思うが、いざスープを味わおうとすると、飲み口が濃厚すぎる気がしてしまい、あまりレンゲが進む感じにはならなかった。ただ、この辺のチューニングは、製麺所経営のお店ということもあり、もしかして意図的と言うか、確固として目指している明確なバランスがあるのかも知れない。

また、麺とスープの存在感があまりにも強くて、具の存在感がどうしても希薄気味になってしまう気がした。玉子は味付けを感じず、その淡白さがよい箸休めになっている。チャーシューはちょっと乾燥した食味で、肉の旨味などもそれほど感じられなかった。モヤシが入り、スープの強さを多少は緩和しているようだ。

スープは豚骨のコクや油のクドさに加え、さらにそれに負けないようにしっかりした旨味が隙間なく連続し、ピントも終始図太く合っているので、後半になるとちょっと食べ疲れして来る気がした。卓上には「らすた」と同様に強化ニンニクやオロシショウガ、辛し味噌などが置いてあったので、入れてみたが、それらが入った事が判ると言う程度で、スープの味自体は、微動だにしない印象であり、やはり私には続けてゴクゴクと飲める感じにはならなかった。
学生街と言うことで、パンチのある味を目指しているのかも知れないが、私的には、この素晴らしく個性的で美味しい中華麺を、「鶏ガラ、煮干、昆布、ネギ」でダシをとり、チャーシューを煮た醤油ダレを加えた、伝統的中華そばのスープで食べてみたい気もする。
ただいずれにしても、こちらの染谷製麺さんの麺は、無個性な量産型の無難な造りの麺ではなく、上質ながらも麺自身にかなり個性を持たせて仕上げられている気がするので、きちんと使いこなせれば素晴らしく個性豊かなラーメンが誕生すると思う。ぜひもっと色々なお店でお目にかかりたいものだ。


(麺は完食。スープは3割飲んだ。)










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