ラーメン&つけ麺食べ歩き
バカうまラーメン花の季
(栃木県 宇都宮市)

店名 バカうまラーメン 花の季(はなのき)
住所等 栃木県宇都宮市新里町1606-13 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2004年8月中旬 バカうまラーメン 720円
           タンメン 720円 
           ラーメン550円 + チェンピン180円
2005年1月上旬 タンメン720円 + 極上卵の半熟味玉140円
           エビワンタン麺 820円 
           ねぎラーメン(中辛)720円 + 極上卵の半熟味玉140円



〜花の季 その1〜

(各写真はクリックで拡大します)




到着しました。
宇都宮駅から北西へ10kmほど。
目の前の道路は「新里街道」です。
お店はたくさんの緑と花々に囲まれています。






店名は「花の木」ではなく「花の季」。
この地へ移転して3年ほどのようです。
実に「のどか」な環境にお店がありますな。
何より「空気」がとても美味しいです。






営業時間など。
平日と土日でちょっと違います。







天井が高く、風通し抜群。
柱や梁は総天然木ですね。
周囲の自然と見事に一体化。






板の間とゴザがいい感じ。
足を延ばしてリラックスしていると、
心地よい風が頬をなでてゆきます。






窓から見上げた風景。
実に「絵葉書」の世界ですな。
風鈴がつるされています。






大きな窓は自然採光のためでしょう。
ツタがからまり、実に絶妙の演出です。
「くつろぎ」「癒される」空間。






割烹着姿のスタッフさん。
右側一帯が厨房。






サービスしてくれた「トマト」。
冷たくてとても美味しかったです。










2004年8月中旬 バカうまラーメン 720円



甘トロ〜ンとした豚骨のミルキーな風味と旨味が、
ずっしりとした厚みと量感を伴って味わえます。
さらに醤油ダレと魚介系ダシが加わって、とても豊かな味わいですね。
スープにはかなりの原価と時間をかけている感じです。
麺とスープに比較すると、具がちょっと少なめかも。









臭みもなく、ジーンとする深い旨味が舌をとらえて離さない。
ゼラチンのトロミもとても豊かに出ていますぞ。
確かに味の構成は池袋大勝軒と似ていますね。






自家製麺は素直で「ツルーリ」と口へ入り、
噛めば「モチモチ」とする食感。
260gの大ボリュームです。




2004年8月中旬 バカうまラーメン 720円

TVチャンピオンの第2回ラーメン王選手権で準優勝となった方が出したお店。
店主さんは、最初は雑誌に載っていた東池袋大勝軒のレシピを元に独学でラーメン作りを始めたという話を聞いた事がある。それから十数年・・・人気が人気を呼び、今では名実共にまさに栃木でも屈指の有名店。2001年頃に場所を移転して今の店舗になったとのこと。
店舗は、宇都宮駅から北西方向へ10kmほど行った場所、「ろまんちっく村」というレジャー施設の近くで、県道沿いのとてものどかな場所にポツンと建っているが、お店の周囲は花畑のような様相で、明るい雰囲気に満ちている。まさに「花の季節」感いっぱいで、ノスタルジーな感じの佇まいだ。裏手の駐車場に車を停めて降りると、お店の換気扇からは何とも言えない良い匂いが漂ってくる。一気に期待が高まった。

店内へ入り、数分もすると、見るもの、触るものから、次第に大きな共感を覚えてしまう。
まず、天井がとても高く、開放感がいっぱいである。そして、柱から、梁、客席、テーブル、椅子、窓枠に至るまで、すべて「天然木の無垢材」が使われている。そして、一面に窓が大きく、広く、取られおり、しかもすべて開け放たれている。しかも、これだけの広さの店内で照明は、天井から吊るされた数えるほどの電球のみ。さらに真夏の8月にして「エアコンなし」なのだ。
しかし、大きくとられた一面の「窓」から燦々と降り注ぐ「陽光」という名のぜいたくな自然照明で十分に明るい。そしてその窓から見える風景は、8月の高い青空と白い雲、そして木々の緑のコントラストが実に見事。まるで「絵本」のように美しく爽やかだ。さらに、全開にされた一面の窓からは、花畑の香りが漂う心地よい微風が途切れなく入って来て、ほほを優しくなでてゆく。そのため、エアコンなしでも十分に涼しい造りになっている。

東京のごみごみした環境では、絶対に実現し得ない、「大地」「陽光」「風」「緑の木々」「花々」を味方に付けた、この雄大な「カントリーライフ」的コンセプトの具現には、とても大きな共感を受けてしまった。文明の機器類を必要最小限にとどめ、あくまで自然を大切にして、その「共生」を目指したような店舗の造り方だ。実に、ゆったりとした時間が流れ、ゆったりとした気持ちになれる、「真の贅沢ここにあり。」という感想だ。
涼しさの演出に、窓辺に風鈴がつるされ、「熱源」となる厨房はしっかり距離を取って隔離されている。客席係のスタッフは和服に割烹着だ。


最初に無料サービスということでトマトの小皿を出してくれた。一口食べてみると、冷たく冷やされていて、野菜の旨味が濃い味わい。まさに「壮健」な味で実に美味しい。8月の風を頬に感じながら、この壮健なトマトを、冷水と共に喉に流し込むと、これだけでもうすっかり幸せな気持ちになってしまう。

さて、いよいよ運ばれてきたラーメンの器を見て、「でかいっ!」と驚いた。まるで洗面器のような印象だったが、しかし、落ち着いてよく見れば広くて浅い器なので、量的には十分に常識の範囲だった。鼻を近づけてみると、豚骨のミルキーな匂いを中心に、微妙な魚介風味が付いているようだ。厚みのある香りがジンジンと語りかけて来る。
まん丸のとても大きなレンゲで、スープを一口飲んでみると、甘トロ〜ンとした豚骨のミルキーな厚みのある風味と旨味が、ずっしりと舌の上に乗りかかって来た。一口目から、しっかりと味が伝わり、とても美味しいと思う。白濁スープは、いかにも強火で長時間、豚骨を炊いた感じのかなりふくよかでちょっとキャラメルっぽいミルキーな甘味が出ていてる。臭みもなく、ジーンとする深い旨味が舌をとらえて離してくれない。「じんわり」と言えば、確かにじんわり系の味だが、その「じんわり」のトーンがスゴイのだ。ゼラチンのトロミもとても豊かに出ている。
「和風とんこつ醤油」ということで、豚骨と、煮干、鰹節、昆布などの魚介系を別の寸胴で煮込んでブレンドしているらしいが、豚骨系の比率が高いと感じた。
また、表面に浮く乳化した油が、とてもマイルドな口当たりを演出していて、塩分や化学調味料に頼らず、老若男女、誰にでも食べ易い美味しさだと思う。どこかしら、ファミリー客向けを意識しているようなコンセプトも見え隠れするが、それでいて、しっかりと「コク」「旨味」「量感」があるのはお見事。

麺は自家製麺らしい。中太ストレートで平打ちに近い形状、ゆったりとした柔らかめの食感。ツルツルと滑らかで、モチモチとして噛み応えも良いもの。メニューによると、このバカうまラーメンは麺が260gもあり、確かに多いが、この優しい口当たりのおかげもあって、食べ手を圧倒するようなことは決してなく、安心感をもって食べられる。
ただ、ちょっと気になったのは、麺とスープの量がたっぷりと多いわりには、具の量が普通のままのため、バランス的に、どうしてもやたらと麺とスープばかり食べている気になってしまう。
特に、後半になるとちょっとだけ濃いめの味と量の多さもあってか、スープの甘味とゼラチンの粘度が、ちょっとクドく感じられてくる気もした。できれば途中で一息つけるような、目先の変化や清涼感のある具などを添えてくれると、箸休め的なリセット要素になって、一層良くなるかも知れない。

味玉は濃い色の割に薄味で固ゆでのもの。ホクホクして美味しいが、できれば流行の半熟にして欲しいと思った。また、固ゆで玉子が切られずに丸のまま入っているのは、見た目にも食感的にもちょっと野暮ったく感じられてしまう。ただ、オプションで半熟味玉もあるようだ。
チャーシューはバラ肉だったが、バラとしては脂身部分までしっかりと茶色くなっていて、これだけしっかり醤油ダレで色が付いているバラ肉は珍しい気がした。切ってからもう一度タレに漬け込んでいるのだろうか。箸で持つとトロトロ崩れてしまうほど柔らかいが、ラーメン全体のアクセントを考えると、もう少し歯応えや繊維感があるチャーシューにしてみても面白いかも知れない。メンマはショキショキして繊維感の歯応えがある。
全体的な印象として、この建物の造り方同様のコンセプトを感じる。飾らず、気取らず、ちょっとカントリー調で、いわば「笑顔」で食べるのが最も似合うラーメン、安心できる美味しさ、という印象だ。


(麺は完食。スープは5割飲んだ。)




↓続きあり






〜花の季 その2〜








同上日 タンメン(塩味) 720円



滋養分が分厚く溶け込んだポタージュスープのような、
「滋味深く」「爽やかで」「コクのある」塩味スープに、
新鮮野菜の旨味と食感がプラスされ、とてつもなく「豊かな味」。

弱った体が、まさに「生き返る」ようなタイプの美味さ。
食べると「元気が湧いてくる」ラーメン。









「驚愕スープ」とは、まさにこのスープの事でしょう。
実に丹精込めた「あたたかな味」に敬服。
「美味さ」のさらに先にある価値観を
見事に具現しているようなスープ・・。






「バカうま」と比較するとちょっとウェーブ強めですな。
優しい口当たりで、安心できる味わい。




同上日 タンメン(塩味) 720円 

結果から言うと、このタンメンが一番気に入ってしまった。
塩味になるということで、醤油風味が抜けてしまうと味の輪郭がどうなるのかと思ったが、食べて見れば、とにかく素材をたっぷり使ったポタージュスープを思わせるような、素晴らしい風味と旨味にあふれた「滋味深く」「爽やかで」「コクのある」塩味スープに、上にたっぷり乗った新鮮野菜の旨味と食感がプラスされて、日常の多忙さやストレスでダメージを受けた体が、まさに「生き返る」ようなタイプの素晴らしい美味さである。

しかも、キャベツやモヤシだけでなく、「ニラ」などの非常にクセのある野菜や、「シイタケ」なども具に使いながら、まったく嫌味がなく、ともかく「豊か」な味に満ちている。おそらく豚骨の豊かな旨味と甘みの懐の深さが奏功しているのだろう。
塩は控えめに効いている程度で、絶妙な奥ゆかしさもあり、余計な調味料や人工的な味も一切なく、実に丹精込めた「あたたかなもてなしの味」であり、「ハート・ウォーミングな味」である。よほどの良心がないと作れないであろう味。これほどハートが温かくなるラーメンを食べたのは初めての体験だった。良い意味で、どことなく「家庭の味」に通じるところもあるとも思う。

やはり、美味しい「野菜」はいいなぁと改めて思う。使われている野菜には苦味やエグミが全くなく、ともかく新鮮な感じで、また「壮健」というよりは、むしろ「優しい味」「温かい味」である。まるで「囲炉裏」で食べる鍋料理のような滋味深いホクホクとした味わい。
とかく、コクのあるスープはちょっとクドくなりがちだが、この多めの野菜が絶妙に清涼感を補い、かつ、野菜の持つ旨味までもがプラスされる。そしてさらにキャベツの甘さやモヤシのシャキシャキとした歯応えが加わる事で、絶妙な味の抑揚や心地よい歯応えが生まれ、最後まで食べ飽きず食べ進ませる。これらの軽快な歯応えある野菜が、優しいコシの麺の良い補強にもなっている。

先に食べた「バカうまラーメン」で、ちょっと足りなかったのは、やはりこの「食感」「歯応え」「軽快感」のように改めて思えた。
野菜の真ん中に一つだけニンジンがニワトリ(?)型に切られて載っていた。また、野菜の下にスープと混じってチャーシューが細かく切られて入っている。

また、気のせいか、誤差の範囲なのか、「タンメン」に使われている麺の方が、全体としてちぢれが強いように思えた。食感的にも、プルプルしたふるえが出る感じで悪くない。
また、インパクト系とは無縁に思えたが、最後の方で試しにコショウを入れてみたところ、一転してピントが一気に収束し、舌に味が伝わるスピード感が倍化するような、「凄み」のある一面をものぞかせてくれた。実に底の知れないスープだ。

ともかく、見た目は取り立てて何の変哲もない普通のタンメンに見えるが、おそらく他で同じ味に出会う事はないだろうと確信できる素晴らしく豊かな味わいであった。
大上段に構える事もなく、実にさりげなく、これほどのタンメンを提供されてしまうと、こちらとしてはまったくもって敬服する以外になくなってしまう。


(麺は完食。スープは9割飲んだ。)




↓続きあり






〜花の季 その3〜



同上日 ラーメン550円 + チェンピン180円



スープや麺は「バカうまラーメン」と同じです。
全体のバランスも良くまとまっています。
このラーメンにトッピングで「極上玉子の半熟味玉」
をプラスすると私的にはベストな気が・・。









「チェンピン(中華風おやき)」
珍しいサイドメニューですね。







熱々スープと肉の物凄い「コク」があります。
食べ方がメニュー裏に出てますぞ。






「ろまんちっく村」
花の季から車で数分の場所にある。
温泉やスパ施設があります。
左奥に見える高い建物は「植物園」です。






お土産コーナーで、宇都宮の
超銘酒「四季桜」を発見。(゚∀゚)
トーゼン、購入しますた。




同上日 ラーメン550円 + チェンピン180円

こちらは「バカうまラーメン」と全く同じスープと麺だった。違いは、麺が一玉になって、玉子が入らなくなるだけのもの。てっきり「バカうまラーメン」と普通の「ラーメン」とは別なスープかと勘違いしてしまっていた。事前に下調べをしなかったのが悪かったため、味が重複してしまったが美味しく頂きました。麺、スープ、具のバランス的にはやはりこちらのバランスの方が、私好みであった。

サイドメニューの「チェンピン」は、ご主人が直接台湾まで何度も足を運んで勉強し、数年がかりで完成させた物らしい。メニュー裏に食べ方が書いてある。皮は固くしっかりした感じで、中身は豚肉の挽き肉とスープだが、スープが超熱々なので、食べるときは気をつけたい。ラードの風味も目立つが、とにかく肉のコクと旨味が「ギュギュ〜ッ」と圧縮されて詰まっている感じ。


帰り道、せっかくなので「ろまんちっく村」へ寄ってみた。「花の季」から車なら数分。ちょっとした温泉やスパ施設、宿泊施設、植物園、野菜販売所、などの複合施設のようだ。温泉は500円だったので、入ってみた。新しく清潔だが、規模はあまり大きくはない。
ふらりと入ったお土産品コーナーで、なんと宇都宮酒造の超銘酒「四季桜」が売られている。栃木を代表する銘酒の一つながら、醸造量が限られているせいか、宇都宮近辺以外では滅多にお目にかかれない、東京在住の身にとっては実にレアものである。しかも「純米酒」。製造年も新しく、1500円ほどだったので「即買い」した。後日、冷やして飲むと、当然のように素晴らしい美味しさで、少しずつ飲むつもりが一晩でなくなってしまった。


(麺は完食。スープは3割飲んだ。)




↓続きあり






〜花の季 その4〜




ほぼ半年ぶりの再訪。
周囲はちょっとした雪景色でした。
「澄んだ空気」が素晴らしい美味しさです。






営業時間など。
月曜日が定休日です。






入口の右脇の木に成っている物は・・
な、なんと・・・
「瓢箪」(ひょうたん)?
別な木に瓢箪のツルがからんで行ったようですな。
こんなの初めて見たぞい。
(゚Д゚)






扉を入るとウェイティングスペースがあります。
メニューがかかってますな。






定番メニュー以外にも
限定メニューなどが貼られています。
1月から一部メニューの価格改定の告知も。






これも限定メニュー。
ネギトロチャーシュー麺。






「究極の玉子」の告知。半熟で140円です。
この他にも、普通の煮たまご60円もありますぞ。






店内は天井の高い造りです。
天井にはファンが回っていました。

人工の暖房が効いているのか不明ですが、
日当りがとても良いため、ほぼ半数のお客さんが
上着を脱ぐほど店内は暖かいです。






メニューです。
新しく見開きタイプになったようですな。
当然、あの絶品の「タンメン」をオーダーします。
極上卵の半熟味玉入りにしました。
その後、せっかくなので「エビワンタン麺」と「ネギラーメン」も・・。






窓から畑が見えます。
雪に埋もれながらも元気に育つ白菜。
霜に当たると繊維が柔らかくなり風味も増すそうです。
きっと「タンメン」に使うのかな?










2005年1月上旬 タンメン(塩味)720円 + 極上卵の半熟味玉140円



むむ・・・今回は、かなーりの薄味ですな。
塩気を控え、動物系出汁もかなり控えめに感じます。
野菜ドッサリでボリューム感満点ですが、
さすがに野菜の旨味だけだとちょっと物足りないかも・・。

前回の滋養分が分厚く溶け込んだポタージュスープのようなトロミ感がなく、
ちょっとサラサラした感じのアッサリ健康スープです。
使われている野菜に「旬」の白菜が多くなったせいかな。









今回のスープはちょっと旨味や動物系のコクが控えめ。
野菜の水分が出て薄まってしまったのかな?
もう少しパンチが欲しい気も。






自家製麺はとても穏やかな食味。
ユッタリとしたコシ、滑らかな口当たりです。
「万人向け」の作りという印象ですな。






確かに「極上」、確かに「違う」、味玉です。
ネットリと舌にからみつく黄身の旨味の波状攻撃は
複雑で、ディープ、後を引く・・・「スゴイ」の一言です。
味付け自体も濃いめですな。

ゼリー状の黄身が随分と濃厚なルビー色ですね。
ニワトリにパプリカ等を食べさせるとこう言う色になるそうな・・。




2005年1月上旬 タンメン(塩味)720円 + 極上卵の半熟味玉140円

前回食べた「絶品タンメン」のあの奇跡のような豊かな味が忘れられず、約半年ぶりに再訪。
周辺には若干の積雪があり、お店の周囲もちょっとした雪景色が広がっている。前回は気付かなかったが、お店入口の右脇の木を何気なく見上げてみると、妙な形の「実」が成っている。よくよく見れば・・な、なんと・・・「瓢箪」(ひょうたん)であった。どうやら、何かの別な木に瓢箪のツタがからまって伸びて行ったようだ。

入店すると、お店のウェイティングスペースには10名ほどの待ち客がいた。限定メニューなどの貼り紙と混じって、この1月より「バカうまラーメン」と「ラーメン」の二品が若干の値上げをした旨が書かれていた。割烹着姿の女性スタッフが笑顔で席案内をしている。
わざわざ宇都宮まで来たので、もともと何杯か頂くつもりではあったが、前回大感激した「タンメン」はもちろん、限定メニューの「エビワンタン麺」が、エビ好きの私にはとても気になった。ちなみに前回訪問時は、「つけ麺」を食べていたお客さんがいたがメニュー書きに見当たらないのでスタッフに尋ねてみると、「つけ麺」は夏季限定のメニューだそうだ。

最初にオーダーした「タンメン」、改めて見ると、十分な大きさの器の中には野菜がドッサリと載っていてボリューム感満点である。
前回同様、野菜の真ん中にはニンジンのニワトリ(?)型の型抜き細工が載っていた。
ワクワクしながら、まずはスープを飲んでみた・・・。しかし、意外にも今回は、「うーん・・・?随分と薄味だなぁ・・・・」と感じられた。
前回の記憶によって随分と「美化」されてしまったせいなのかと、もう一口飲んでみる。しかし、やはり記憶のせいではなく確かにはっきりと薄味だ。しかも、「動物系の出汁」「塩ダレ」の両方が薄い感じである。相当に塩気が控えられ味の輪郭が細くなっている上に、動物系のコクがあまり感じられないため、全体的に非常に「アッサリ」「ライト」な仕上がりになっているのだ。

ひょっとして意図的に、このようなサラサラした感じのアッサリ健康スープに味をシフトしたのだろうか。それとも「季節」が変わったせいで、野菜の旬も変わり、年間を通して味が微妙に変わるのだろうか。
確かに、夏に食べた時は「キャベツ」や「ニラ」などの甘味や風味が強い野菜が多く使われていた。スープに浮かぶ豚骨から出たと思われる油も多かった。しかし、今回は「冬」が旬の「白菜」がどっさり使われている。白菜は何の味にでも素直に「染まり易い」として、鍋料理や漬物に重宝されている。しかし、その分、白菜自身の味は極めて控えめで淡白であり、含有水分も極めて多い。

そう考えると、今回はやはり白菜の淡白でデリケートな味わいがスープのメインテイストになっていると言う事なのだろう。それに合わせたようにスープに浮かぶ動物系の油もやや少なくし、動物系のコクも意図的に控えているのかも知れない。
実際、たっぷりの野菜の旨味や風味がピュアに心ゆくまで味わえるので、これはこれで「あり」と言う人もいるかも知れない。しかし、私的にはさすがに「ラーメン」としてはちょっと物足りない気もしてしまう。
また、前回食べた時もそうだったが、チャーシューが結構小さなサイコロ状になって入っているが、量がほとんど意識できないほどかなり控えめなので、さらに一層、動物系「不在」に感じてしまう気がする。

自家製麺は以前と変わらぬとても穏やかな食味のもの。ユッタリとしたコシ、滑らかな口当たりで、実に「万人向け」の作りという印象である。家族連れが多い客層を考えれば、これはなかなか的を射た選択だと思う。
また、オプションで追加した「極上卵の半熟味玉」は、歯を入れてみるとトロリとした赤みのある黄身が緩いゼリー状になっていた。そのゼリー状の黄身はネットリと舌にからみつき、その間、舌は濃密で複雑でディープな旨味の波状攻撃に襲われる。この複雑で深い旨味はあくまで黄身の持つ「実力」と言う感じである。確かに「極上」、確かに「違う」、味玉だなぁと感心してしまった。


(麺は完食。スープは5割飲んだ。)




↓続きあり






〜花の季 その5〜










同上日 エビワンタン麺 820円



ウマー!(゚∀゚)
こりゃ大ヒット作でしょう!スープの出来栄えも「さすが」です。

ズンズンと来るボディブローを何発もくらうような・・・
穏やかながらコクのある動物系の豊かなパンチがあるスープ。

エビワンタンは厚めの皮をまとい、しっかりと「噛んで食べる」タイプ。
良質な素材を生かす素朴な味付けですな。









甘トロ〜ンとした豚骨のミルキーな風味と旨味が素晴らしい。
油が適度に浮いてふくよかさをプラス。
豊かなコクがあり、ずっしりとした厚みと量感を味わえますぞ。






自家製麺は穏やかな口当たりで、滑らかなコシ。
インパクト狙いではないので、あまり目立たないものの、
陰の立役者と言う感じかな?






透けて見えるエビが何とも「そそり」ますな。
ワンタン皮はしっかり厚め、具もタップリ多めで
味わいと歯応えを楽しむタイプのワンタン。






中身はこんな感じ。
鶏ミンチ肉とプリプリ海老のランデブー。
「味」とともに「食感」もイイですな。




同上日 エビワンタン麺 820円 

このエビワンタン麺は、普通の「ラーメン」からチャーシューを取り除き、大振りの海老ワンタンを5つ入れたもののようだ。そのためスープは普通の「ラーメン」や「バカうまラーメン」とおそらく同一だと思う。
レンゲで一口スープを飲んでみると、先に食べたタンメンとは一転して、濃厚な動物系のダシが効き、やや濃い目の味付けもあって、物足りなさ絶無のスープは非常に「判り易い」抜群の美味しさだった。
甘トロ〜ンとした豚骨のミルキーな風味と旨味が良く出ていて、豊かなコクがあり、ずっしりとした厚みと量感を味わえ、さらに油が適度に浮いてふくよかさをプラスしている。
先の薄味のタンメンの後なので、一層そう感じるのかも知れないが、夏に食べた時と基本的には同じ味ながらも、さらに一層美味しさがレベルアップした印象を受けた。
魚介系も効かされているようだが、基本的にはあまり強くは出ていない。動物系も臭みやワイルドさが影も見せず、割と甘口という事もあって、相当に「間口」の広そうな美味しさだ。つまり老若男女、誰からも好かれそうな味と思え、穏やかな口当たりで滑らかなコシの自家製麺と相まって、来店客に家族連れが多いのも実にうなづける。

エビワンタンは、海老まるまる一つと鶏肉ミンチを包んだもの。
皮はしっかりとした肉厚なもので、豊かな歯応えがあり、薄皮ワンタンのような皮がスープに溶けた感じが全くない。つまり、薄皮の「チュル」とした滑らかな舌触りと、「ツルリ」とする小気味いいノドゴシを楽しむタイプではなく、肉厚の皮を「ハグハグ」と良く噛んで食べ、中の具をしっかりと楽しむタイプのワンタンを目指しているようだ。実際、プリプリの海老はとても美味しいし、肉厚の皮はちょっと「すいとん」のような噛み応えが楽しめる。
ワンタンの味付けは、よくある日本酒や紹興酒などを使ったような風味付けは感じられず、塩だけで控えめに味付けしたような、素材の味を大切にした素朴な感じでまとめている。
豚骨ベースのやや甘めのミルキーなスープとの相性もいいし、花の季の素朴な田園的イメージとも、この手作り風の海老ワンタンは良くイメージが一致していると思う。まさに「おもてなし」のために大切に手作りした食材と言う印象を受ける。


(麺は完食。スープは5割飲んだ。)




↓続きあり






〜花の季 その6〜










同上日 ねぎラーメン(中辛)720円 + 極上卵の半熟味玉140円



メニューによれば「中辛」との事ですが、
思っていたよりも穏やかな辛味の利かせ方ですな。

「旬」を感じる白髪ネギは鮮度感があって、みずみずしい風味と
シャキシャキする歯触りが「鮮烈」「鋭利」な感じです。

ただ、もともとやや甘めなスープなので、
後付けした「辛味」とのマッチングは微妙な部分も・・。









スープが甘めで量感が豊かな事もあり、辛味も埋もれがち?
一部マニア向けの名物「辛味メニュー」ではなく
やはり老若男女、万人向けの節度ある味わいという印象。






この「ねぎラーメン」だけ、茹で加減のブレなのか、
やや麺のプリプリ感が目立って感じられますた。
それにしてもどんなスープにも無難に「合う」麺ですな・・・。




同上日 ねぎラーメン(中辛)720円 + 極上卵の半熟味玉140円

最後は「辛味」メニューも体験しておこうと、「ネギラーメン」をオーダー。先に食べて美味しかった極上卵の味玉も付けてみた。
卓上メニューには注意書きはないが、入口にかけてあったメニューには「中辛」とのカッコ書きが付いていた。
店員さんにどの位辛いのか尋ねてみると、「普通に」辛い程度とのお返事。また希望すれば「中辛」からもっと弱くは出来るが、「大辛」など、辛さを上げる事は出来ないと言われた。そのため「中辛」そのままの辛さでオーダーしてみた。

登場したネギラーメンは、普通の「ラーメン」にやや幅広の白髪ネギを載せ、そのネギを中心にして辛味汁をたらし入れた感じのものだ。やはり、ベースのスープは普通の「ラーメン」や「バカうまラーメン」と同一だと思う。
一口飲んでみると・・・・もともとのベーススープがやや甘めでミルキー、動物系の出汁の量感が豊かな事もあり、せっかくの辛味もちょっと埋もれがちと言うか、実に穏やかな辛味の利かせ方と言うイメージだ。
舌にピリリと来るとか、ノドにヒリヒリ来るとか、そう言ったレベルではなく、「ああ・・・確かに辛味が混じっているな」と脳が穏やかにその存在を感じる程度の辛さと感じられた。都内の有名店などで話題になるような、一部マニア向けの名物「激辛メニュー」などではなく、やはり老若男女、万人向けの節度ある味わいのつけ方という印象である。
きっと、こちらのお店の厨房スタッフの皆さんは、来店するお客さん達の「顔」がしっかりと見えているんだろうな・・・と思う。

ただ、穏やかな辛味ゆえに、ベーススープともよく馴染んできれいに「まとまっている」だろうと考えがちなところだが、細かいことを言えばちょっと微妙な部分もあるような気がした。
つまり、もともとのベーススープが、かなり完成度の高い美味しさなので、そこへ「後付け」で投入されてしまったイメージのある「辛味」は、人によっては、やはり「やや想定外の味」「ちょっと違和感」に感じられるかも知れない。また、穏やかな辛さは万人に受け入れられるメリットがあるものの、食べる人によっては、そのどっちつかずの辛さを「はがゆい」「中途半端」と感じてしまう人がいるかも知れない気がした。単なる老婆心ではあるが・・。

また、白髪ネギはやや幅広に切られていて、ちょっと単体で食べてみると、非常に美味しくて驚いてしまった。
まるで今朝、畑から取って来たばかりとでも言うような、非常に新鮮な食味、素晴らしいネギの芳香を放ち、その瑞々しい(みずみずしい)風味とシャキシャキするキレのあるデリケートな歯触りが、「鮮烈」「鋭利」なイメージである。味わいに苦味やエグミなどが全くなく、細胞の一つ一つが舌の上できれいに分解してゆくような、実に新鮮な食感に満ちている。
麺と合わせて食べると、新鮮で瑞々しいため繊維が柔らかいせいか、やや麺の食感に埋もれてしまう感じはあるものの、まさしく「別格」の美味しいネギだと思う。実際、都内では、まずなかなかお目にかかれない新鮮な素晴らしいネギだろう。
考えてみれば長ネギの旬は「真冬」、つまりまさに今頃なのであり、「旬」の野菜の美味しさ、素晴らしさ、パワーをまざまざと見せ付けられる気がした。

それにしても、先のタンメンと言い、「旬」を感じさせられるラーメン、「旬」を味あわせてくれるラーメン店、など、東京にいてはなかなかお目にかかれないのではないだろうか。やはり、地方には、東京にはない「何か」が、「ある」気がしてならない。
食べ終えて、お店を出ると、お店の周囲は数日前に降った大雪が溶けずにまだだいぶ残っている。澄んだ空気が素晴らしく美味しい。
あくまでナチュラル&テイスティな「旬」を感じるラーメンと、ちょっとした田園の雪景色に、大いに心が和んでの帰路となった。


(麺は完食。スープは3割飲んだ。)










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