ラーメン&つけ麺食べ歩き
欅 ラーメン博物館 店
(神奈川県 横浜市)

店名 欅 新横浜ラーメン博物館店(けやき)
住所等 神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 ラーメン博物館内 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2005年5月上旬 味噌ラーメン 900円

   


〜けやき ラー博店〜

(各写真はクリックで拡大します)




JR新横浜駅から徒歩5分、
全国の「ご当地ラーメン」を厳選セレクトした
ラーメンフリークの「聖地」、新横浜ラーメン博物館です。

ラ博ビルの上部が駐車場フロアですが、
周囲にも無数にコインパーキングがあります。






うーむ、さすがに「威風堂々」としていますね。
昨今、増え続けるラーメンテーマパークとは、やはり「格」が違う感じ・・・。
まさに「殿堂」というイメージ。
壁面にどんぶりのオブジェが並んでいます。






入館するとすぐに博物館スペース。
各種グッズ、オミヤゲ、書籍なども売られています。






袋入りインスタントラーメンのコレクションの展示。
その他、どんぶりやラーメンキャラクター等のコレクションも展示。






1Fには「支那そばや」の製麺室があり、
製麺の行程を見学できます。
この日、店主の佐野氏はいらっしゃらないようでした。






地下1階へ降りるときれいな夕焼けの空と、
すすけて、ひなびた街角の風景が・・・。
「昭和30年代初期の下町」がテーマ。

地下1階はグルリと回廊型の店舗レイアウト。
「欅」「支那そばや」「井出商店」が入店。






地下2階は広場型の店舗レイアウト。
懐かしいあげパン、牛乳、アイス、ビールなどの露店もあり。
警官や駅員に扮したスタッフとの記念写真撮影や、
アコーディオンの生演奏などの演出も。

地下2階には
「千草」「蜂屋」「ふくちゃん」「こむらさき」「春木屋」が入店。






「欅」に並ぶ行列。
約20分後に入店できました。






行列の途中に券売機が設置されています。
写真とコメント付きで親切ですな。
「味噌ラーメン」を購入。






2004年12月にラ博へ出店した「欅」の入口です。
紺色のノレンに入っている文字は
「札幌すすきの 味噌ラーメン専門店 けやき」。
札幌ススキノにある10席ほどの本店は連日の大行列だそうな・・・。






店内はカウンター席と、奥にテーブルもあるようです。
何よりもキビキビした厨房の雰囲気が抜群に良いですね。

店内は味噌と野菜の素晴らしく芳ばしい香りが立ち込め、
本当に美味しいラーメンが提供される期待が高まります。










2005年5月初旬 味噌ラーメン 900円



うーん・・・素晴らしい「味と香り」ですね。

味噌の風味、野菜の甘味、ガラのコク、挽き肉の旨味、麺の香り、油、ゴマ、唐辛子・・・
これらが渾然一体となって織り成すなんとも重層的で豊かな味わい。

非常に手の込んだラーメンという印象ですが、
どこまでも食べ手を大切にした「まじめな味」「上品な味」です。

札幌味噌ラーメンとしての「正攻法」を
一つ一つ、丹念に、まじめに、念入りに、究極まで・・・
「積み重ねて」誕生した味と言うイメージ。









何十種類と言う「香り」と「味」が湧き立つスープ。
これほどに「芳醇な味」でありながら、驚くほどに「ナチュラルで優しい味」。
絶妙な甘味を備えて非常口当たりが良く、素晴らしく美味しいです。






麺は黄色い中太ちぢれタイプで、長時間熟成されているようですね。
表面はプリプリと軽く歯をはじくようなハリのある食感、
噛めばシコッ、シコッ・・・とする独特なコシ。
まさしく典型的「札幌味噌」という風合いの麺。




2005年5月初旬 味噌ラーメン 900円 

新横浜ラーメン博物館の誕生以来入館していた「すみれ」が退館し、その後継として2004年12月に出店した札幌の人気店。
本店は札幌の中心街「ススキノ」にある10席ほどの割と小さなお店であるが、1999年に開店するやいなや、みるみる人気店への階段を駆け上り、今やススキノで連日の大行列だと言う・・・。
実際、この日もラ博の8店舗のうち、待ち時間はこの「欅」が最長であり、人気の高さを物語っていた。

入店すると、カウンターの相向かいに厨房が広がり、完全なオープンキッチンなので調理の様子が手に取るように見える。非常に真剣な表情と実にキビキビした動きで、見ていてとても気持ちが良い。
そして店内には、味噌と淡色野菜を炒めた芳ばしい匂いが立ち込め、素晴らしい「香り」の重圧を放っている。ラーメンが登場するまでの間、呼吸をするたびに、吸い込むその芳醇な香りに魅了され、気分はすっかり「欅ワールド」へトリップした状態になってしまう。

そうして登場した味噌ラーメンは、白髪ネギがうずたかく盛り付けられ、味噌が溶け込んだのか金色にキラキラ輝くラードの層が浮いていた。
そのキラキラとまばゆい黄金スープの美しいビジュアルもさることながら、熱された味噌と野菜の織り成す媚薬の如き甘く芳ばしい芳香に、これは「相当に期待できる」と確信する。
レンゲでスープを取り、一口、口に含むと・・・・いやはや何とも素晴らしい美味しさだ。
その芳醇な香りと味が、私の鼻腔と味蕾を同時平行的に一気に占領してゆく・・・まるで「香り」と「美味」という名の美しい双子の姉妹に同時に話しかけられる気分だ。
二口、三口と飲み進むと・・・・熱せられた野菜の甘味、味噌の風味、ダシの旨味、挽き肉のコク、一味唐辛子の辛味・・・・これらのいずれもが見事に整列し、均衡していて、なんて深く、豊かな味なんだろうと・・・ますます「うっとり」とさせられてしまう。

特に魅力的に思う点は、これらの味わいが、ありがちな「インパクト」路線でプロデュースされているのではなく、絶妙な甘味を備えたスープは飲み口が非常に優しく、とても「上品」な品格を備えたスープとして仕上げられているという事だ。
ラードは浮いているものの、いかにも高熱で溶かされた感じの意外に柔らかな口当たりであり、スープに適度な厚みを加えている程度。また、味噌の「強さ」や「塩辛さ」のようなものが微塵も感じられず、ただただ上品な甘さとふくよかさだけが溢れかえっている。

麺は黄色い中太ちぢれタイプで、長めに熟成されているようで、表面はプルプル、ツルツルと軽く歯をはじくようなハリのある食感であり、口の中に入るとモニモニとする舌触り、そして噛み締めれば「シコッシコッ」と、歯に結着するような独特で固めの弾力がある。
よく熟成され、半透明な、ちょっと輪ゴムを連想するようなこの独特な歯応えの麺は、私の想い描く典型的な札幌ラーメンの麺のイメージとまさに符合する。
ちぢれが明確で、なかなか主張の強い麺であり、並みのスープだと麺が浮いてしまいそうなところだが、この香りと旨味の重層的なスープとは、まさに「相思相愛」の最高の組み合わせである。
さらに絶妙に火の通されたモヤシやキャベツなどの淡色野菜のシャキシャキ、パリパリする食感や香り、甘味、旨味が入り混じって、ラーメン全体として、まさに語り尽くせないほどの複雑で荘厳な味わいの世界を創出している。
特にキャベツの甘味と食感が素晴らしく、味噌の風味と豚挽き肉のコクが合わさると、まさしく「桃源郷」に足を踏み入れる・・・・かのような美味しさだ。回鍋肉(ホイコーロ)などを食べると毎回感じる事だが、キャベツと味噌と豚肉は非常に相性が良いと思う。

また、スープが重厚になり過ぎないように、多めの白髪ネギが載せられて、シャープな食感と生ネギの風味を加えることで軽さとキレを付与し、白ゴマで芳ばしさをプラス、さらに一味唐辛子の辛味でパンチを加えている印象だ。
スープのところどころに挽き肉が散りばめられていて、肉々しい旨味やコクを加えているのだが、この挽き肉が歯を弾き返すような弾力の強いものであり、シャキシャキの野菜だけでなく、肉特有のモグモグとする弾性のある食感が混じる事で良いアクセントになっている。

食べ終えてみると、舌の上はラードのサラサラする不思議な粒子感がわずかに残り、豚骨出汁のゼラチンなのか唇がちょっとネチネチとする。無粋な調味料の後味や塩辛さは絶無で、後味は非常に爽快でありながらも、腹の中はどっしりと熱々の麺やスープが詰まった感じがしていて、いかにも体がカロリーアップした感じがある。
アプローチとしてはトリッキーなものやギミックなものは何一つなく、小手先技を弄(ろう)していない、あくまで「札幌味噌」としての正攻法を一つ一つ積み重ねたもの・・・と感じられる。
しかし、その「重ね方」が尋常でなく上手いうえに、周到に何層にも重ねられ、食べ進むほどに、その作り込みの念入りさ・・・に舌を巻く。

さらに、どこまでも食べ手を大切にした「まじめ」な作り、「優等生」的な味の作り込みと言うか、 素材の持ち味をとことん大切にしていて、これほどに「芳醇な味」でありながら、驚くほどに「ナチュラルで優しい味」でもある。
豊かで力強くありながらも、どこかしら欲張っていない、「気位の高い味」「上品な味」とも言えるだろう。品良くまとまっていて、やや甘味を感じる味は、誰にでも好かれそうな味わいである。

どうしても前任の「すみれ」と比較してしまうが・・・・もし、従来の「すみれ」が強烈な旨味のパンチと香辛料の強引なインパクト、そしてその圧倒的な「存在感」で食べ手をトリコにするサッポロラーメンの「王」「キング」だったとしたら、こちらの「けやき」は、豊満な香りと慈愛に満ちた優しい味わい、そしてその天性の「上品さ」で食べ手をどこまでも深く魅了する「女王」「クイーン」・・・・と言うイメージ・・・・ではないだろうか。

少し調べてみると、店主さんはもともとは40年近いキャリアを持つ和食の料理人という事を知り、「ああ、やっぱりな・・・」と思った。
いわゆる作り手のプロとしての「プライド」や「気位の高さ」を感じる味なのだ。たとえラーメンとは言え、化学調味料や香辛料などをバンバン使って作るのは、長年に渡る厳しい修行で身に付けた自分自身の調理技術やキャリアが、それを許さない・・・・というイメージなのだ。
実際、和食やイタリアンのご出身など、長年に及んで本格的な「料理」の修行をされた方が作るラーメンは、無化調、もしくは無化調に近い味付けになっている事が多いと思う。こちらのお店の味もやはりその路線だと感じる。こってりと濃厚でありながら、一足飛びに「味」を突きつけられるのではなく、じんわりとしたナチュラルな旨味がじっくりと重層的に積み重なってゆく感じで、どこまでも優しい味、どこまでも自然な味・・・なのだ。
かといって、気取った高尚すぎる味と言う訳ではなく、たっぷり野菜が載ることもあり、どことなく家庭的な味、温かな親しみやすい味・・・・でもある。
逆に素人出身の方が作るラーメンは、どうしても最初に「味ありき」という感じで、すぐに性急に「味」を「作ろう」としてしまっているイメージが強い。結果として、やたらと小手先技を駆使したり、どうしても調味料に頼ってしまい、「いじった味」になりがちだ。

ともかく、最初の一口目から、最後の一口まで・・・・文句なく美味しいが、何よりも普段食べているラーメンと圧倒的に異なるのは、やはり素晴らしい味噌の「香り」の存在だろう。 言うなれば「一杯で二度美味しい」、つまり普段の二倍、二重に美味しいのである。
うなぎ屋さんは「蒲焼」を売るにあたり、味ではなく「匂いを食わせろ」と良く言われているが、こちらのラーメンもうなぎの蒲焼の如く、その芳ばしく豊かな匂いで真っ先に食べ手を魅了してしまう。
こういう強力な「アトラクトパワー」のある芳醇な香りや風味は、ミネラルの結晶体に過ぎない「塩味」では絶対に出せない世界だし、「醤油」でももっと線の細い、痩せた香りになってしまう。
そういう意味では、「味噌ラーメン」の独壇場であり、「味噌」という調味料の持つ最強のメリット、最高の美点、最大の魅力を、見事に生かし切っている印象のラーメンだ。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)










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