ラーメン&つけ麺食べ歩き
兵右衛門
(東京都 文京区)

店名 麺蔵 兵右衛門(ひょうえもん)
住所等 東京都文京区大塚4-41-13 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2005年10月中旬 らーめん(多め) 630円
2005年11月上旬 つけ麺(もりそば・もっと多め) 740円



〜兵右衛門 その1〜

(各写真はクリックで拡大します)




お店を発見しました。
店の前は緩い下り坂です。
東京メトロの茗荷谷駅、新大塚駅、護国寺駅、
いずれからも徒歩8分ほど。






うーん、シックで渋い配色の和風の店構え。
自家製麺のお店です。






営業時間の表示。
曜日によって終了時間が変わります。






入店すると右にL型カウンター、
左手にテーブル席が一卓あります。






田舎の大きな民家を連想させる
梁が高くゆったりとした造りと絶妙な薄暗さ。
とても落ち着ける雰囲気がいいですね。






麺の量が三段階で選べて全て同額。
最大では300gになります。






メニュー裏。
「らーめん」を「多め」で注文しました。










2005年10月中旬 らーめん(多め) 630円



なんと言っても自家製の「麺」が抜群に個性的。
限りなく「うどん」に近いテイストで、ツルリッ、ムチムチッ・・・とした最高の口当たり。
噛み締めれば「グルテン」が豊富で非常に美味しいコシにびっくり。

麺を支える「スープ」、「薬味ネギ」も限りなく「うどん」チック。
ここまで来ると、散らされた背脂までが「天かす」風に感じて来ます。

確実に独自の世界を築いている「美味」ですな。









イメージとしては「うどんツユ」にうっすらと動物系を足して
背脂をそこそこ散らした感じ・・・。
塩分がキリリッと効いた凛々しい味わいです。






うーん、素晴らしく美味しい麺ですね。
こんなに「グルテン」が豊かな麺は食べたことがないっす。
ツルリッとすすれば・・・口中に「絶品うどん」の世界が広がります。
ややねじれのある平打ちなのも手打ちうどんテイストに拍車をかける。




2005年10月中旬 らーめん(多め) 630円

2002年5月に開店した自家製麺のお店。麺もスープも店主さんが独学で試行錯誤を繰り返して創り上げた味らしい。
お店はシックな佇まいで、開放感のある高い梁、床は土間を連想させる渋めの仕上がり、奥には古い箪笥(タンス)のようなものが置かれていて、全体の雰囲気は田舎の大きな民家を連想させるように仕上げている気がする。
カウンター席もゆったりとした造りで、入口付近は大きな窓からの自然採光で明るいが、奥へ行くにしたがって絶妙な薄暗さが増して来るという、なかなか心憎い演出。とても落ち着いて食事できる雰囲気を作り出している。
ラーメンもつけ麺も、料金同額のままで麺量が三段階で選べるので二段目の量225gになる「多め」でラーメンをオーダーした。

広口で背の低い器で登場したラーメンのスープには細かな背脂が浮いている。
一口飲んでみると・・・・塩気が強めにピシッと効いていて、やや舌をえぐるような軽いしょっぱさがある。醤油と塩のジャブが先に立ち、乾物系の魚ダシがジワジワと後を追うように感じらて来る。どうやらスープ素材は鶏ガラ、豚ガラに、サバ節、カツオ節、アジ、アゴ、煮干などの魚ダシを組合せているらしい。
背脂自体も、あまり存在を意識させず、油ギッシュな口当たりではないし、その下のスープ自体も動物系はかなりあっさりとしていて、渋い魚ダシと醤油のカエシが織り成すテイストは、どことなく「うどんツユ」風の和風系のスープと言う印象だ。

麺をつかんで持ち上げてみると、所々で動きが硬く、全体的にしなやかに「弓」状に曲がるのではなく、カクカクッとした「クセ」が付いている。
すすってみると表面に油がからんで「ツルッ、ツルッ」としていて、歯を入れると「ムチムチッ」とする素晴らしい「コシ」があり、まさに目の覚めるような美味しさ。噛み締めると麺がムッチリと重く、滑らかで柔らかな口当たりなのだが、分厚い反発力を持つ見事なほどの素晴らしいコシがある。
この感触は「中華麺」と言うよりも・・・・まさしく「うどん」の世界につながる「美味しさ」である。カンスイとか加水率とかの話ではなく、ほぼ完全に「グルテン」に支配された「コシの出来栄え」を味わう世界だと思う。

麺自体にもカンスイ感は絶無で、高級な小麦に特有の透明感のある旨味がピュアで一切の混じり気がない瑞々しい美味しさに満ちている。
二口、三口・・・と食べてみて、ますます「うどん」ライクだなぁ・・・と確信するに至る。
一般に、ラーメンの中華麺用の小麦粉と言えば「準強力粉」が使われる事が多いのだが・・・・こちらの麺はその食感から判断する限り、「中力粉」(うどん粉)をメインに使っているのは間違いないだろう。
世の中にはまるで「うどん」のような太麺だと評されるうどん系のラーメンやつけ麺は数知れないと思うが、この麺はそれらの王座に君臨しそうな・・・まさに「ザ・ベスト・オブ・うどん系」と言える「超絶」な美味しさレベルに到達していると思えてならない。

一度麺を食べ始めると、醤油のカエシと乾物系の渋い魚風味がジリジリとやって来るスープまで、本当に「うどん」や「そば」のツユの味に思えてくる。
しかも、うどんツユ風のスープの中にあっては、背脂のツブツブまでもが、動物性脂肪でありながら、まるで「たぬきうどん」の「天かす」(揚げ玉)のような香ばしい油に感じられて来てしまうから不思議だ。

しかも・・・長ネギの葱白の部分がザクザクと粗めに切られて載せられており、このネギの食感や風味がまた、計算のうちなのか・・・駅で食べる「立ち食いうどん」を彷彿とさせる「あの薬味感」に見事なほどあふれていて、さらに一層「うどんテイスト」を加速するのだ。
ネギと麺とスープと背脂が・・・口中で渾然一体になる様は、超美味しい「たぬきうどん」を食べている状態に100%「トランス」させられてしまう・・・。
もしも、目隠しをしてこのラーメンを食べさせたら、10人中おそらく9人が「いやー、コシがあって美味しいたぬきうどんですねぇ・・・」と言いそうな気がする。

チャーシューは巻きバラタイプだが、味付けはあまり感じられずスープの味が湿潤した感じで、肉質もオーソドックスな感じ。メンマはブキブキと硬めの歯応えで、繊維が強い感じでバリバリと歯を立てて食べる感覚。

食べ終わってみれば、何より「うどんテイスト」の自家製麺の驚愕の美味しさが、非常に強い印象として脳裏に焼き付いている。
ともかく「ラーメン界」にはない、見事なグルテンの存在感であり、非常に念入りに麺帯を「練り込んでいる」印象を受ける。
特に、この「トロッ、ツルッ」とした口当たりと「純白」な風味の太麺は、よーく噛み締めれば「ムッチョ、モッチョ、ムッチ〜リ」と、食べ手の歯や舌を魅了してやまない「名優」ぶりであり・・・・ヤミツキ者続出と思われる出色の出来栄えだと思う。
麺の「グルテン」の美味しさを、これほど圧倒的に感じさせるラーメンを・・・・私は他に全く知らないし、むしろ「うどん」の名店を食べ歩いたとしてもなかなかこのレベルの麺には出会えないと思う。
この麺であれば、当然だが・・・・つけ麺も美味しいに違いない。つけ麺は「あつもり」もできるようだ。


(麺は完食。スープは3割飲んだ。)




↓続きあり






〜兵右衛門 その2〜

(各写真はクリックで拡大します)




民芸調な調度品やインテリア。
内装も「中華」と言うよりも、やはり「和風」ですね。
店名や店構えからして「うどん処」ぽい気が。









2005年11月上旬 つけ麺(もりそば・もっと多め) 740円



うーん・・・期待通りの「太麺」に大満足です。
「うどん好き」の日本人の好みを見事に探り当てた印象ですね。
この豊かな「グルテン」感は衝撃的です。

ラーメン同様に、確実に独自の世界を築いている「美味」ですな。
つけ汁の中にはサイコロ状のバラ肉チャーシューと、
半熟玉子が半分入っています。









醤油のカエシと乾物系の渋い魚風味が織り成す
テイストは透明感のある「うどんツユ」風。
砂糖が足されているのか、舌をくすぐる絶妙な甘味がポイント。







すすると・・・「トロン、ツルッ」「トロッ、ツルリッ」、
噛めば「ムチムチッ、ムッチ〜リ・・・」練りに練ったグルテンの見事なコシ。
まさしく「絶品うどん」を彷彿させますな。






純白なモチ肌の麺はツヤツヤときれいに光り輝いていて、
まさしく水がしたたるような「美肌」ぶり。
なぜか麺の表面が全く乾燥しないんですよね。




2005年11月上旬 つけ麺(もりそば・もっと多め) 740円

前回の「うどんテイスト」の自家製麺の驚愕の美味しさが忘れられず、どうしても「つけ麺」で食べてみたくなり再訪。
改めて、お店を見回してみると、民芸調な調度品やインテリアなど、内装も「中華」と言うよりは、やはり「和風」「民芸調」であり、店名などからしてもどことなく「うどん処」ぽい雰囲気が漂っている。
メニューでは「あつもり」が筆頭に来ているが、あの「コシ」を堪能するなら冷水締めされている方が良いだろうと思い、普通のもりそばを注文した。麺は三段階の一番多い「もっと多め」にして注文。登場したつけ麺の器も和風調である。

まずは汁に浸けずに麺だけを食べてみた。
純白なモチ肌の麺は「ツヤツヤ」ときれいに光り輝いていて、水がしたたるような「美肌」ぶりである。
実際、すすると麺の表面を覆う「水膜」が、「トロン、ツルッ」「トロッ、ツルリッ」と言うなまめかしい潤滑剤のような役割を演じている。ともかく麺の表面がトロリと良く「滑る」のだ。
太麺で、やや形状記憶合金的なクセがあり、所々で動きが硬く、全体的にカクカクッとした「不規則感」があり、一本調子のストレートなすすり心地ではないのだが、そのクセを、この潤滑剤のような「水膜」が覆い、「手打ち風」の何とも無類のすすり心地を生んでいる。

噛めば「ムッチョ、モッチョ、ムッチ〜リ・・・」と小麦粉をよーく練りに練ったグルテンの見事なコシが歯をお出迎え。まさしく「絶品うどん」を彷彿させる粘り腰であり、これぞまさに「中力粉ファンタジー」の世界であろう。
そして注意深く味わうと、麺の表面付近に小麦粉がしけったような・・・独特の粉臭さがある。この粉臭さは「うどん」や「ひやむぎ」などで感じる風味だ。カンスイが少ない代わりに塩気が強いかと思っていたが、さほど塩分も感じられない。

つけ汁は基本的にラーメンのスープと同じ路線の味だが、おそらくは隠し味的に砂糖が足されているようで、舌をくすぐるような絶妙な甘味がある。この甘味がほんわかと口当たりを良くしていて、心和む美味しさを生み出している。一度麺を浸けて食べ始めると、一心不乱に箸が進んでしまう美味しさだ。
ラーメン同様に動物系はかなりあっさりとしていて、醤油のカエシと乾物系の渋い魚風味が織り成すテイストは、透明感のある「うどんツユ」風の和風系の出汁ツユと言う印象である。ただ今回は、背脂は植物系「油」ではなく、きちんと動物性の「脂」として感じられた。ラーメンのスープと比較すれば温度が低いせいかも知れない。この背脂が口当たりを柔らかく、丸く、豊かにしている感じがある。

つけ汁には角切りチャーシューが投入されていた。バラ肉をほぼ真四角にサイコロのように切った形状で、サックリと歯の入る柔らかな食感だが、味付けは大人しめで、存在感はあまり強くない。メンマは細いながらもジャキッ、ジャキッ、と繊維が明確に音を立てて千切れる感じで、心地よい歯切れが楽しめる。
半熟の味玉半分が入っていて、やや小振りな玉子に感じられたが、きちんと温めて投入されていて、なかなか好感度アップであった。

つけ麺を食べ歩いていると、絶品の「日本蕎麦」と比肩するような見事なストレートの細麺で感動させられることは少なくないが、絶品の「手打ちうどん」を彷彿させるうねりのある太麺で感動させられることはとても珍しい。
自家製麺と言う事だが、どうすればこのような豊かな「グルテン」感を出せるのだろうか。また、なぜか時間が経っても麺の表面が全く乾燥せず、麺同士がくっつくことがなく、いつまでも「ぬめる」ようにツヤツヤと水膜をまとっている。明らかに「手打ちうどん」の技法を応用していると思われ、他店とは異なる粉の配合や、練り込み、圧延などの工程を踏んでいると思える。

また、いわゆるラーメンの黄色い中華麺を「つけ麺」にして食べる事がブームになったのは、まだここ数年だと思う。
そう言う意味では、ラーメンの麺を「つけ麺」で食すことにやや抵抗を覚えるという方や不慣れな人もまだ少なくないと思うが、こちらの麺は、「うどん風」テイストを上手に取り入れ、昔から馴染みのある「盛りうどん」風に仕上げることで、日本人の好みを見事に探り当てた印象である。
機会があれば、ぜひ「あつもり」も食べてみたいと思う。


(麺は完食。スープは割はせず。)










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