ラーメン&つけ麺食べ歩き
光江
(東京都 台東区)

店名 中華そば 光江(みつえ)
住所等 東京都台東区下谷2-22-6 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2005年9月下旬 らーめん 500円



〜中華そば光江〜

(各写真はクリックで拡大します)




お店に到着しました。
東京メトロの「入谷駅」から徒歩2分程、JR「鶯谷駅」も徒歩10分程。
周辺の住宅街に溶け込んだ佇まいですな。






気取りのないさりげない店構えですが、
都内の老舗有名店の一つです。






店内はカウンター席とテーブル席。
TVが点き、雑誌も数冊置いてあり一人でも寛げる雰囲気。
場所柄か、地元の常連の方が多そうです。






メニュー。
カレーライスや開花丼もあります。
「らーめん」をオーダーしました。










2005年9月下旬 らーめん 500円



うーん・・・美味しいですね。
この価格帯ではトップクラスの実力でしょう。

老舗店ですが、懐かしいとか郷愁の味とか言うよりも・・・
老舗テイストを残しつつも、ズバッと切り込んでくる実にアグレッシブな味わい。
かなり念入り&巧みに食べ手の舌を攻略して来ます。

昔からのラーメン好きの中には、
「この味、このラーメンこそが真のラーメンだ」
と言う人も少なくないでしょうね。









素材の旨味と調味料の旨味が醸す見事なハーモニー。
油がほとんど浮かないので味の伝わり方が非常にスピーディ。
食べ手の舌をあっと言う間に「制圧」して来ますね。
スープが「舌を離さない」・・・と言う感覚です。






小麦粉の「粉臭さ」と「カンスイ」をしっかり感じるレトロ感満載の麺です。
すするとモフモフとして、柔らかな麺の「ムチュ、ムチュ・・・」と
歯にくっつく吸盤的感触が印象的。




2005年9月下旬 らーめん 500円

昭和20年代に開店した老舗店。10年位前はラーメン本の常連掲載店の一つであった。
お店に到着すると、意外と近代的なビルであり、どうやら一度この近くで転居して建替えをしているらしい。細めの生活道に面しているため、通りすがりの飛び入り客は多くなさそうな立地である。店内はカウンター席とテーブル席があり、TVが点き、雑誌も数冊置いてあるので一人でも寛げる雰囲気になっていた。

ラーメンが目の前に置かれると、醤油とガラと小麦粉の三者の風味が混じり合った素晴らしい香りが立ち込めている。
見れば、油がほとんど浮いていないため、スープの香りが油膜に遮断されることなく、「ホワホワ」と・・・周囲一帯にまき散らされている感じだ。
スープを一口飲んだ、その刹那、「こ、こりゃあ・・・・うまい」と言う「電撃的ショック」にも似た感覚が脳裏を一気に突き抜ける。
その、飲んでから・・・「美味い」と思うまでの時間が非常に速いのに驚かされる。実にゼロコンマ数秒の世界だ・・・。

スープに油がほとんど浮いていないので、素材の旨味がいきなり直接に舌に触ってくる事、さらに化調が旨味をダイレクトに補強していることなどにより、非常にスピーディで「判りやすい味」になっている印象だ。こちらのスープを飲むと、ラーメンのスープにとって「油」や「脂」と言うものが、いかに「余計なもの」なのか・・・・そんな気持ちにさえさせられてしまう。
まさに一口目から、食べ手に考える余裕を一切与えずに、強引に自己の世界へ引き込むパワーのあるスープだ。

醤油の色は濃い目なのだが、醤油の味は随分と控えめになっていて、醸造風味の強さが影を潜めており、むしろ適度な塩気の方を感じる。使われている化学調味料も決して少なくない味なのだが、出汁と化調が二人三脚で「舌」を引っ張る感じで、一度、舌を捕らえれば、決して離そうとしない、最新の「照準」能力を持った自動追尾ミサイルのようなトレース能力を持っている名人芸的なスープだと思う。
素材は豚骨、鶏ガラ、鰹節、昆布、野菜などらしいのだが、特に弱火でコトコトと煮込み濁らせないことを念頭に置いていると言う。あっさりと優しくも心地よいガラ風味の合間には、チリチリと舌を灼くような旨味が巧みにちりばめられていて、やがて訪れるであろう「後味」の事さえ考えなければ、すべて飲み干したくなる強い衝動にかられる。

三口ほどスープをすすったところで、ふと喜多方の「坂内食堂」のスープが脳裏にフラッシュバックした。どこが似ているのだろうと考えたら、油が少ないこと、そしてあっさりした仕上がりのスープに茹で湯の粉臭さが混じっているテイストが似ているのだと気づいた。

麺は柔らかめの太麺である。
スープをしっかり吸っている感じであるが、レトロなカンスイ臭とともに小麦粉の粉臭さが全開になっていて、やはり醤油とガラと小麦粉の三者の風味が混じり合って醸し出す、あの「懐かしい中華そば」テイストを口中いっぱいに炸裂させて来る。
すすればボソボソする摩擦係数の高さがあり、縮れがあり、どことなく旭川ラーメンの麺に似ている気もするが、それをもっとずっと多加水で柔らかめに仕上げた感じである。口に入るとモフモフと膨れて、滑らかに円を描くような・・・ヒューマンな動き方をする。噛むと柔らかな麺が「ムチュ、ムチュ・・・」と歯にくっつき、歯ぬかりするような吸盤的感触が印象的である。

バラ肉のチャーシューは、まるで生醤油のような鋭いキレと尖った酸味を感じる。肉質はしっとりとしていてモソモソと硬めなのだが、たまたまなのかも知れないが、かなり醤油臭い、ちょっと舌を刺すような「鋭利」な味付けになっていた。
ホウレン草は、しっかりと茹でこぼした感じで、とても歯切れが良くアクや土臭さもないが、同時に緑色野菜の風味などもやや抜けてしまった感じを受けた。メンマもフニフニと柔らかめの歯応えである。具は全体としていかにも昔のままと言うイメージを受ける。

注文が途切れると、店主さんは厨房から出てきて客席に座り、タバコをふかしながら馴染み客との談笑に余念がない。店内は、さながらご近所の「寄り合い所」になっているようなアットホームでノスタルジックな雰囲気に満ちている。
しかし、ラーメン自体は・・・・懐かしいとか郷愁の味とか言うよりも・・・老舗テイストをしっかりと押さえつつも、「ズバッ」と疾風のように舌先に切り込んでくる実にアグレッシブな見事なスープである。言うなれば「あっさり」なのに「強い味」、いまだに第一線の味であり、やたらな最新ラーメンなど足元にも及ばない完成された味である。

店を出てからの後味の段階になると、今度は「井上」(築地)のスープが思い出されて来る。ガラの旨味とともに化学調味料が尾を引く後味なのだ。
しかし、決して不快なほどではなく、先のカンスイ臭と相まって、まさに「ラーメンを食べた」と自覚させられる後味・・・。
おそらくは、この後味・・・・昔からのラーメン好き人間の中には、「この後味、この後味こそが真のラーメンの後味だ」と言う人も決して少なくないと思う。


(麺は完食。スープは5割飲んだ。)










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