ラーメン&つけ麺食べ歩き
むさし野
(千葉県 松戸市)

店名 味処 むさし野(あじどころ むさしの)
住所等 千葉県松戸市松戸新田133-4 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2005年4月下旬 中華そば 650円



〜味処むさし野〜

(各写真はクリックで拡大します)




到着しました。
新京成線の上本郷駅から徒歩12分位、
松戸新田駅からなら15分位でしょうか。
夜だけ営業のお店です。






ちょっと料亭風の店構え。
ほう、「粋」な佇まいですなぁ・・・。






白木のカウンターは料亭風で高級感満点です。
背もたれの大きな椅子は座り心地も「良」。
壁に仕切られた左奥が厨房です。






小上がり席もありますぞ。
天然木のテーブルが高級感を演出。






壁に貼られたメニュー。
季節毎に様々な限定メニューも登場するようです。
「中華そば」を注文しました。






冷水は大きめのオチョコで登場。
日本酒ぢゃないですょ。
( ´∀`)










2005年4月下旬 中華そば 650円



メインに「鶏」を感じる伝統的な「醤油スープ」。
典型的「中華そば」という趣きの「ちぢれ麺」。
品良く慎ましい「具の采配」。

それらの全てが見事に「的を射ている」印象です。

奇をてらうことなく、昔懐かしい伝統的な「中華そば」を
現代人の進歩した味覚レベルに合わせて
的確にリファインしたようなイメージですね。









スープ素材には鶏、豚骨、煮干などを使っているそうですが、
私的には「鶏」が中心に感じられました。
「迷い」が全くない、相当にハイクオリティな完成度、プロの作る味ですね。






前半は、ゴワッとする固めの縮れが奏功して実にインパクトのある麺。
縮れた角がコツコツと歯をノックして、とても「鮮烈」なすすり心地。
逆に後半は、少し柔めになって、絶妙にノスタルジー感を演出。






巻きバラチャーシューは脂身がトロトロ。
口の中に入れると脂身の層に沿ってパラパラと見事に分解してゆく。
赤身部分はややパサついた感じかな。




2005年4月下旬 中華そば 650円

基本メニューのレベルの高さもさる事ながら、季節ごとの旬の素材を生かした限定メニューでも評判のお店。
店主さんは、日本料理の板前さんとしても20年以上のキャリアを持ち、そのかたわら松戸市内でラーメン屋台を開いて好評を得ていたと言う。その屋台を前身として2001年にこちらのお店を創業したらしい。
お店の佇まいは、一見すると料亭風の何とも「粋」な店構えである。引き戸を開けると、さらに驚きの空間が広がっている。目の前には白木の重厚なカウンターが広がり、背もたれの大きな椅子が並び、生け花が飾られ、小上がり席も何とも優雅な造りだ。まるで懐石料理店のような高級感のある造作でまとめられている。
さらに、極めつけとして・・・・冷水が、四号サイズの日本酒のようなビンに入れられ、大き目のオチョコとともに登場して来た。これでは気分はまるで「料亭で一杯」と言う趣きだ。
また、季節に応じて、フグやカニ、ハモ、あわび、松茸などの旬の食材を取り入れた美味なる限定メニューが、極めて良心的な価格で登場する事があるようなのだが、この日は限定メニューの案内の貼り紙などは見当たらなかったので、メニュー筆頭の中華そばをオーダーした。

登場した中華そば、一見すると「オーソドックス」と言う感じの透明な醤油スープにちぢれ麺の組み合わせである。
まずは、その醤油スープを一口飲んでみると、「ジィーン・・・」とする芯のはっきりとした明快な動物系の旨味が口中にあふれかえる。
「うーん・・・鶏だ。鶏の美味しさだなぁ・・・。」と思う。他にも豚骨、煮干しや鰹節の和風出汁なども使っているらしいのだが、穏やかな醤油ダレにミリンのような甘味もほんのりと僅かに加わるこの味は、いわゆる鶏が中心となった昔ながらの伝統的「中華そば」スープの路線だと思う。
しかし、いわゆる「過去の味」「昔のままの味」なのではなく、きちんと「現代の味」になっているのはさすがだ。何と言うか、伝統的なレシピを大切にしながらも、すべてが新たな視点でリファインされ、「きっちり」「しっかり」作り込まれている感じで、20年前とは事情が全く異なる現代の過当競争のラーメン業界をしっかりと見据えたような・・・・どこにも隙がない印象のスープなのだ。
スープは雑味がなく、旨味も豊かながらすっきりとしているものの、味付け自体はやや濃い目に感じられ、スープを全部飲み干すためだけでなく、麺を食べさせる事にも優先度を置いている印象だ。
こういう「揺るがぬ」完成度のスープは、長らく料理人の道を歩いて来た「プロ」の方のみが到達できる領域だと思われ、素人出身者では作れそうでいて、なかなか作れないスープだと思う。

麺は、店頭の看板には「平打ち、手もみ」と書かれていた。
実際に中太サイズの平打ちであり、そして、かなり意図的で明確な強い「ちぢれ」が付けられている麺だ。
箸でつかむとゴワッとする意外なほどの「硬さ」を持っていて、その「ちぢれ」はまるでスプリングを思わせるような・・・ブルブルする「弾性」を放っている。
すすってみると、その無数のちぢれが、その角が、コッコッコッコッコッコッ・・・・・と歯をノックしながら、ゴワゴワとした硬さを伴って口の中に入って来る。そして口の中で、無数の硬めのスプリングがゴワゴワと前後左右へ不規則に動くような食感が発生し、一瞬驚くほどに、非常に「斬新」な食感の麺・・・という感想だ。

そして噛み締めれば、歯が麺に食い込む過程が如実に伝わって来るほど、しっかりしたコシがある。いかにも麺に含まれるグルテンの量が多い感じで、良く熟成させたタイプの麺である。
決してユルユルなコシの大人しいタイプではなく、はっきりと主張の強い麺であり、一口食べれば目が覚めるようなインパクトを持っている。

このちょっと想像を超えた食感は、お店の狙いどおりなのかどうかは判らないが・・・・伝統的中華そばのイメージを守りつつ、現代風に明快なインパクトも出す・・・・この難題に、見事な解答を出しているように思えて、なかなか感心してしまった。
また、中華そば特有のレトロっぽさを出すカンスイ臭が漂っていないのも、現代風にリファインされている印象に拍車をかけている。

そうしてさらに感心したのは、前半は、「鮮烈」とも思えるほど、食べ手にインパクトを刷り込んでいたこのちぢれ麺が、後半に入ると、徐々にふくよかさを増し、次第に柔らかな食味へと変化して来たことだ。もし、これで最後まで全くダレない麺であると、さすがに食べていて疲れてしまうところだが、後半になると、いわゆる昔に食べたような、ノスタルジーあふれる、安心感のあるちぢれた中華麺の顔になって来たのだ。
前半には現代的インパクトや個性を強めに主張しておき、後半はむしろ絶妙にノスタルジーな味を提供し食べ手に優しく接することで、いつの間にか見事に懐柔する・・・。
もし、計算してやっているとしたら、「うむむ、なかなかやるな・・・」と思えてならない。

チャーシューは巻きバラ、割と厚みがあり、フチの部分は醤油でじんわりと味付けがされている。脂身部分が見事にトロトロで、口の中に入れると脂身の層に沿ってパラパラと見事に分解してゆく。その口解け感は良いのだが、脂身をここまでトロトロにするために、煮込み時間を長めにとっているのか、赤身部分はやや味が抜けてしまったような、パサ付き感が少し出ていたように思えた。
ホウレン草は彩りとして少しだけ載せられている感じであり、メンマもプキプキする硬さと歯応えがあるものだが、量はあまり多くない。この辺の具の量は、懐石風の「上品さ」を演出するためなのかとも思えた。

食べ終えてみれば、やはりこの中華そば・・・20世紀に生み出された人気の味を、何かの思い付きでいたずらにいじってしまったり、目新しさやギミック、小手先技を追加したような面がなく、伝統の味を大切にリスペクトしつつ、和食の技術や手法を駆使して、21世紀向けに実に「的確に」リファインした一杯と言う印象であった。


(麺は完食。スープは6割飲んだ。)










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