ラーメン&つけ麺食べ歩き
七彩
(東京都 中野区)

店名 麺や 七彩(しちさい)
住所等 東京都中野区鷺宮3-1-12 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2007年12月上旬 喜多方しお味(タイプB)らーめん(中) 670円


〜麺や七彩〜



西武新宿線の「都立家政駅」北口です。
お店はここから北側へ歩いて1〜2分ほど。






都立家政駅の北口商店街の中ほど、
左手の白タイル貼りのビルの一階にお店はあります。






待ち客用の椅子が並んだ入口。
右の青いネオンの枠内に「無化調」の宣言と
その理由が書かれています。






入店してすぐ左手に券売機。
ラーメンのサイズが「5種類」と言うのは斬新ですね。
「喜多方しお味(タイプB)ラーメン(中)」を購入しました。






店内はL型カウンター形式。
奥にチラッと製麺機が見えます。






壁一面に貼り出された「健康情報」・・・。
お店の目指す方向性がヒシヒシと伝わって来ます。










2007年12月上旬 喜多方しお味(タイプB)らーめん(中) 670円
(この写真はクリックで拡大します)



うーん、今どき珍しく・・・作り手の
ピュアな「熱きハート」がビンビンと伝わって来ます・・・。

抑え切れない「創意&工夫」への情熱と
どうしても伝えたい「食の大切なメッセージ」を・・・

敢えて、顧客が受け止め易いように・・・
伝統的で親しみやすい「喜多方ラーメン」と言う形にして
密度濃くパッケージングしたイメージです。

「無化調スープ+国産小麦麺」の健康路線で
誰もが安心して食べられる嬉しい一杯。
(小)〜(大)が「すべて同価格」と言うのも実に良心的。









塩ダレが明確で実に「キャッチー」ですね。
「スッキリ」感とともに、舌に「ズバッ」と来る「キレ」や「締まり」を持つ味わい。
「無化調」と「インパクト」の両立を追求した印象のスープ。






埼玉県産の二種類の国産小麦を使って、
喜多方風の「多加水+平打ち+縮れ」タイプに仕上げた自家製麺。
一杯分ずつ入念に「手もみ」して提供されます。






「水」をたっぷりと内包した柔らかさと、大きな「揺れ」を放つ強い縮れ・・・。
昔ながらの「うどん粉」を髣髴させる優しい地粉の風味・・・。

ズバリ、「国産中力小麦」独自のキャラクターを、
思い切り前面に押し出し、伝えて来る印象の麺です。






チャーシューは豚肉の二種類の部位を使っているようです。
左が「バラ肉」で、右が「モモ肉」。
シンプルできれいな味付けで肉の素材感が生きた美味しさ。




2007年12月上旬 喜多方しお味(タイプB)らーめん(中) 670円

2007年2月新規開店、オープン当初から注目を集めて話題になっている人気店。
埼玉県の名店「むさし坊」の東川口店の店長らスタッフお二人が独立して開いたお店であり、麺は埼玉県産の「国産小麦」での自家製麺、スープは「無化調」とのこと。

お店の場所は西武新宿線の「都立家政駅」北口を出て北側へ歩いて1〜2分ほどで、地元の商店街に面しているが、入口が少し奥まっているので通り過ぎには注意したい。
店内はL型カウンター形式で、気取りのない造作、奥に製麺機が見える。そして左手の壁一面に貼り出された「健康情報」や「食の安全情報」の貼り紙が目を引く。文字が細かいので遠目では内容まで読めなかったが、これだけ一面に貼り出している事に、お店の目指す方向性がヒシヒシと伝わって来る。

ちなみに、券売機に明言はされていないが、メニューの「喜多方醤油味」(タイプH)は・・・・どうやらの喜多方の人気店「はせ川」を、そして「喜多方しお味」(タイプB)は・・・・同じく喜多方の人気店「坂内食堂」の味をイメージしたラーメンらしい。迷った末、「タイプB」の中盛りの券を購入した。
食券を渡すと、スタッフの方は、麺を取り出して調理台の上に置き、しっかりと体重をかけながら両手で強く「手もみ」を始めた。台に対してグイグイと「ねじり込む」かのような熱心な力の入れ方である。

登場したラーメン・・・・スープを飲んでみると、まず最初に、「ピシリッ」と塩ダレが舌を打つ。この塩ダレがかなり「明確」で「キャッチー」であり、いきなり舌をはっきりと「捉えて来る」感覚がある。
続けて、煮干などの魚介の風味を「ふぅわり」と感じるが、昨今多い「濃濁魚粉」系スープとは異なり、極めて「柔らか&穏やか」な魚介類の効かせ方だ。そして、さらにその後を追いかけるようにして、鶏などのダシもゆるやかに姿を現して来る。

ただ、事前情報で「坂内食堂」の味のイメージが先入観として脳裏にあったので、この味はちょっと意表を突かれた感じだ。
二年半ほど前に食べた喜多方市の「坂内食堂」のスープは、極めてうっすらとした「豚の肉」の味が溶け込んだ、ちょうど「豚しゃぶ」をした後の茹で湯に、塩を一振りしたような極めて簡明なるあっさりしたシンプリーテイストだった。つまり、煮干や鶏は使われていなかったように思う・・・・。
ただ、ビジュアルもそうだが、もともと全く「そっくり同じ味」を再現する事を目指している訳ではないのだろう。

続けて二口目を飲んでみると・・・・いろいろと隠し味も施されているようだし、油も効果的に使われているのだが、それを一つ上回る感じで「塩ダレ」の存在感を強く感じる。
何と言うか・・・・味が決してふらつかないように、「塩」で味を強引にガッチリと「キメている」感じを強く受けるのだ。
割と強引な味付けを施している感じで、この辺りのチューニングは、「じわじわ」と徐々に味わいが深まるタイプのスープよりも、多少強めの塩味で一口目から強いインパクトとキレ味で「ビシッ」と決めて行く方向を選択したのだろう。

スープのダシを堪能しようと、舌がダシの旨味を深く追いかけようとすると・・・・そのやや強めの塩分がしゃしゃり出て来て、舌の行く手を遮ってしまう感じを受けるのはややもったいない気もするが、ここ数年の首都圏は何しろ「濃い味」が支持されている強い傾向を感じるので、そう言う中で新規オープンするお店としては、これはもう「必然の選択」なのだろう。
それでも、無化調らしい「スッキリ」感が生きていて、やたらとクドい旨味や、不自然な重層感のあるスープではなく、「シンプル」で「鋭い」と言うか・・・・舌に「ズバッ」と来る「キレ」や「締まり」を持つ味わいである。そのため、油感は多少感じるものの、後口は意外に「すっきり」していると感じられる。
塩もキツメなのだが豊かな旨味のある塩であり・・・・「キツウマ」と言う感覚だろうか、いわゆる「無化調」と「インパクト」の両方を追求している路線なのだと思う。

続けて、自家製麺を一つかみ箸で持ち上げてみると・・・・その手に伝わって来る感触に「ハッ・・・」とさせられる。
この「がっつり全盛」の時代に・・・・敢えてアンチテーゼを投げかけるかの如き、その独特な「脱力感」のある柔らかな手応えに、他の多くの太麺とは明らかに異なる価値観で創られている麺である事を確信させられる。

すすってみると・・・・見た目以上に「縮れ」が強く感じられるのだが、水をたっぷりと内包したような柔らかさゆえ、リズミカルな「縮れ」と言うよりも・・・・大きな「揺れ」として口に感じられる。
とにかくこの「すすった感じ」が非常に印象的で、「ムニュュン、ムニュュン・・・」と、身をよじりながら極めて「ランダム」な揺れ動き方をする。すする際、口幅一杯にゆっくりと柔らかく「蛇行」しながら入って来る感じで、どこにも一切の「ストレート・ライン」が発生しないのは、かなり個性的な食感だ。
そして、これだけ縮れと不規則な太さを持っていると・・・・大抵、角や縮れが「ゴツゴツ」と口に当たる物だが、そう言う「ゴツゴツ感」が全くない事にも驚かされる。
このユニークな食感・・・・ラーメンに詳しい人なら、おそらく一瞬にして判るであろう、これぞズバリ「国産小麦」の食感をそっくりそのままストレートに「前面」に押し出して来た麺だと思う。

噛んでみると、これまた「超」の付く多加水であり、まるでお菓子の「グミ」を連想させられる「ムニョニョン」とした柔らかさと弾力を持つ独特な口当たり。
「シコシコした麺」や「がっつり硬い麺」ばかり食べている人にとっては、未体験の食感ではないだろうか。麺の中に非常に沢山の「水」を含め込んでいる感じで、逆に「小麦感」が希薄に感じられてしまうほどの多加水感だ。
手打ちなら超多加水麺も難しくないが、機械製麺の場合、あまり加水率を高くすると「ロール」に麺帯がくっついて破れてしまい麺が出来ないと言うのだが・・・・機械でここまで打てるのかと驚く。特注の機械なのか、それとも何かの秘訣があるのだろうか。
また、風味的には割と薄茶色っぽい風味を感じ、昔ながらの「うどん粉」を髣髴させる印象を受け、真っ白な高級感と言うよりも、いわゆる製粉度合いのさほど高くない庶民派の「地粉」の風味に感じられる。

この平打ちの手もみ麺・・・・個人的にはもう少しコシに「締まり」が加わると嬉しいのだが、縮れもあってスープがとても良く乗って来る。
スープの塩味が舌に「ビシッ、ピシッ・・・・」と軽くムチを打つように効かされ、そのリズムに乗って麺を食べ進むような感じになる。またスープからは多少の「醤油風味」が感じられ、最初はチャーシューから流れ出た醤油が影響しているのかと思ったが、どうやら隠し味的に塩ダレに少量の醤油を混ぜているようだ。

チャーシューは「バラ肉」と「モモ肉」の二種類の部位を使っているようだが、量がドッサリ乗っていて、個々の厚みもあり、かなりお得感がある。
割とウェットな食感で、「バラ肉」「モモ肉」いずれも肉の繊維に「ボヨボヨ」「モニョモニョ」とやや弾むように粘る食感を感じ、濃い目の醤油ダレでしっかりと味が付いているが、味がゴテゴテしておらず、シンプルできれいな味付けで、肉の味が生きていてとても美味しい。

また、メンマの代わりとして出身店譲りの「イモガラ」が入っている。歯を入れると「ジャキュ、ザキュ、ザキュ・・・」とする歯応えが面白く、中身がしぼんで外皮だけがシワシワと縮んだような・・・・まるで大粒の干しブドウを食べるような歯触りだが、中にはタップリと汁が内包されていて、甘辛く煮てある感じだ。

食べ終わってみると、スープも麺も非常に「アツアツ」で、器も深いので最後まで全くと言って良いほど冷めなかった。
後味的にはスープの塩がはっきりと舌に残るが・・・・鋭角的に刺すようなしょっぱさではなく、ミネラル感が「キラッ、キラッ」と瞬き輝く感じで、塩自体は多めに使っている印象だが、かなり「美味い塩」のようだ。
そして、何と言っても・・・・自家製麺のキャラクターがとても強く印象に残るとともに、この麺を食べ終わる頃には、お店からの心のこもった「大切なメッセージ」を受け取らせて頂いた気分になった。

そのメッセージとは・・・・・現在、日本で消費されている小麦粉の約90%が輸入物であり、残り10%ほどが国内産だと言う。
そして日本の気候風土では「強力小麦」は育ちにくいため、国内で生産される小麦のほとんどは「中力小麦」である。それらの中力小麦は「うどん」用としてベストフィットするので、国産の地粉の小麦粉を・・・・別名「うどん粉」と呼ぶ由縁だ。
逆に、ラーメン用の中華麺のほとんどは「準強力粉」で打たれている。
国産小麦の「中力粉」で打つと、香りや味は豊かだが、コシはとにかく「ゆるい」。そのため、打ち方によってはだらしなく「ダラリ・・・」「ユルリ・・・」としてしまう場合もある。

そのため、一般に「国産小麦を使用」と謳っている中華麺でも、国産100%と言うケースは少なく、大抵は輸入の強力小麦とブレンドしているケースが多い。
しかし、こちらの自家製麺は今回食べた限りにおいては・・・・輸入小麦「ゼロ」使用か、もしも使っていても極めて少量なのだろうと言う印象を受けた。

現在輸入されている外国産小麦粉の多くには「ポストハーベスト」(収穫後農薬)の心配がある。貨物船の輸送中など長距離輸送の過程で虫がわかないように、貯蔵する小麦に直接「農薬」(殺虫剤)を散布しているのだ。そのため、心から客の健康に配慮している飲食店やパン屋さんでは輸入小麦は一切使わないと言うお店も少なくない。
つまり、こちらのお店が「国産」の小麦にこだわる理由も決して「味」にだけある訳ではない・・・・・と言う事なのだろう。

「衣・食・住」のうち・・・・「服」や「家具」なら、このデザインが好き、この色が好き、このメーカーが好き・・・・と表面的な「好み」や「嗜好」で選んでも、直接「命」にかかわることは少ないだろう。
しかし、「食」だけは・・・・単なる手軽さや嗜好だけで選んでいると、冗談ではなく危険であり、事実として命にもかかわりかねないケースがあることは、広く周知の通りである。

そう言う意味で、こちらのお店は・・・・単に「美味しさ」や「満腹感」だけでは、商品としてはまだ「不完全」と考えているようなフシがあると言うか・・・・・
大いなる高みの位置から、時代を相当な細部まで俯瞰(ふかん)し、一歩も、二歩も・・・・三歩も・・・・我々「客」に先回りして、「先」を歩いてくれていると言う印象を受ける。


(麺は完食。スープは4割飲んだ。)









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