ラーメン&つけ麺食べ歩き
きび 神田店
(東京都 千代田区)

店名 支那そば きび 神田本店(きび かんだほんてん)
住所等 東京都千代田区神田小川町1-7 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2006年4月中旬 支那そば 600円 




〜支那そば きび 神田 店〜



お店に到着しました。
「小川町駅」「淡路町駅」「新御茶ノ水駅」から徒歩1〜3分ほど。
JRの「神田駅」や「御茶ノ水駅」も徒歩圏内。






大きなビルの1Fの一画が店舗です。
木製のレトロな扉やノレンの様子など・・・意図的なのか、結構ノスタルジックな感じ。






おお、店内は・・・さらに一層、「ノスタルジック」。
壁や天井、柱やテーブル、丸椅子など・・・懐かしい古い民家をイメージさせますな。
また、この絶妙な「狭さ」が・・・・何とも言えず「昔の日本家屋」的な演出(´Д`)。






メニューです。「支那そば」を注文しました。
「支那そば」が筆頭ニューですが、「※各塩もできます」とも書かれています。
時計もユニーク、左下には「ランチタイムおにぎりサービス」の札も・・・。






天然のむく材を使ったカウンターや壁の葦簀(よしず)が良い雰囲気。
奥の一帯が厨房スペースです。






最初に登場するオチョコに入った「小梅」。










2006年4月中旬 支那そば 600円
(この写真はクリックで拡大します)



一見すると・・・「昭和」の支那そばチックですが、
中身は実に隅々まで・・・「最新」の支那そばと言う印象です。

しかも、伝統の味を徐々に改良し続けて、このレベルに至ったと言うよりも・・・
作り手のセンスと最新の調理技術を駆使して「懐旧の味」を一気呵成に
現代風に「復元」したかのような・・・イメージ。

スープも、麺も、具も・・・きっちりと「ハイレベル」。
周辺のオフィス街の客層の趣向とも完璧に「調和」する味でしょう。
まさに、「お見事」の一言です。









強い醤油や調味料でグイグイ押すレトロなタイプではなく、
しっかりとした「出汁」の本来の美味しさで「美味」を構成する現代的なスープ。
濁りや雑味が全くなく、実に「美麗なる」味わいです。






縮れた中細麺は、すすると、縮れがプルプルと心地よく振動して楽しい。
どちらかと言えば柔らかめなのだが、決してレトロチックではなく、
中量級の重さと存在感のある歯応えを放ちながらも、決して「硬くない」と言う・・・なかなか非凡な麺。




2006年4月中旬 支那そば 600円 

2001年1月創業のお店。既に品川のラーメンコンプレックス「品達」にも支店があり、代々木のアジアンヌードル「Bin」もこちらの姉妹店である。
入店すると、店内はさほど広くはないものの、内装はかなり凝っていて、ふんだんに使われた天然木の無垢材はどうやら船の古材を使っているらしい。壁や天井も葦簀(よしず)や和紙などを使って作られており、何とも、「味」のあるアンティークな趣きのある空間となっている。
入口すぐの位置にコの字型に座るテーブル席があり、その先にカウンター席と二人掛けの小卓が一つあり、奥の一帯が厨房になっている。
支那そばを注文した際に、「ランチサービスのおにぎりも如何ですか?」と尋ねられたが、連食予定だったため、敢えて頼まなかった。

スープは・・・・まず「鶏」の風味が何とも言えず「上品」で「ふくよか」で、驚くほどにハイレベルな美味しさ。
そして、ほんのりとする甘味があり、醤油の風味が全く尖らず、非常に品良く添えられていて・・・・飲むほどに、「上品」、「繊細」、「洗練」、と言う言葉が次々に脳裏に浮かんで来る。
スープの素材は、鶏、豚、野菜・・・らしいのだが、鶏と豚の比率では、圧倒的に「鶏がメイン」だと思う。少なめに浮く油もラードではなく、鶏油であり、それゆえ、とても口当たりが「柔らかく」「円い」「あっさり」系のスープである。後味のほんのりと尾を引く美麗な甘味がとても印象的だ。

近隣はオフィス街であるので、この「伝統的でありながら上質」な美味スープは、ホワイトカラーの男性やOL等にも非常にウケが良いと思う。
こちらのお店の店主さんは、同じ千代田区の老舗の支那そば店「びぜん亭」で修行された経験があるそうで、同じような味を想像していたのだが、醤油ダレの強いパンチで食べさせる感じではなく、とにかく、あくまでふんわりと優しい「出汁の旨味」であっさりと食べさせる感じになっている。

麺は縮れの付いた中細麺。
すすってみると、縮れがプルプルと心地よく振動し、どちらかと言えば柔らかめなのだが、フニャフニャとして歯応えの弱いチープな麺や、やたらと懐かしい感じのするレトロな麺ではない。
中量級の重さとカンスイっぽさが残っていて、噛んでみると、グッと一度歯の進入を軽くブロックしてから、再度進入を許すような・・・・麺が自身の存在感を上手に放ちながらも、決して「硬くない」と言う・・・・なかなか「ありそうで無い」見事な歯応えの麺だ。

バラ肉のチャーシューは、赤身はふっくら、脂身はトロトロで、いずれの部分も感激するほどの素晴らしい美味しさ。
臭みとかパサ付き感とかは全く感じられず、文字通り「絶品」のチャーシューである。肉の旨味がたっぷりと内包されて残っていて、舌の上でふんわりと蕩(とろ)けてゆく感じに心を奪われ、さらに蕩けた後には上品な肉の旨味のコクがしっかりと舌に残る。
メンマも素材の風味が生きていて美味しい。ただ、コリコリとかシャクシャクと言う軽快な歯応えではなく、繊維が太くてボワンと膨張するような・・・・繊維がやや硬く、大味な感じの歯応えだった。

海苔は、どうやら「明石の海苔」を使っているようなのだが、香りがふくよかで素晴らしく、普段食べている海苔とは「明らかに違う」と思えるほどに美味しい。海苔の風味が単に「強い」と言うのではなく、風味が「良質」と言う印象なのだ。
こういう海苔を良く探し当てたなあと思うし、さらに・・・・おそらく安くはない海苔であろうに、良く使っているなあ・・・・と思う。

ただ、小松菜はたまたまと思うが葉の部分ばかりが密にギュウッと重なっていて、なかなかほぐれず、「シナシナ、クニクニ」として歯切れが重かった。もう少し適度に茎の部分を織り込むと、パキッ、シャクッ、とする軽快な歯触りになるのだが。
また、葉の部分が多いせいもあってか、緑の葉野菜特有の「草」っぽい香りや味がちょっと強すぎるように感じられた。この小松菜は、量も結構多かったので、全体の「味のバランス」と言う面では少なからず影響を与えている気がしたが、栄養価の高い野菜ゆえ、「栄養のバランス」と言う面では、むしろ大いに歓迎すべき「量的」配慮とも言えるのだろう。

ちなみに、ウッディでアンティーク調のインテリアは温かみがあり、趣味性が高くてなかなか楽しいが、カウンターテーブルに使われている天然木は、合板ではない「無垢材」ゆえの「そり」があり、それゆえ器の底がピタッと安定せず、終始、「コトコト・・・」と揺れてしまうのだけは、食べていてちょっと気になった。

食べ終わっての印象としては、まさに、こちらの「支那そば」・・・・一切の「手抜きなし」である。
一見すると・・・「昭和」の支那そばチックであり、確かに「路線」としてはそのベクトルをしっかりと感じるものの、中身は実に隅々まで・・・きっちりと「最新レベル」の支那そばになっていると思う。
つまり、伝統的な「支那そば」の路線ではありながらも、明らかに新しい息吹を感じさせる「新世代の味」・・・・に感じられるのだ。
さらに、そのアプローチの方法が非常に「真摯」であり、とにかく、器の中のすべてが「上質」で「洗練」されていることが強く印象に残る。

そして、伝統の味を徐々に改良して、下から積み上げてこのレベルに至ったと言うよりも・・・作り手の才能とセンス、最新の調理技術と良質素材を駆使して、「懐旧の味」を一気呵成に現代の価値観に照らして「復元」したかのような・・・イメージでもある。
いわゆる「老舗」の場合、先代から受け継いだ味の伝統や長年に渡って通ってくれている常連客の存在などなど、様々な「しがらみ」がある手前、どうしても過去の味に縛られると言うか、ある日ガラリと新しい味に刷新することは難しい。
そういう意味では、5年前に創業したこちらのお店は、真っ白な画用紙に思い通りの絵が描ける状態でスタートできたのが奏功しているのだろう。

加えて、この地代の高そうな場所で、このハイレベルな美味しさで、オニギリまで付くランチが、わずかに「600円」と言うのは・・・・これはもう、相当な「お値打ち」価格だろう。
そして何より、周辺のオフィス街の客層の趣向とも完璧に「調和」する味、「歓迎」される味だと思う。
と言うよりも・・・・むしろ、こう言う素晴らしいお店が職場の近隣にあると言う事は、紛れも無く、「天恵」であり、「天与」だとさえ思える。

お店を出てから暫らくすると、様々な味や香りが次第に姿を消してゆく中で・・・・最後に「醤油」のきれいな醸造風味がうっすらと尾を引いて長らく残る。この後味の感覚も何とも絶妙だ。
まさしく、今日、自分は「支那そば」を食べた・・・・と言う、「確固たる満足感」を長らく演出してくれる。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)










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