ラーメン&つけ麺食べ歩き
地雷源
(東京都 杉並区)

店名 我流旨味ソバ 地雷源(じらいげん)
住所等 東京都杉並区和泉1-39-10 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2004年6月中旬 潮の旨味ソバ 700円 
2004年6月中旬2 我流旨味ソバ(中細麺) 700円
2005年5月中旬 鶏油魚粉ソバ(中細麺) 700円



〜地雷原 その1〜

(各写真はクリックで拡大します)




到着しました。
環七通りから一本入った所。
これだけ広くても一方通行の道路です。
方南町駅、代田橋駅、笹塚駅が最寄り。






黒基調でバーかクラブのような雰囲気。
扉はいつも開けてありますな。






店内も黒づくめ。
ジャズライブのビデオが流れています。






メニューです。
肉ソバとはチャーシューメンの事ですな。
潮の旨味ソバを注文。






メニュー裏。
無化調宣言のお店です。






壁面にはジャズアーティストの絵。






営業時間。
夜の部は濃厚汁を使った
「つけ麺」オンリーとなります。
金曜日が定休日。










2004年6月中旬 潮の旨味ソバ 700円



こんなに興奮するなんて滅多にないほど興奮した。

例えれば、オリンピックの100m走で、もう何十年も9秒台を超える記録が出ず、
既に9秒台が人類の限界として厳然として定着している中、
まるでいきなり8秒台の新記録が出たような・・・衝撃的美味さ。

前人未踏の領域に確実に踏み入った塩ラーメン。









麺のアップ。
優しい無垢な味わいの極細麺。
驚愕のスープとベストマッチ。






スープとチャーシューのアップ。
決して「美味さ」だけではない、
そのコントロールの見事さ、投球配分の非凡さ
にも「才能」を感じる。




2004年6月中旬 潮の旨味ソバ 700円 

2002年にオープンした、無化調、厳選素材で人気のお店。
ほぼ1年ぶりに訪問してみると、以前はスープや具の素材についての説明がメニューに色々書かれていたが、それがなくなりすっきりとしたメニューになっていた。
お店は、黒が基調のちょっとバーのような造りで、店内にはジャズ関連のものが置かれたり、描かれたりしている。BGMの代わりにジャズアーティストのライブ演奏のビデオが流れていた。カウンターが高いので調理の様子は見えないが、とても心を集中して一杯ずつ丁寧に作ってくれているのは雰囲気で判る。

そして、供された塩ラーメン・・・見た目は去年食べたものとさしたる変化はない。
が、・・・・一口飲んだ瞬間から、ちょっと油断していた私の心が鷲づかみにされ、次第に全身の毛がゆっくりと逆立ってゆく。それは、まさに身震いが起きるほどの、あまりに非現実的な「美味さ」を持つスープであった。
なにしろ、あまりにも美味すぎて、一気にスープを半分まで飲んでしまった。そして、そのまま一気にスープを完飲しそうになるのを、ハッと我に帰り、何とか意志の力で強引に阻止した。まさに未踏の領域、あまりにすごすぎて、「こんな味が可能だったのか」という言葉しか思い浮かばない。一般の塩ラーメンとは、あまりに「レベルが違いすぎる」。まるで、同じ飛行機といっても、プロペラの複翼機と、超音速ステルス機ほどの差を受ける。

去年食べた地雷源の塩ラーメンは、確かに美味いけれど、もっとスローだった。私にも、素材や調理法などを色々と考察しながら食べ進む余裕があった。
しかし、今回は、いきなりの物凄いスピード感と、単調でない絶妙なコースの起伏がある。一度乗ったら、味わい終わるまで、途中下車できないジェットコースターに乗ってしまったような、そんな感覚に似ている。
しかも、他店のような「これが私の全力です」というような、無理な背伸びをして作ったような、やっと到達したような雰囲気の味ではない。むしろ「ご希望ならもっと美味くできますよ」という店主さんの声が聞こえてきそうな、あえて一歩も、二歩も引いて、まだちょっと手加減しているのかとさえ思えるような、桁外れな「力量」を背後に感じさせられてしまう。それほど、「突出して」、うまいのだから恐れ入る。

あまりに旨味が渾然一体となっていて、鶏、豚骨、昆布、塩、ニンニクなどが使われていること位しか私には判らないが、何と言ってもこのスープの特筆すべき最大の特徴は、「すべての味が、旨味が、自分の口と完璧に同じ高さで入ってくる。」ということである。今まで他店でどんなに美味しいと思ったラーメンも、必ず自分の方で「迎え入れていた」部分が必ずあった。投げられた味に対して、こちらの方で、口の位置を上下左右、微妙に調整してキャッチする感覚だ。
しかし、こちらは、まるで数mも離れた針の穴に向かって、投げた糸をいきなり一回で見事に通してしまうような、あまりに卓越した超人芸的な、投球コントロールの正確さがあり、すべての味が「ピッッッタリ」と、こちらの口の高さに一致して、次から次へとウルトラスムースに口の中へ入って来る。その正確なコントロールぶりは最後までやむことなく、一発たりとも外れない、まさに百発百中の超高精度さである。
また、別の言い方で例えるなら、新進の完全バリアフリー住宅である。一切の段差がすべて完璧に排除されたウルトラスムースな床の新築住宅に住まうかのごとき、潜在意識下で味わう「超快適さ」なのだ。

ちょっと長めの極細麺は、優しい小麦の口当たりが印象的で、やや風味を控えた感じの実に「無垢」な味わい。この驚愕スープの前でも、臆することなく、ベスト・オブ・ザベストという感じの素晴らしい相性を見せてくれる。その麺を食べていると、時折、混じったゴマがプチップチッと弾けて心憎いアクセントになる。ちょっと甘めのメンマは歯応えや繊維感が絶妙で、噛み砕くと中心から次々に旨味の汁が流れ出てくる秀逸な美味しさ。
チャーシューは肉の野性味を感じる「獣」の肉という感じのバラ肉、風味が強く、ややガッシリ固めの食感である。岩海苔は穏やかな海草のミネラル感と風雅な磯の香りでスープの風味をグレードアップしている。
ニンニクも以前よりとても穏やかになっていて、ほとんど匂いがしない。でも「辛気」のパワーだけは強く感じる。その辛気が以前よりさらに完璧にスープと一体化している。隠し味に鷹の爪が入り、さらにスピード感を加速する。

いつもゆっくり食べる自分にもかかわらず、気が付くと器が空になっていて、いつの間にか食べ尽くしてしまった事実に気づく。当然、器には一滴のスープさえ残っていない。
まるで「白昼夢」だ。

いつも思う事だが、本当に素晴らしい美味しさに出会った時は「鶏がどうの・・」「麺がどうの・・」「鰹の風味が・・」というレベルの感想にはならない。「美味いな」ではなく、「幸せだな」という「至福体験」の領域になってしまう。
今回の地雷源での美味しさを、過去の至福体験になぞらえて表現するとすれば、5月のとてもよく晴れた日曜日に、標高差500m級の山へハイキングに出かけ、汗びっしょり喉カラカラになりながら、自分の二本の足で数時間かけて頂上へ到達し、眼下に広がる緑の世界を見渡し、微風に吹かれながら、ゴクゴクと飲んだ「冷たいミネラルウォーター」の、あの忘れられない味・・・・という感想だ。


(麺は完食。スープも完飲。)




↓続きあり






〜地雷原 その2〜




再び訪問。
ドアの向こうにあのラーメンがと思うと・・・
「ゴクリ」と喉が鳴る。










2004年6月中旬その2 我流旨味そば(中細麺) 700円



見た目より「こってり濃厚」なラーメン、味の芯が太く、
油によるしっかりとした重さがあります。

醤油のまろみがあり、うっすらとしたミリンの甘味が主人公かな。
良質な油が乗って、十分な量感が楽しめますな。









スープのアップ。
油の量はそれほどでもないが、
かなり存在感のある良質なもの。






中細の麺は、パワー感アップ。
滑らかな食感は変わらず美味しいです。






見た目からして美味しそうなメンマ。
素晴らしい繊維感とあふれ出る
旨味は絶品ですぞ。




2004年6月中旬その2 我流旨味そば(中細麺) 700円

先日の塩ラーメンがあまりに興奮するほどうまかったので、すぐまた再訪、こちらのお店のメニューのトップに書かれている「我流旨味ソバ」(醤油ラーメン)を注文した。
塩ラーメンは自動的に「極細麺」になるが、醤油ラーメンは麺を「極細」か「中細」から選べるので、中細で注文。具は塩ラーメンとほぼ同一だが、海苔が一枚海苔になるのと、白ゴマが浮かなくなる。

大いなる期待のもと、ラーメンが目の前に差し出された。さっそく大きめのレンゲで一口飲んでみる。
そして、そのスープ一口目で思ったのは、とても美味しいけれど、意外に「油が多め」「重さがある」ということ。予想よりは重厚なスープで、まったりとした醤油のまろみがあり、うっすらとミリンのような甘味もある。両者とも火入れをして香りをとばして旨味や甘味だけを残したような感じではあるものの、ちょっと重いと言うか、スピード感や辛気がなくて、ややまろやか方向へ比重を置いた印象を受ける。
そして、やや多めに浮いた油が、せっかくの出汁の味をちょっとマスクしてしまっている気がした。せっかくの出汁の上に油のフタが置かれてしまったイメージである。その分、量感があり、まろやかではあるが、キレや軽快なスピード感が影を潜めている印象であり、どうやら醤油スープは、基本的に塩ラーメンとは別路線のスープを目指しているようだ。

中細麺は、原料や製法は極細麺と同一と思えるもの。しかし中細になって太さが増した分、パワー感が増している。結構、「厚み」のある印象のこの醤油スープには、このパワー感の増した中細麺のほうがよく合っていると思う。チャーシューは前回同様に「獣」っぽさのある肉質。野趣あふれる味わいだ。こちらのチャーシューを食べると他店のチャーシューは「家畜」の肉であることが強調されてしまうというか、ちょっと軟弱に思えてしまう気がする。
メンマは相変わらず繊維感のあふれるおいしいものだったが、しかし、このメンマを食べて改めて気づいたのは、塩ラーメンのときは「味が濃く甘い」メンマと感じたのが、今回の醤油ラーメンではむしろ「薄味」メンマに感じた。つまり、それだけ醤油は、スープそのものの味が、濃く、甘く、重い、のだろうと思う。スープを飲んでいると、最後の方に極少量の魚粉っぽさも感じられる。

油は鶏油か、鶏油中心のブレンドなのだろうと思うが、良質すぎる油ゆえか、ちょっとコッテリ感がしっかりし過ぎている。
また、醤油やミリンの旨味がしっかりと出ているので、判り易い味であり、かなり「厚み」を重視した感じなので、濃い味好きの人には好まれそうだ。
単に「塩味」か「醤油味」かという違いよりも、「あっさりしたキレ」のラーメンか、「こってり濃厚」のラーメンか、という個性の区分にまで踏み込んで、それぞれの味がプロデュースされているように感じられた。


(麺は完食。スープも完飲。)




↓続きあり






〜地雷源 その3〜










2005年5月中旬 鶏油魚粉ソバ(中細麺) 700円



「鶏油」「魚粉」「柚子」・・・と、
人気のアイテムを揃って投入した印象の「一杯」ですね。

「我流旨味ソバ」と比べると、随分と「軽快感」と「柔らかさ」のあるスープ。
同じ醤油味でも豚骨を減らして「鶏」の比率を高めた印象です。

ネギにまぶされた黄色の粉が柚子粉かな。









魚粉は口当たりの邪魔にもならず、実に穏やかに風味をプラス。
浮く油は少なく、鶏油はあまり多めには入らないようです。






すすり心地が滑らかなストレート麺は、噛むとポクポクした食感。
中細麺を選択したけど、この軽快なスープなら
極細麺も合うかも・・・。






いつからか、穂先メンマに変わったようです。
たまたまなのか、歯切れが今ひとつでした。
私的には以前のメンマが懐かしい・・。




2005年5月中旬 鶏油魚粉ソバ(中細麺) 700円

先日の「中村屋」(大和市)で、鶏油の美味しさに感動し、そう言えば「地雷源」に「鶏油」を冠したメニューがあったことを思い出し、訪問してみた。
非常にハイレベルなラーメンを提供するこちらの「地雷源」、果たしてどんな鶏油ラーメンが登場するのか、メニューによれば「名古屋コーチンの鶏油」を使っているとのことなので、期待値はいやがうえにもアップする。
ほぼ一年ぶりの訪問となるのだが、その間も、以前大感激した潮の旨味ソバが大いに気になっていたのだが、一度あまりに深く感動してしまうと、その感動を大切に仕舞って置きたいと言うか、「万一、前回と違ったらどうしよう・・・」と、再食には何となく臆病になってしまう部分があり、なかなか再訪する気になれなかったのだ。

登場したラーメンは、メンマが「穂先」タイプに変更になっているのが目を引いた。
「鶏油魚粉ソバ」のメニュー名にもなっているとおり、スープには魚粉が使われているが、非常に丁寧にグラインドされた感じで、とても細かな微粉末になっている。そのためザラザラしたりせず、全くと言って良いほど口当たりの邪魔にはなっていない。
一口飲んでみると、「ふわり」と魚節系の風味が立ち上がるが、スープ自体には「重さ」がなく、とても軽快な仕上がりになっている。同じ醤油味の「我流旨味ソバ」などと比べると、随分と「軽快感」と「柔らかさ」のあるスープであり、醤油ダレの量自体も控えた感じであるが、スープ自体、豚骨を減らして鶏ガラの比率を高めたような印象で、「重さ&コッテリ」が影を潜め、「軽快&柔和」なテイストに感じられる。
また、期待の鶏油は意外に目立たず、レンゲですくってみても油が浮いている様子は随分と控えめに思えた。香りの点でも鶏が突出しているようなことはない。
飲んでみれば、良質な鶏の脂の甘味や旨味はあるのだが、軽快さを優先させたいのか、丸鶏や良質な鶏油を多めに使ったスープ特有の「滑らかで濃密なコク」「馨しさ(かぐわしさ)」「艶やかさ」などは、それほど感じられない気がする。

また、スープには植物系のスーっとする香りが感じられて、最初はショウガの隠し味かと思ったが、どうやら柑橘系の香りであり、よくよく見るとネギに黄色い粉がまぶされていて、これがおそらくは柚子粉のようであった。
「鶏油」「魚粉」「柚子」・・・と、昨今人気のアイテムを揃って投入した印象であるが、いずれも一歩ずつ下がった位置で自身の存在感を保っているイメージであり、そういう意味では、これら個性派アイテムのトリプル投入で、風味がケンカしたり、クドくなったりすることを避けるためか、この三者を割とライトな位置でバランスさせることを狙っている印象を受ける。決して過剰すぎず、スープの味を乱すこともなく、やり過ぎになっておらず、あくまで「上品」にまとめきっているのはさすがだ。
魚粉や柚子風味ということで「和風」に振っているようにも思えるが、実際のスープの味自体は、節系の味は控えめ気味であり、それほど和風路線という感じではない。

麺は、中細か極細が選択できるわけだが、醤油味と言うことで、前回の「我流旨味ソバ」のコッテリ濃い味を連想し、中細を選択した。
すすり心地が滑らかなストレート麺であり、見た目より太さを感じる食感で、噛むとポクポクした歯応えがある。今回は中細麺を選択したのだが、この軽快なスープなら極細麺も良く合うと思う。

バラ肉チャーシューは相変わらず美味しい。やや外側に硬さを残した肉質が絶妙にワイルドさを醸し、口に入れると脂の美味さが流れ出してくる。決してとろけるタイプではなくモグモグと良く噛んで食べるタイプなのだが、噛めば噛むほどに次々と肉の旨味やコクが湧き立って来て驚かされる。
ただ、以前にこちらの肉ソバ(チャーシューメン)を食べた事があったのだが、このように一枚だけでも存在感の大きなチャーシューなので、枚数が多くなると食べるのにも時間がかかり、やや食べ疲れしてしまう感じはあった。
またいつからか、メンマが「穂先メンマ」に変わったようだ。最近、あちこちで見かけるようになった穂先メンマだが、今回のこちらのものは、たまたまなのか柔らかいはずの穂先の割には「縦」の繊維が強く残っていて、やや噛み切りずらく、どうも歯切れが今ひとつと言う感じであった。私的には都内でも「屈指」と思っていた以前のメンマが懐かしく思える・・・。

食べ終えてみて感じたのは・・・・やはり「潮の旨味ソバ」の素晴らしい記憶、その存在感が大きすぎるということもあるのかと思うが、「潮の旨味ソバ」や「我流旨味ソバ」と比較すると、このメニューは、とても美味しく、高い水準をクリアしているものの、「地雷源らしさ」があまり感じられないような気がした。
「潮の旨味ソバ」や「我流旨味ソバ」は、店主さんがその味を作り上げるまでのバックボーンや道程のようなもの、そして目指している味のスタイルが、ひしひしと伝わって来るような気がするのだが、この「鶏油魚粉ソバ」は、どうもその辺が希薄な印象を受けてしまうと言うか、このお店ならではの「個性」が、それらほどには感じられないような気がした。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)










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