ラーメン&つけ麺食べ歩き
海神
(東京都 豊島区)

店名 麺屋 海神(かいじん)
住所等 東京都豊島区西池袋3-33-17
     ↓ (2006年2月閉店後、2007年10月移転再開)
東京都新宿区新宿3-35-7 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2004年11月上旬 あら炊き塩(大) 800円



〜麺屋 海神〜

(各写真はクリックで拡大します)




到着しました。
池袋駅からは徒歩4〜5分ほど。
麺屋「ごとう」の左隣です。






ラーメン王の石神氏プロデュースのお店ですぞ。
営業時間なども記載されてます。






入口の口上書き。
「旬」という概念を大切にして、あえて
季節や日によってスープ素材の「魚」の種類を
変えているそうな。






本日のスープに使った「あら」が
入口に貼られています。
「あら」と言いつつも、
小さな魚の場合は成体全体を使うようです。






オープンしたてのせいか、
麺類のメニューはまだ一種類のみ。
「近日発売」のボタンが楽しみですな。
「あら炊き塩」を大盛オーダー。






店内はテーブル席とカウンター席。
リニューアルしたてでピカピカ。
本日の「あら」が壁に大きく貼り出されてますた。










2004年11月上旬 あら炊き塩(大) 800円



うーん・・・これは美味しいですね。
素晴らしい魚の旨味が「幾重にも」きれいに折り重なるスープは、
まさに極上の「和風ブイヤベース」という趣きですな。

調味料に頼らない本物の「魚ダシ」三昧が楽しめます。
手作りの「つみれ」も、まさに感涙物の出来栄え。

今回たまたまなのか、
ちょっと紫蘇が多すぎたような・・。







まさに、本当に「鮮魚」の味ですね。
しかも、生臭味が全くないのには頭が下がります。

多めの魚油が浮き、決してライト過ぎない深い味。
添加物感がなく、塩分も非常に控えめですな。






ストレートの細麺は特注品。
二種類の小麦をブレンドした麺を、
良いコシが出るように低温熟成させているそうです。
しなやかで、のびやかな食感は、
ちょっと「支那そばや」の麺を彷彿させますな。






左がタラとエビのつみれ。
右が鶏肉と軟骨のつくねです。
ともに100%完全手作り。
特に「タラとエビのつみれ」は感涙物の美味。






焼きオニギリがセットで付きます。
米にはカツオ節のような物が混ぜ込まれ
魚の粕漬けが餡のようにして入ってますぞ。






「最後にスープに入れて食べて下さい」
とアドバイスを頂いたので入れてみますた。
粕漬けの味で一ひねり加わり、味も濃くなるけど、
焦げた部分がちょっと固いかな・・。

私的には温かい白ご飯を入れて、
お茶漬けのようにサラサラと食べてみたいっス。




2004年11月上旬 あら炊き塩(大) 800円

ラーメン王石神氏のプロデュースで2004年10月にリニューアルオープンしたお店。
店頭の貼り紙によれば、「新鮮な魚のアラを丹念に炊き上げました。旬の素材にこだわっているので、入荷する魚は毎日異なります。季節によって変わるスープの味をお楽しみ下さい」と書かれている。オープン間もないためか、メニューは「あら炊き塩」の一種類のみで、大盛無料と書かれていたので大盛で注文した。券売機には、醤油ラーメンやつけ麺、味噌ラーメンなどのボタンもあり、「近日予定」と書かれている。

登場したラーメンは黄金色の透明なスープ、焼きオニギリがセットで付いて来る。素晴らしい「鮮魚」の芳醇な匂いとともに、紫蘇の香りが鼻を突いた。
一口スープを飲んでみると・・・・まさに、本当に「鮮魚」である。「ナマの魚」のフレッシュな旨味が口中いっぱいに「ふわぁ〜」とあふれかえる。
石神氏の本によれば、水出しした昆布のダシをベースに、数種類の魚の「骨」と「身」と「アラ」をふんだんに「炊き上げた」スープらしい。すべて生の魚を使い、魚の種類ごとに事前に湯通しして生臭みを抜いたり、焼いて香ばしさを出したりと、仕込には一手間も二手間も、手をかけていると言う。確かにこれらの魚の「ダシ」も分厚くしっかりと出ているが、それとともに新鮮な「魚油」がたっぷりと浮いていて、スープに「厚み」「丸み」「コク」を加えている。魚油独特の香ばしさがあり、とても飲み口が軽い割に充分なコクがあり、動物系を使っていないにもかかわらず、物足りなさは絶無。

確かに同じ魚系スープでも、煮干のような苦味や、節のような醗酵味や酸味がなく、乾物ではない、まさに「生魚の味」である。しかも丁寧な下ごしらえが奏功しているのか、生臭味がパーフェクトに抑え込まれ、分厚い「旨味」と「香り」だけが見事に抽出されている。
時折、お寿司屋さんなどで出されるアラ汁に近いとも言えるが、そのように「骨」を意識させられる「すっきり」したものではなく、もっと幾重にも幾重にも旨味が重なった感じで、まさに魚の「全身」の旨味がしっかりとあるイメージ・・・・、言うなれば、極上の「和風ブイヤベース」という様相のスープだ。

「フカヒレスープ」、「トムヤンクンスープ」と並び、世界3大スープの一つとも言われる「ブイヤベース」。その原点は、フランスの港町「マルセイユ」で、漁師が「売れそうもない雑魚」を大鍋に適当に放り込んで煮込んだのが始まりと言う。つまりは「魚のごった煮」である。しかし、そのあまりの意外な美味さに、立派な料理として広まり、今や一流のレストランでもしっかりとメニューのラインナップに加わっている。本場マルセイユでは「ブイヤベース憲章」なるものがあり、最低4種類以上の魚を入れることとされている。逆に海老や貝類などは入れてはならないらしい。そういう意味でも、こちらのお店のスープは、まさに「和風ブイヤベース」と言えるだろう。

スープ素材として、豚骨や丸鶏や魚節にこだわったお店は少なくないが、「鮮魚」にこれだけこだわったお店は少ないだろう。しかも、いかにも年間を通して仕入れが不安定そうな「鮮魚」メインであれば、むしろ最初から「毎日違う味」としてプロデュースしてしまうところなど、さすがラーメン王、まさに見事な「逆転の発想」である。
また、魚系のスープのお店と言うと、割と材料費をケチった薄い出汁に、化学調味料を入れたり、粉末エキス類を入れて、それっぽく見せているスープが多いが、こちらのスープは、味にナチュラルな透明感があり、しかも相当な食材の量を感じる豊かな旨味に満ちている。塩味も、ぎりぎりの量しか塩を使っていないような、とても穏やかなもので、あくまでダシを主人公に据えた、決して「ウソ」や「偽り」のない美味しいスープだ。
特に、具として入る「タラとエビのつみれ」付近のスープを飲むと、タラの甘味とエビの甲殻類の香ばしい風味が流れ出していて、さらなる絶品の「海鮮ダシ」スープが楽しめる。
しかし、ちょっと気になったのは、上に乗る薬味のうち、大葉(紫蘇)の香りがかなり強く、せっかくの和風ブイヤベースの風味を堪能するのに、かなり邪魔に感じられた。おそらく今回は、たまたま量を多く入れすぎたのかと思う。他の、ミョウガや糸唐辛子などは、逆にその存在をほとんど意識させないものだった。

ストレートの細麺は特注品と説明がある。二種類の小麦をブレンドした麺を、良いコシが出るように低温熟成させているそうだ。細くてストレート、長めの麺は、見た目がなんとなく「支那そばや」の麺と良く似ている。実際、しなやかで、のびやかな食感であり、細麺としてはコシもしっかりとしている。結構、玉子を多めに使っているような風味で、割と密度感のある麺だが、このスープと合わせるなら、もう少し控えめな味で、小麦密度の低そうな「軽さ」のある麺でも良いかも知れない。大盛りにするとかなりの量があり、食べ応え充分であった。

具の特筆は、何より「タラとエビのつみれ」だ。
一口食べてみると、まるでムースやババロアのような洋菓子を連想させる、ふんわりとした「泡」の優しい口解け感があり、まさに100%手作り&無添加を確信させられる。おそらく、生の鱈(タラ)の身を塩だけで丁寧に丁寧に練って粘りを出した、本物のつみれだと思う。添加物を大量に使った市販のカマボコやハンペンでは、到底出せない、淡雪のような素晴らしい口当たり、タラの優しい甘味と旨味にエビの香ばしい風味が加わって、まさに「感涙」ものの美味しさである。
こういった「練り物」は、作るのに手間がかかるうえ、原形をとどめない分、添加物(増量剤)を入れるなどのゴマカシをやりやすく、最も作り手の「良心」度が出るものだと思う。
もう一つの、「鶏のつくね」は、食べてみるとちょっとスイトンのように表層がネットリと溶け始めたような感じであったが、内側部分はしっかりと滑らかな鶏肉のミンチで満たされていた。しかし、歯触りのアクセントとして入れられた軟骨が、ゴリゴリと感じるほど意外に固すぎて、アクセントとしては強すぎると感じる。もう少し細かく刻むか、柔らかく仕上げるかした方が良いと思う。

麺と具を食べ尽くし、店員さんのお薦めに従って、焼きオニギリをスープへ入れてみた。箸で少しほぐしてスープに馴染ませ、食べてみたが、しかし、思っていたよりも焦げた米が硬く、スープに湿潤しても、食感がゴツゴツ固いままでちょっと違和感がある。また、せっかくの「焼き」の芳ばしさもそれほど感じられず、さらに米だけでなく花ガツオ節のようなものが練り込まれ、さらに少しだが一癖ある風味の粕漬けが餡のようになって入っている。最後まで「魚風味」を堪能させたいようなのだが、逆にちょっと魚風味がクドく感じられてしまった。
むしろ、ちょっと塩を振った程度のホカホカの白米オニギリを入れ、白米の淡白な優しい味わいとともにお茶漬けのようにサラサラと食べられた方が、この優しい上質スープのエンドロールに相応しい気がした。


(麺は完食。スープも完飲。)











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