ラーメン&つけ麺食べ歩き
岡崎麺
(栃木県 佐野市)

店名 青竹手打らーめん 岡崎麺(おかざきめん)
住所等 栃木県佐野市富岡町190-5 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2007年1月上旬 ラーメン 650円 




〜青竹手打 岡崎麺〜



お店に到着しました。
佐野駅から徒歩約15分ほどの、閑静な場所ですが、
「佐野ご当地ラーメン」として、
マスメディア登場回数は佐野屈指のお店です。






「佐野名物・青竹手打ちの店」と書かれた
緑色の「のぼり旗」の存在が、まさに「本物宣言」の証。
右側にある小窓の中が「麺打ち場」です。
駐車場も10台分ほどあります。






おお・・・・さっそく、「麺師」との出会い。
運良く、店頭でご主人が麺打ち実演の真っ最中でした。
麺帯を幾重にも折り重ね、太い孟宗竹で繰り返し打ち延ばす・・・・見事な職人芸。
これぞ、中華人民共和国より伝来した「佐野ラーメン伝統の製法」です。






入店しても小窓があり、麺打ちのライブが見られます。
見ていても、決して「力任せ」ではなく、
非常に「ナーバス&デリケート」な工程である事が判ります。






入口ドアは二重になった「風除タイプ」。
壁には、マスコミの取材写真や芸能人の色紙、ラーメンマップなどが多数。
「トイレ禁煙」の貼り紙も・・・・。






店内は、カウンター席、テーブル席、小上がり席と・・・「三役」揃い踏み。
広い窓ゆえ、ブラインドを通した自然採光がブリリアント。






「麺は全て青竹手打麺」
「薬味のネギは自家栽培のものを使用」
・・・と書かれています。

「ラーメン」を注文しました。






天井の高い広々とした厨房。
麺打ちを終えたご主人がラーメンを作ってくれました。










2007年1月上旬 ラーメン 650円
(この写真はクリックで拡大します)



今や佐野市内でも、極めて数が少なくなりつつある・・・
名人芸による「青竹気泡麺」の「真の魅力」を頑なに守るお店。

このラーメンを食せば・・・・この世に、
「佐野固有種のラーメン」
が存在する現実を悟る事でしょう。

北関東の特定地域に分布が限られ・・・
個体数が非常に少なく、さらに減少の傾向にある・・・
ラーメン分類学上の「超稀少種」です。

佐野食文化の歴史から生まれた貴重な「無形文化財」。
ラーメン界の「レッドデータブック」入り前に、ぜひ体験する事をお薦めします。









「佐野」としては醤油の風味が強めで、複雑なダシの旨味が感じられるスープ。
鶏ガラと葱だけのスープにはない、「味の数」の多さを感じる。
「あっさり」している中にも「コク」があり、様々な旨味や甘味が息づく、深みのある美味しさ。
ショウガの「酸味」による鋭角的なキレが、爽やかにアクセントを加える。






「これです。この麺です。」
この麺こそが、岡崎麺の誇る「青竹打ちの世界観」を雄弁に物語ってくれる。

“ Sano Individual Handcrafted Noodle ”
with Green Bamboo.

ラーメン界の「リミテッド・バージョン」、「スペシャル・ワンオフ」、「スーパー・カスタムメイド」。

この麺を食べずして・・・・
決して「佐野ラーメンは語れない」でしょう。






薄いリボン形状による「ひらひら」とした「舞う」ような動きを持ち・・・・
非常に独特な浮遊感を感じる・・・・まさに「舞麺」。
噛めば、「カステラ」を薄〜く裁断して、軽く圧縮して「のした」物を口にするイメージ・・・・。
また、手打ち麺なのに、決して「とろけない」ドライな食感も独特。






茹でられて膨張した「無数の気泡」・・・・こう言う麺、他では全く見たことない。
この「揚げワンタン」のような表面のオウトツが、実に「異色」とも言える独特な舌触りを生み、
噛めば、多孔質の麺の内側全体に、大量のスープを内包したような・・・・
なんとも、強い個性を放つ「唯一無二のテイスト」。






巻きバラ肉のチャーシューは、「フカ、フカ」として全くトロけず、
「モック、モック」と、含み切れるような・・・歯応え。
脂っこさや旨味等はスープへ抜け出た感じで、実にあっさりとしている。




2007年1月上旬 ラーメン 650円 

以前から、漠然と感じていた事だが・・・・どうやら私は「手打ちラーメン」が好きなようだ。
いつの頃からか・・・・気が付けば、私のラーメン食べ歩きの中に「手打ラーメンを究める」と言う研究テーマが一つ加わってしまっている。
考えてみれば、「そば」でも、「うどん」でも、今まで私に感動を与えてくれたお店は、一つの例外もなく、常に「手打ち麺」であった。

実際、製麺所で大量生産される機械打ちの「蕎麦」や「うどん」を、熱く語るマニアやグルメ評論家は見た事がない。
ラーメンもスープ料理ではなく、あくまで蕎麦やうどんと同じ「麺料理」なのだから・・・・そう言う意味では、ラーメンについても「究極の一杯」を探し求め続けて行けば・・・・。
やはり、「麺」に関しては、いつしか最終的に「手打ち」に興味を持つ事になるのは・・・・至極当然の成り行きのように思われる。

そんな中で、「日本列島、広し・・・・」と言えども、手打ちラーメンのメッカと言われているのは、やはり「栃木県佐野市」と「福島県白河市」ではないだろうか。
両都市とも、様々な歴史的背景や、気候や風土が複雑に影響して、手打ちラーメンの文化が誕生して、根付いたようだ。
特に栃木県南部の小山市、栃木市、佐野市、足利市・・・・の近辺は手打ちラーメンのお店が密集しており、これらの都市を長く横断してつなぐ「国道50号線」沿いは手打ちラーメンの名店が林立し、まさにシルクロードならぬ、黄金の「手打ちラーメンロード」の様相を呈している。

特に、その黄金の「手打ちラーメンロード」の「中核」に位置するこちらの「佐野市」は、市内全域に渡って二百軒以上の精鋭ラーメン店が幾重にも磐石の布陣を敷き、手打ちラーメン勢力の本陣として、揺るがぬ威容を誇る「牙城」を築いている。
実際、佐野市は、「人口に対するラーメン店の密集度」では福島県喜多方市と「日本一」の座を争うほどの・・・・ラーメン店が密集する、まさしく北関東ラーメンマップの「要衝の地」なのである。

そんな中にあって、こちらの「岡崎麺」、200軒を超す佐野ラーメン店の中でも、私の知る限り、一切の妥協をせず、頭抜けて「青竹麺の食感」にこだわり抜いている孤高のお店だと思う。
実は数年前にも一度こちらのお店で食べた事があるのだが、何よりこちらの「青竹麺」の持つ強烈な個性が脳裏に焼き付き、まるで「ビデオテープ」に記録されたかの如く、鮮明に記憶に残った。
実際、その孤高の「個性」の強さゆえか、佐野市内のラーメン店の中でも、「佐野ご当地ラーメン」として、トップクラスのマスメディア登場回数を誇るお店の一軒でもあり、店内の壁には、いたる所にタレントのサイン色紙やマスコミ取材写真が貼られている。


さて、登場したラーメン・・・・まずはスープから飲んでみると・・・・「佐野」としては醤油の風味が強めで、かなり明確な味付けがなされている。
実際、佐野で出会うラーメンは、まるで塩ラーメンのような味付けのスープが多いのだが、こちらのスープは「塩気」ではなく、きちんと醤油の「香り」や「旨味」で味の輪郭が描かれている。
さらに、どうやら生姜の「酸味」により味覚的にアクセントが加えられているようで、鋭角的なキレのある「酸味」がピシリと明確に感じられ、「チィィーーーン・・・・」と明るくクリアに鳴り響き渡るトライアングルのような味の輪郭を持っている。
特に一口目は・・・・生姜だけでなく、もしかしたら隠し味に「酢」を使っているのか・・・・とも思えるような酸っぱい感じだったが、二口目からはさほど気にならなくなった。

また、「佐野」としては、スープに複雑なダシの旨味が感じられ、鶏ガラと葱だけのスープにはない、「味の数」の多さを感じる。
あっさりしている中にもコクがあり、様々な旨味や甘味が息づく、深みのある美味しさであり、単なる「すっきり」「さっぱり」ではなく、佐野の中ではかなり積極的に、ある程度の「コク」を狙っているようだ。
インターネットで検索したところ、どうやら豚骨、鶏ガラ、丸鶏、煮干、鰹節、昆布、干貝柱、干海老等に加え、玉葱、人参、根生姜、にんにく、等を素材として使っているらしい。

ただ、それぞれが渾然一体となっている中、多少の「生姜」だけが、やや目だって感じられる気がしたのと、トーンとしては「あっさり」路線の中でまとめられているのだが、登場人物の多さゆえの「複雑さ」はあり、決して「シンプル」な味ではないため、他の多くの佐野ラーメンと比較すると、結構、「個性」を持ったスープとして感じられる。また、多種の素材を使っているせいか、他の佐野ラーメンではほとんど感じられない「煮詰めた」ようなテイストも少し感じられる。

しかし、「そこはそれ」・・・・あくまで「佐野」の中での話であり、昨今の東京で話題に上がる旨味過剰気味の濃厚ラーメンなどと比較すれば、あくまで透明感が残り、底が見易いあっさり型のスープを堅持している。そうでなければ、組み合わせられるこちらの軽くてエアリーな「手打ち麺」とは合わないのだろう。
決して「深いコク」による縦の味ではなく、とにかく醤油の明るいキレ、鋭角的なしょっぱさのような物が「サァーッ・・・」と薄く水平に広がる・・・・まるで水面の「波紋」のような二次元的な味の広がり方なのだ。そこへ生姜の「スーーーッ・・・」とする植物性の爽やかな芳香が、時折、口中に微風を吹き込む感覚が加わる。

そして、いよいよ・・・・「青竹麺」へと話は移る訳だが・・・・。
まず、こちらの麺の持つ魅力を、「結論」から先に表現するなら、私が過去に何千杯と食べて来たラーメンの中で、「最も強い個性」を印象付けてくれた麺・・・・と表現できるだろう。
太麺とか、細麺とか・・・・ストレート麺とか、縮れ麺とか・・・・硬いとか、柔らかいとか・・・・多加水とか、低加水とか・・・・そう言う既成の尺度では到底分類や表現の出来ない、とてもユニークな「人格」・・・・ならぬ、個性的な「麺格」をはっきりと感じさせられる「インディビデュアルな麺」なのだ。

器に箸を入れてみると・・・・まるで「紙片」のように薄い麺が、スープの中をユラユラと泳いでいる。
箸でつかみ上げてみると、ちょうどまるで・・・・「シュレッダーされた紙片」・・・・を思わせるような、「薄く」て、「平たい」形状・・・・それでいて、「ザラッ」とする表面の粗さを感じる独特な手応えが伝わって来る。まるでスープの中に溶け込んでいるかのような・・・・「柔らかな透明感」と「溶き卵のようなユルさ」を感じるのは、気泡をたっぷりと内包した麺なので、中身が中空であるせいなのだろうか・・・・。

すすってみると、手応え通りの、極めて「フワッ」とした空気感、浮遊感、エアー感がある軽い感触であり、発泡スチロールを薄く割いて、柔らかくして食べているような・・・・独特な発泡感や多孔質感が強い。それでいて、決してフニャフニャと柔らかくはなく、麺の「エッジ」がピンッと立っていて、その角がはっきりと口に触る感じがある。「手打ち」とは言え、よくある多加水のツルツルとした滑らかさやモチモチとした粘りを持つ麺ではなく、どちらかと言えば「パタパタ」として「カサカサ」と乾いた、ドライな食感が特徴であり、決して粘らず、まったくトロけない。

その乾いた麺のエッジが「角材」を思わせる食感を生み、さらに、表面に独特な「でこぼこ」とした無数の突起や起伏があり、おそらくは、麺生地に練り込まれた気泡が加熱によりプクプクと無数に膨れた物と思われるのだが・・・・そのため非常に「複雑な口当たり」&「異色な舌触り」を感じさせられる。
最初こそ、その何とも「未知なる食感」、「稀有なる舌触り」にとまどう感じがあるのだが、何口か続けてすすっていると、この突起やヨジレたエッジが、すするたびに「ストトトトト・・・・」、「トタタタタタ・・・・」と唇や歯に触りまくり、不思議な軽さとともに「パラパラパラ・・・・」と五月雨のように優しく無数に舌へ降り注ぐ感じがヤミツキになりそうな不思議な「快感」に感じられて来る。

しかも、さらなる驚きは・・・・「噛んだ」感触が他の中華麺とは「まるで違う感覚」だと言う事だ。
もし例えるなら、普通の中華麺の空気を含まない弾力だけの歯応えをプルルンとする「カマボコ」に例えるとしたら、こちらはフンワリとする気泡を含んだ「カステラ」や「バウムクーヘン」の食感である。
ちょうど「バウムクーヘン」や「ロールケーキ」のスポンジカステラの部分を2ミリ厚位に薄くそぎ切りにして、それを少し押し潰して、生地を1ミリ程にまで圧縮して多少硬くしたような・・・・イメージの食味なのだ。つまり、無数の微細な空気を含んだ食べ物に特有の「エアリー」な食感で、エッジが立ちながらも、「フワリ」「パラッ」と軽く舌にほぐれて触るような・・・・デリケートなフィールがある。

お店によれば、麺打ちの際に麺帯を、何回も「パイ生地」のように折り重ねて延ばす事で、一本の麺に何と「18もの層」を形成させた独特な「地層構造」が、この食感の秘密なのだと言う。
その折り重ねる工程で、生地の間に細かな空気が残り、次第に無数の微細な気泡となって、ちょうどカステラのようなクッション性のある多孔質の構造になるらしい。
確かに、幾重もの微細な「層」を感じる食感であり、また、無数に存在する多孔質の空洞が、まるで「活性炭」の如く、瞬時にスープを吸い込み、内部にしっかりと保水するようで・・・・麺の内側全体で大量のスープを内包したような味わいになっている。ちょうど、ダシ汁をたっぷりと吸い込んだ「高野豆腐」のような構造の食味を感じるのだ。もしくは、カステラやバウムクーヘンを「紅茶」や「コーヒー」に浸けて、ヒタヒタに含ませて食べる感覚にも似ている。
さらに、微妙にカサカサとしたドライな食感があることから・・・・気泡だけではなく、麺帯を18回も折り重ねる際に「打ち粉」が織り込まれる事で、おそらくは隠し味的に「打ち粉」の食感の影響も加わっているんじゃないかな・・・・と推察する。

いずれにしても、こう言う構造と食味を持つ麺は・・・・他では全く見たことがなく、「この世に、果たしてこんな麺が存在していたのか・・・・」と愕然としてしまう、全く初めての「出会い」のインパクトだ。
まるで、テレビ番組などで、アマゾンの奥地などへ探検に出かけ、見た事もないその土地の「固有種」の動物や植物に出会って驚いているレポーターの気持ちが判るかのような・・・・言葉にならない「サプライズ&ショッキング」な体験として感じられる。
私は、もし、100杯のラーメンの中に、1杯だけ「岡崎麺の麺」が混じっていたとしても、目隠しをして食べても、確実に当てられる自信が持てるほど、他店の麺とは「まるで違う」し、それ位、すべてが「大きく違う」麺だ。
そして、この麺は100%手作業による「職人芸」であり、修行により身に付けた「クラフトマンシップ」ゆえ、いくら巨大資本を投下しても、機械を使った大量生産やコピー商品は作れない。

そう言う意味では、もし・・・・こちらの手打ち麺に「ハマッた」人は、おそらく他のどこのお店の麺を食べても、絶対に同じ「満足感」は得られないと思う。
それゆえに、この「麺」にハマってしまった人は、間違いなく、こちらの「岡崎麺」に足繁く通う事になるだろう。いわゆる他の物では「代役」の利かない・・・・他に近い味が存在しない、「絶対的な味」なのである。
ただ、それゆえ「予備知識の全くない人」や「ラーメン経験値の浅い人」にとっては、あまりにも麺のインパクトが強すぎると言うか・・・・万人向けと言うよりは、やや好みが分かれるかも知れない麺である気はする。
いずれにしても、もし日本列島の全店を食べ歩いたとしても、まず、容易には同じ麺には出会えない・・・・・と確信できる強烈な「個性」を放つ「インディビデュアル・ヌードル」だ。

その個性派の麺に、鋭角的な風味を持つ醤油スープが非常にベストマッチしている。そこへ、「自家栽培」(冬季)だと言う長ネギの芳香とシャクッとする歯触りが絶妙なアクセントを加えて来て、目鼻立ちをきれいに整えてくれる。
巻きバラ肉のチャーシューは、「フカ、フカ」として全くトロけず、「モック、モック」と含み切れるような歯応えで、脂っこさや旨味などはスープへ抜け出してしまった感じで、あっさりとしている。ただ、醤油でやや強めの味付けがされていた。
メンマは、醤油で割と濃い目の味付けがなされ、「ジョクジョク」としてねじ切れると言うか、やや粘り切れるような歯応えだ。

さて、気が付くと、見た目の麺の量は特に少なくはないのだが・・・・実際にはサクッと軽く食べ終えてしまった。
麺に埋め込まれた無数の「気泡」構造による例えようのない「クッション感」、不可思議な「エアー感」の成せる技なのか、とにかく軽い食感で、決してドカッとは腹に溜まらず、「柳に風」の如き食後感、非常にエアリー(Airy)な腹心地なのだ。

このエアリーな独特の食後感は・・・・機械製麺はもちろん、同じ「手打ち」でも手でこねる方法では絶対に出せない。だからこそ、佐野の名店では、あくまで「青竹打ち」にこだわるのだと思う。
しかし、重要な事は・・・・「青竹打ち」なら、必ずこう言う食感の麺が生まれる訳ではないと言う事実だ。
一言で、「青竹打ち」と言っても、その「手法」は各店毎に実に「様々」なようで、実は、佐野市広しと言えども、これだけ「気泡」を含んでいる麺は、かなり「貴重」なのである。

幾重にも折り重ねた麺帯を、青竹で上から「優しく押さえる」ように、丁寧に小刻みに押し延ばすからこそ、この食感が生まれる。こちらのお店ではなんと「十八」回も折り重ねては、丁寧に延ばしているからこそ、麺にこれほどハイレベルなエアリー感が生まれるのだろう。
しかし、時間や労力の節約のため、青竹で麺帯を折り重ねる回数が少なかったり、丁寧に小刻みにせずに一気に力任せに押して、せっかくの空気を押し出してしまっているお店も少なくない。
麺打ち作業を早く済ませようとして、折り重ねる回数を減らしたり、青竹に力を入れ過ぎてしまうと、結果として「気泡」が減ってしまい、「青竹打ち」の看板を掲げながらも、結果として、「普通の手打ち麺」と食感の「差異」がなくなってしまう。
実際、私は「青竹打ち」のお店は今までに30軒以上は食べ歩いたと思うが、過去、これだけ「青竹打ちの真の意味」を見事に生かし切り、豊かな「気泡感」を持たせられた麺は、わずかに2〜3軒しかなかった。

ただし、こちらの麺は、活性炭のように無数の微細孔を持つ特殊な多孔質の構造なので、「表面積」が大きく、湯の回りが非常に速く、そのため、ベストの茹で時間は、驚く事にわずかに「30秒」だそうだ。
と言うことは、万一、茹で時間を10秒でもオーバーしてしまえば・・・ベストの状態を30%もオーバーした状態になってしまう訳だ。
そう言う意味では・・・・わざわざ遠方から訪問するのであれば、この貴重でデリケートな「青竹打ち麺」の食感を100%ベストの状態で堪能するためにも、念には念を入れて、できれば混雑時は避けて、自分の一杯だけに「作り」を集中してもらえそうな時間帯を選んで訪問した方がベターかも知れない。
実際、数年前の訪問の時よりも、空いていた今回の方が、より一層、麺のコンディションが優れて感じられた。

ちなみに、自家製の手作りワンタンも自慢の一品で「紙のように薄い」らしい。次回は、ぜひそのワンタンメンと、「手のし」の皮を使った自家製の手作り餃子も食べてみたい。


さて、食べ終えての感想としては・・・・・

こちらのラーメンを食べれば・・・・誰しもが、この世に佐野地方に特有の「佐野固有種のラーメン」が存在する現実を知る事だろう。
やはり佐野ラーメンは、それ以外の土地のラーメンとは、味の構成や目指す物が全く異なるし、そもそも「出自」からして違う・・・・と言う事が良く判る。
初めて「博多豚骨ラーメン」や「札幌味噌ラーメン」を食べて、「スープ」の違いとともに、その「麺」の違いにも大いに驚いた時と同等のショックか・・・・むしろ、それ以上の「驚き」が待っている。
つまり、本来の「佐野ラーメン」は・・・・「札幌味噌ラーメン」や「博多豚骨ラーメン」と同じくらいに、「東京のラーメン」とは「別種」なラーメンなのだ。

ちなみに、佐野市内のラーメン店にも、もちろん「機械製麺」のお店はあるし、青竹を使わない「普通の手打ち」のお店もある。
まあ、美味しければ麺の製法には一切こだわらないと言う人は別だが、わざわざ遠方から訪れるなどして、どうしても佐野名物の「本物の青竹打ち」のお店を選びたいと言う場合は、店先に太い孟宗竹が置かれた現役の「麺打ち場」のあるお店を選ぶか、店頭に「佐野名物・青竹手打ちの店」と書かれた緑色の「のぼり旗」が立っているお店を選ぶと良いと思う。

私が食べた範囲では、佐野のお店の中では、特にこちらの「岡崎麺」と「まるQ」が「気泡麺」の食感を前面に押し出している数少ない貴重なお店だと感じた。
両店の違いとしては、「まるQ」がトロける感じがある「ソフト&ウェット」な食感であるのに対し、こちらの「岡崎麺」の麺はもっと「ソリッド&ドライ」な方向でまとめてある。また、スープに関しても、「まるQ」が佐野の典型的な「淡口」路線であるのに対し、「岡崎麺」は佐野の中としてはしっかりとした「濃口」路線を標榜しているようだ。

「佐野ラーメン」の看板を掲げるお店を選ぶ際に、単純に「美味しいラーメン」と言う事だけで店を選ぶなら他にも候補は沢山ある訳だが、佐野伝統の「青竹打ち」による手打ち麺の「真の意味」を知りたければ、この二店は決して外せないし、もしも外せば、決して「真の佐野ラーメンは語れない」と思う。
実際、こちらのお店の貴重な「青竹手打ち麺」を食べると・・・・普段食べている機械打ちの「中華麺」は・・・・「一体何なのだろう・・・?」と思ってしまう。
あまりに単調で、味気なく、無機質な食味に感じられてしまい、まるで「宇宙食?」のように無味乾燥にさえ思えて来てしまうのだ・・・・。

「手打ち」ならではのメリットを一言で言えば、機械打ちの限界を超える「超多加水」と、同じく機械には不可能な「手揉み」、の二点がメインと思うが、しかし、実際には、機械のセンサーやプログラムでは到底実現できない職人の「勘」と「技」により、一食ずつ自分の手の感触を通して麺が作られるからこそ、何よりも言葉では表現しきれない食べ手の「心の琴線」に触れられる麺の美味しさが生み出されるのだと思う。
以前、「備前焼」か何かの有名な「窯元」のご主人が、コンピューター制御のガス窯や電気窯では、大量生産の工業品は焼けても、人を感動させる「芸術品」となると・・・・これはもう、すべて手作業による炭焼き以外では絶対に創れないと言っていた言葉が脳裏に蘇って来る。

しかし、残念な事に、時代の変化や機械化の波により、青竹打ち麺のメッカ「佐野」と言えども、純粋な「青竹打ち」のお店は、次第に少なくなって来ていると言う。
今や、佐野市内でもこれだけの麺を打てるお店が、果たして何軒あるのだろうか・・・・。現在、こちらの「岡崎麺」では、現店主氏がお一人で麺打ちのすべてを担っていらっしゃるようだが・・・・この麺こそ、まさに「一子相伝」と呼ぶに相応しい文化的&芸術的価値がある「ラーメン界の無形文化財」だと思う。
無形文化財とは、その地域の「誇り」であり、長年の修練により初めて身に付ける事のできる、デリケートな人の「技」その物である。将来的にはぜひとも、優秀な後継者に恵まれ、この「匠の技」をぜひ後世に伝承し続けて欲しいものだ。

「21世紀を迎えた今でも、なぜわざわざ手打ちなのか?」、「機械で打つのといったいどこが違うのか?」・・・・・と、もしそう尋ねる人がいるならば、「ぜひこちらのお店を訪ねて食べてみて欲しい」、と答えたい。
「手打ち」の看板を掲げながらも、せっかくの手打ちの意味が上手に表現されていないと感じるお店も決して少なくない中、こちらのお店には、麺を手で打つことの「真の意味」、その回答の「すべて」がある・・・・と思う。

まさしく、手打ちラーメン作りに関して、「孤高の世界観」を持つ貴重なお店だ。
そして、だからこそ、永らく「人の記憶に残る力」があるのだと思う。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)




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賞味期限 : 製造より90日
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