ラーメン&つけ麺食べ歩き
光禪
(東京都 中野区)

(2005/7閉店)

店名 麺坊 光禪(めんぼう こうぜん)
住所等 東京都中野区新井1-30-5 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2004年12月中旬 味玉ラーメン850円 + 餃子350円
2005年3月中旬 光禅つけめん 800円 
2005年4月上旬 光禅つけめん(大) 900円



〜光禅 その1〜

(各写真はクリックで拡大します)




到着しました。
JR中野駅、西武新宿線の新井薬師前駅、
どちらからも徒歩8分ほど。






落ち着いた色使いの店構え。
白くて小振りなノレンが粋な感じ。






営業時間。
「無添加」宣言のお店です。






店頭のメニュー。
焼き餃子がトップに来ています。
味玉ラーメンと餃子を注文。






店内は清潔感あふれる造りですな。
木目が優しさを醸します。






店主さんのキビキビした所作が実にいい感じ。
「気合」を感じます。






カウンターに貼られていた口上書き。
無添加&厳選素材で「身体にやさしいラーメン」が
テーマのようです。








2004年12月中旬 味玉らーめん850円 + 光禅焼き餃子350円



店主さんの深い「思い入れ」がいっぱいに詰まったラーメンですね。
確かに「無添加」で「非凡」なラーメンだと思います。

ラーメンを「健康食」というステージにまで
押し上げたいという信念に満ちた「一杯」でしょう。

焼餃子とのセットを意識した味付けにも感じます。









焼き餃子は確実に「自家製」と判る出来栄え。
「餡」はニンニクとニラが効いて実にパンチがあって美味しいです。
モッチリした厚めの「皮」と、パリパリ香ばしい「羽」の
絶妙なコントラストも「見事」ですね。









円熟感に満ちたスープは、
いかにも「無添加」「低塩」と言うイメージ・・。
やや多めに浮いた油が量感を演出。
かなーりの「力作」と言う印象を受けます。






無カンスイの自家製麺だそうです。
ストレート麺の非常にしなやかなコシに油がからんで
「ツルーリ」とした喉越しが良いですな。






茨城の奥久慈卵だそうですぞ。
トローリとした半熟の黄身がねっとりと舌にからみつき、
どこまでも深く、豊かな「味」を堪能させてくれます。




2004年12月中旬 味玉らーめん850円 + 光禅焼き餃子350円

2004年5月に中野区にオープンした無添加宣言のお店。
新井薬師駅から地元商店街をテクテクと歩いてゆくとお店を発見できる。落ち着いた色使いの店構えに白くて小振りなノレンが粋な感じだ。正面には赤文字で「無添加」と書かれた札がかかっていた。
メニューには珍しく「焼き餃子」がトップに書かれている。普段はほとんどサイドメニューを頼まない私だが、餃子がトップに置かれたその真意を知りたくなり、また「おすすめ」の言葉に惹かれて注文してみた。店主さんお一人で切り盛りされていたが、キビキビした所作が実にいい感じだ。

まず先に登場したラーメン、濃い茶濁のスープには油が多めに浮いて、白ゴマが振りかけられていた。スープを一口飲んでみると、素材がゆっくりと「ザワザワ」とざわめく、実に「柔和」で「軟らかい」味わいのスープである。
素材の中心はあえて言えば「豚骨」や「鶏」と言う感じを受けるが、かなり落ち着いたトーンのゆっくりとした旨味であり、パンチやインパクト、ダイナミズム、のような路線とは異なるイメージだ。
これほど茶濁しているし、香りもよく立っているのに、このような淡いトーンの味になるのがちょっと不思議に感じられ、一口目に「何か物足りない」と思ったが、三口ほど飲んで何が足りないのか理解できた。
おそらくは「塩」である。ただ、塩が「足りない」と言うよりも、店主さんの明確なポリシーで、むしろ意図的に「相当に控えている」のだろうと思う。

実は「塩」は素材の旨味を引き出し、さらに何倍にもその旨味を「増幅」させるミラクルなパワーがあるのだ。
例えれば最高級の松阪牛であっても、何も付けずにただ鉄板で焼いただけでは、「何か物足りない」はずだ。しかし、塩を一振りしてから焼いた松阪牛は何倍にも素材の旨味が増幅して「超激ウマ」である。
白いご飯も塩を振ると旨味が倍増する。どんな料理も「一味足りないな」と思ったら、塩を一振りするだけで、大抵はメキメキと美味くなるものだ。
実際、「塩」には各種アミノ酸の感度を何倍にも増強することが実験によって確かめられているらしい。犬の実験ではなんと5倍にも旨味が増強されたと言う。
逆に言えば、「塩分」の少ないラーメンは、塩味だけでなく、旨味までもが実際よりも、「薄く」、「弱く」、感じられてしまう事が多い訳だ。

こちらのお店のラーメンも、あと一つまみか二つまみ塩を追加で入れれば、スープの旨味が倍増し、間違いなく「大化け」すると思う。
しかし、一方で「塩」は使いすぎると健康には大敵である。胸焼けが起きるし、何より浸透圧の関係で血液をドロドロにして高血圧をもたらし、血管を激しく老化させる。高塩分食は胃癌の主な原因とも言われているほどだ。
厚生労働省の推奨値では一日10g以下に塩分量を抑えよと言う事だが、諸外国や世界保健機構はさらにもっと低く一日当たり6gを推奨値として設定している。
そこで、あくまで想像だが、おそらく店主さんは、「断腸の思い」で、敢えて塩分をギリギリまで控え、その代わりに「健康」と言う価値あるパスポートをお客さんに手渡す事にしたのではないかと・・・・推察するに至った。

実際に店内の口上書きには、「体にやさしいラーメン店」「薬食同源」「安心して美味しく全部飲んでいただけるスープ」などの言葉が並んでいる。
要は、ラーメンを「健康食」というステージにまで押し上げたいという信念に満ちた「一杯」と言うことなのだろう。

実際、世の「無化調」「無添加」を謳うお店でも、逆に思いっ切り「塩分」を大量投入して旨味を増強しているお店が非常に多い。しかし、私的にはこれではまさに「本末転倒」だと思っている。大量の塩分摂取は、適量の化学調味料以上に健康の大敵だと思うからだ。
そういう意味では、こちらのスープは店主さんの並々ならぬ「良心」「善意」「自負」が目一杯注ぎ込まれたスープである。まずは食べ手側(客)が、その重要なテーマを良く理解しない限り、こちらのお店のラーメンの「真価」「真意」を知ることは到底出来ないと思えた。

そしてさらに・・・・「無添加」「低塩」だけではない。
使われている中細のストレート麺は、なんと自家製の「無カンスイ麺」だと言うのだから驚いてしまう。お店のHPによれば、カンスイの代わりに帆立貝から作った特別なカルシウムを使っているという。
カンスイの定義は「中華麺類の製造に用いられるアルカリ剤で炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びリン酸類のカリウム塩又はナトリウム塩のうち1種類以上を含むもの」となっているようだが、厚生労働省によれば、天然の焼成カルシウムなどはアルカリ性を示すので、「カンスイに含めるべき」とのご宣託もあるようだ。
その自家製麺は、スープの油分をたっぷりと身にまとい「ツルーリ」とした滑らかなノドゴシを放つ。コシはゆったりとした感じで、上品な味わいである。確かにカンスイ臭は絶無。やや長めのため適度な量感がある。

味玉は、黄身が流れ出る感じの半熟で、味付けはあっさりとした醤油味であるが、 トローリとした半熟の黄身がねっとりと舌にからみつき、そのまま数秒間舌を動かさずにいると、どこまでも深く、濃厚な「味」を堪能させてくれる。
チャーシューはバラ肉かと思うが、まさに肉の旨味がはちきれる感じで、かなり美味しい。脂身は多めだったがトロトロする味わいが赤身肉の旨味と合わさると、豚の旨味を心ゆくまで満喫できる。味付けは適度にしっかりとしていて物足りなさはない。
太めのモヤシはショキショキとして新鮮な感じ。このモヤシがツルーリとする麺のやさしい食感に混じって、軽妙な歯応えを付加している。
さらに具として白キクラゲを使っているのは珍しい。白キクラゲは高級食材であり、血液をきれいにするなど健康に絶大な効果があると言い、この辺りからも薬食同源のポリシーが窺える。しかも肉厚で良質な白キクラゲが使われていて、スープをたっぷりと吸い込んでフルフル震える食感も美味しい。しかもかなりたっぷりと入っていて嬉しくなった。

スープからは、豚骨の風味なのだろうか、ちょっと何か「生卵の黄身」のような風味が終始感じられた。お店のHPを拝見すると、朝鮮人参も使っているようだが、私は朝鮮人参の風味には敏感な方だと自負しているが、味わった限りではあまり気付くことは出来なかった。
食べ始めた最初は、先日食べた「壱兆」(さいたま市)での時のように、味が後半になってグングン増してくるタイプかと思ったが、最初の一口目と最後の一口目で味のトーンがまったく変わらなかった。いかにも「低塩」という感じの、実に淡々とした、ちょっと「なで肩」な味わいのイメージだ。
さらに中華麺特有の香りを生む「カンスイ」を排除してしまっているため、高塩分+カンスイ臭のいわゆる「普通のラーメン」が食べたい人には、「ラーメンを食べた気になれない」「何か物足りない」と感じる人も中にはいるかも知れない。

しかし、実はその解決策も見事に用意されていた。
ラーメンの直後に提供された「焼き餃子」である。一つタレに付けて食べてみるとこれが予想を上回る明確なパンチのあるはっきりした旨味にあふれ、 モッチリした厚めの「皮」とパリパリ香ばしい「羽」の絶妙なコントラストなど単体でもかなり美味しいが、タレの強い味と餃子のニンニクやニラなどの強い風味が、ラーメンの繊細な味わいと絶妙にマッチするのだ。
つまり、餃子とラーメンを交互に食べると、餃子のパンチのある味わいが非常に良いアクセントとなって、一方のラーメンのやさしい味わいもグーンと「生きてくる」のである。まさにお互いの長所を成長させ合うと言う感じだ。
おそらくは、メニューの筆頭に餃子が来ていたのは、お店としても是非ラーメンと餃子をセットで食べて欲しいと言うことではないだろうか。実際、餃子がそういった味のコンビネーションの役割を確かに担っている気がする。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)




↓続きあり






〜光禅 その2〜




平日ランチサービスで半餃子100円。
このガラスの向こうが製麺スペース。
ここで「比類のない」自家製麺が誕生します。










2005年3月中旬 光禅つけめん 800円



とにかく「自家製麺」が驚愕の美味しさです。
筆舌に尽くせない清楚で豊かな風味、目が醒めるようなソリッドで緻密な食感。
「麺」そのもので、ここまで食べ手を魅了してしまうとは・・・。

細麺ジャンルのつけ麺としては
紛れもなく都内屈指の実力でしょうね。
厳選素材群もつけ汁となって一層のパフォーマンスを発揮。









完璧な冷水締めを経て提供される自家製の細麺は「超絶品」。
口中で見事に解像しながら、しかし決してバラバラにならない。
その類まれなる「精緻な歯応え」にまさに陶酔させられる思いです。

あまりに美味すぎて、半分ほど何も浸けずに
そのまま食べてしまいますた。
(*゜∀゜)=3






天然の厳選素材の優しさは変わらないままに
「酸味」という援軍を得て、一層旨味が増幅したつけ汁。
味的には魚ダシがやや頭一つ出た感じかな。






頃合いを見て割スープを出してくれます。
天然素材群の「産声」が聞こえてきそうな美味しいスープです。






スープ割をしたところ。
ほのかな酸味と白ゴマの風味がプレリュードを奏で
ナチュラルな素材群の旨味がメインで歌う感じかな。




2005年3月中旬 光禅つけめん 800円 

こちらの自家製麺が美味しいと言う評判を聞き及び、こちらのお店のHPを見てみたら、北海道産小麦100%使用&無カンスイの麺だそうで、確かに国産小麦で作られた麺は、上品でふくよか、風味の豊かな美味しい麺が多いと思う。
それでは、と、「つけめん」目当てに再訪してみた。前回訪問時には「12月限定」と書かれていた平日ランチサービスの半餃子100円が、そのまま定番として定着したようだ。その貼り紙が貼られたガラスの向こうに製麺機が置かれていた。

登場したつけ麺、まずは麺の香りをかいでみると・・・・ほのかに馨しい(かぐわしい)小麦風味と玉子の風味がふんわりと漂い、確かにカンスイのしけったような匂いは微塵もない。
箸で一つかみし、何も浸けずに一口食べてみた・・・・予想を遥かに上回る「ひんや〜り」としたクールな口当たりと、水っぽさの微塵もない麺の状態に、店主さんの冷水締めと水切りの入魂のほどが伝わって来る。
そうして、そのままズルズルとすすってみれば・・・・・ストレートの細麺に特有の、デリケートな直線を描く麺の軌跡が無数に発生し、唇を通ってゆくその細くてなめらかな小麦の肌触りが素晴らしく心地良い。この「すすり心地」こそが、細いつけ麺の何よりの醍醐味という感じである。

しかし今回、何より驚いたのは、麺が口中に入ってからの「動き」であった。
細麺の一本一本が完全に分解し、独立した存在感を放ち、食感に「だんご感」が微塵もないのだ。口中での全ての麺の動きが完璧にトレース出来るかのごとく、見事に解像しながらも、しかも決してバラバラにはならない。
一口食べて、「うぉっ」と声が出そうになった。
そうして、静かに噛み締めてみれば・・・やはり一本、一本の動きが伝わって来るかのような、みずみずしい「ソリッドさ」と、どこまでも「精緻」な素晴らしく心地よい歯応えが待っている。

確かに、まさに「目が醒める」ような美味しい麺である。あまりの美味を前にして体の五感が一斉に呼び覚まされる感覚だ。
適温に冷やされた食味、口中での見事な動き、みずみずしいソリッド感を放つ精緻な歯応え、清楚で豊かな小麦風味、などなど・・・・にほれぼれしてしまい、気が付けば、そのまま次々と麺だけを半分ほど食べ進んでしまっていた。

ただ、「ツルツル」ではなく「シュルシュル」とすする感触、正確な角断面を意識させるソリッドで精緻な噛み応え、カンスイ不使用の鮮やかな穀物風味、長くて細いストレート麺の形状・・・ということもあってか、「中華そば」と言うよりも、むしろ「日本そば」の食感に近いものを感じる。特に更科そば(外皮を入れず蕎麦の実の中心部の粉だけで作る真っ白い上品なそば)の食味に結構近いと思う。
とはいえ、そば粉の風味が全くしないので、「そうめん」の小麦密度を倍にして量感とソリッド感を出した麺・・・というような例えも出来るかも知れない。

私はどちらかと言うと、「うどん」よりは「そば」、しかも「盛りそば」が好きなので、こういった「盛りそば」感覚で食べられるつけ麺は大変うれしい。
この中華麺というカテゴライズを超越して誕生したかのような美味しい麺には、つけ汁や薬味なしで、「麺」だけを一皿食べたくなるほどの卓越した美味しさが確実にあると思う。
また、細麺だと時間が経つにつれ、盛られている麺同士がピトピトとくっついてしまい、団子状になってしまう事が多いが、こちらの麺ではそういうことが全くなかったのにも感心した。

一方のつけ汁は、基本的にはラーメンスープの素材構成と同じように感じられたが、つけ汁ゆえにややタレが濃くなっているのと、さらに心地よい酸味が加えられている。
実はこの酸味がかなり奏功していて、この酸味がベースに配置されることで、全体の味の「輪郭」が鮮明になるというか、まさにテコの原理の如く、天然素材からの優しい旨味を倍増させている印象を受けた。そのため、デリケートすぎる部分がなく、明確に味が立ち上がって来るので、次々と箸が進む感覚がある。

ダシ的には、魚介系がほんのり目立って感じられ、このちょっと日本そばを連想する食味の細麺と組み合わさると、ますます「和」テイストに感じられる。微細な一味唐辛子も加えられているが、辛味はあまり目立たない。あくまでインパクトやパンチとは別路線の、体に優しい医食同源路線である。
日本そばや、そうめんなどが好きな人を始め、老若男女、誰にでも好かれそうな要素を秘めた味のまとめられ方と感じた。ただ、裏を返せば、あまりにも正攻法と言うか、無難にまとまりすぎな面も感じなくもない。やはり何かもう一つ、もう少しクセや個性が欲しい気もする。

また、つけ汁の中には、チャーシュー、モヤシ、白キクラゲなどが入っている。
チャーシューはたまたまなのか、ラーメンの時よりも割と薄めに切られていた。脂身部分がトロトロでふくよかな味わいで美味しいが、やはりもう少し厚みがあるとさらに嬉しい。
モヤシは驚いた事に「麺」の食感と完璧に一致する「歯応え」の水準に茹で上げられ、食感の一致が計られている。さらにモヤシ特有のあの生臭い匂いが完璧に取り除かれている。こういった配慮と、それを実現してしまう調理技術は見事としか言いようがない。
白キクラゲはフルフルふるえる優しい食感で美味しい。器が小さくなったせいもあるかと思うが、ラーメンの時よりは量が少なめになっていた。

食べ終わる頃を見計らって、店主さんが小さな器で割スープを出してくれた。
そのスープだけを少し飲んでみると、何かが突出したような味ではなく、ザワザワと多数の素材の「産声」が聞こえてくるような、穏やかな旨味に満ちた丸く優しい味わいのスープである。
残ったつけ汁に注ぎ、一口飲んでみると、なぜか白ゴマの風味が際立って来て感じられた。
以前のラーメンのスープと比較すると、わずかとはいえ酸味がプラスされたせいか、味わいの輪郭がより一層はっきりとしていて、素晴らしく美味しい。レンゲもあったが、途中からもどかしくなり、器ごと手に持ってゴクゴクと味わい尽くすように飲み干してしまった。

食べ終えての感想としては、つけ汁もハイレベルな出来栄えであるが、やはり何と言っても自家製の「細麺」が突出して素晴らしいと思う。
ラーメンの時は、熱いスープに浸っていたせいか、この類まれなソリッドで精緻な食味が十分には判らず、またスープの油分をたっぷりと身にまとってしまったせいか、ツルツルする滑らかさばかりが強調されてしまっていたように思う。

やはり、「美味い麺はつけ麺でこそ食すべし」と思えてならない。「一本気」(埼玉)や「米屋」(群馬)の時にも感じた事だが、ラーメンではスープに埋もれてしまっていた自家製麺の風味や真価が、「つけ麺」というステージを与えられ、ついに解き放たれ、その実力の全容をいかんなく発揮できると言う印象である。
「一本気」、「米屋」でも、その細麺の驚愕の美味しさに心底度肝を抜かれたが、今回、こちらのお店を加えて、私的には「細」つけ麺の究極美味「御三家」と呼称したくなった。


(麺は完食。スープ割も完飲。)




↓続きあり






〜光禅 その3〜










2005年4月上旬 光禅つけめん(大) 900円



うずたかく盛られた細麺の「山」は、まさにお宝の山。
まるで生きた「白魚」が舌の上で舞い踊るかのような食味の麺です。
高グルテン+高圧延+超精緻な裁断・・・がこの無類の食感の秘密かな?

素材のコクとともにサッパリした清涼感のあるつけ汁も秀逸。
つけ汁には具材や薬味が満載ですが
全く邪魔にならない食感の統一もお見事ですね。









つけ汁は動物系素材のコクとともに、意外にサッパリした口当たりも両立。
上品な酸味が心地よい旋律を奏でる、円熟感のある味わいです。
モヤシの薬臭さがなく、ただただ清涼な味わいなのにびっくり。






麺の切れ目を探すのに苦労するほど、長〜い自家製麺。
もしかして幅も長さもすべての麺をミリ単位で完全統一?






「ソリッド&スクエア」な麺も、つけ汁に浸けると、ちょっと柔和な表情に。
油を身にまとい「シュルシュル」、「ツラララ〜〜」と滑らかなすすり心地。
細麺なのにズンズンと腹に堆積し、どっしりと溜まる感覚があります。






豚骨などの動物ダシがとても良く出たスープ割。
ふくよかながらも小気味良いパンチがありますね。




2005年4月上旬 光禅つけめん(大) 900円

前回のつけ麺の美味しさが忘れられず再訪。今回は、当然のようにつけめんを「大盛」にして頼んでみた。
登場したつけ麺は、麺が堆く(うずたかく)盛り付けられ、細麺ながらも見るからに「ドッシリ・・・」とした、密度感のある佇まいだ。そして今回、改めて気付いたのは、麺の正方形を思わせる見事に端整な角断面もさることながら、箸で持ち上げてみると麺が非常に長く、しかもその一本一本の長さが整然ときれいに「揃っている」ことだ。まるで、製麺過程で不可避的に生じたハギレやチギレ等をすべてつぶさに間引きして、すべての麺の幅と長さをミリ単位で完全に統一しているような印象を受ける。
ただ、麺があまりに長くて、なかなか切れ目が見当たらないほどであり、しかも軽くからみ合い隙間なく密集して山になっている状態なので、慣れるまではちょっとだけ麺を持ち上げづらいというか、食べづらい気がした。

まずは汁に浸けず、そのまま麺を一口食べてみると、やはり「プリプリ」とかの弾力系ではなく、「モチモチ」などの粘り気系でもなく、言うなれば「コリコリ」とする小気味良い「ソリッド&スクエア」な、明瞭な「歯応え」系の麺である。
何と言うか・・・・強力粉を多めに配合した高グルテンの麺帯を、製麺機で何回も何回も相当丹念に高圧延を繰り返したような・・・・実に「中身の詰まったソリッドな麺」という印象だ。
まるでミクロン単位のごとき正確な裁断とともに、その一本一本がとにかくパーフェクトに「均質」で、一切の「ムラ」がない仕上がりであるのには、作り手の気合と言うか、ちょっとした執念を感じるほどだ。
ただ、前回と比較すると、ややソリッド感が強調されすぎてしまっている部分も感じられ、これが製麺時のブレなのか、茹で加減によるものかは判らないが、「製麺」も常に気温や湿度に大きく左右されるらしく、毎回、練り込む塩や水の量を微妙に調整しなければ決して同じものは作れず、スープ作りと同等か、むしろそれ以上に難しいという話を店舗経験者の方から聞いたことがある。

つけ汁に浸して食べてみると、その「ソリッド&スクエア」な麺も、つけ汁の温かさでほぐされるのか、ちょっと柔和な表情になるように感じられ、汁の油を身にまとって「ツラララ〜〜〜」と滑らかなすすり心地を放つ。この時の唇触りは、まさに食べた者にしか判らない素晴らしい快感である。
そうして、口中に入った麺は、今度は・・・まるで白魚の踊り食いを連想してしまうような・・・・自在で、複雑で、快活な動きを放ち、従来の麺の概念を覆すかのような、何とも無類の舌上パフォーマンスを発揮する。
噛み締めればナチュラルながらも、やはりあくまで「ソリッド&スクエア」な食味であるが、かなり咀嚼(そしゃく)してから飲み込んでも、麺が決して己(おのれ)の姿を失わないと言うか、「細麺」として生まれた自身の原型をパーフェクトに保ったまま胃の中へと溜まってゆく感覚・・・がある。
しかも、細麺なのにもかかわらず、実に「中身の詰まった麺」ゆえ、食べる量に正確に比例しながらズンズンと胃に堆積し、腹にどっしりと溜まってゆく割とヘヴィな感覚である。

つけ汁自体は、メニュー表記によれば、甘・酸・辛の三位一体と言うことだが、私的には上品な酸味が頭一つ出て感じられる。この上品な酸味が心地よい旋律を奏で、全体の円熟感のある優しい味わいに輪郭線を一本付加している印象だ。
動物系素材のコクがしっかり出ているが、一方でモヤシや白キクラゲなども混じるせいか意外にサッパリした口当たりの軽さ&潔さがある。それでもラーメンのスープと比較すれば、塩分は増強されているようで、味の芯がしっかりしていて、大盛りの麺を次々に消費させるだけのパンチも備えている。

バラ肉チャーシューは、柔らかいながらも肉の旨味が詰まったもの。薄切りにされ、しんなりした食感なので、ほぐす感じで麺と一緒にほおばると一層美味しく食べられる。また、穏やかにシャクシャクするモヤシも、モヤシ特有の例の薬臭さが全くなく、ただただ清涼な味わいなのには、毎度の事ながらちょっとびっくりさせられた。
つけ汁の器の中は、具材や薬味が満載なのであるが、麺を浸けて食べても、それらが全く邪魔に感じられず、全体として上品なトーンで食感の一致が見事に図られている。

割スープは前回と比較すると豚骨などの動物系が、上品ながらもさらにしっかりと出ていて、パンチがありとても美味しい。飲み始めれば、まさしく「蜜の味」であり、気が付けば・・・すべて飲み乾してしまっていた。
ただ、飲み終えた直後はダシの美味しさに紛れて判らなかったものの、大盛り用としてつけ汁が多めに入っていたせいか、お店を出てから30分ほど経つと、多少の塩分感は、極めてほんのりとだが舌に残る感じはあった。
また、実にソリッド感のある「中身の詰まった麺」ゆえ、大盛りを食べると、想像以上に腹にどっしりと「固形分」が堆積した感覚があり、満腹感、満足感とともに、腹もちが良いと言うか、「消化」作業にはそれなりの時間がかかる印象を受けた。


(麺は完食。スープ割も完飲。)










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