ラーメン&つけ麺食べ歩き
69‘N’ROLL ONE
(神奈川県 相模原市)

店名 ラァメン家 69'N'ROLL ONE(ろっくんろーるわん)
住所等 神奈川県相模原市上鶴間本町4-34-7 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2006年9月上旬 1号ラーメン 700円
           2号ラーメン 700円 




〜69‘N’ROLL ONE その1〜




お店に到着しました。
小田急線 or JRの町田駅から徒歩8分ほど。






店名は「Rock'n' Roll ONE」ではなく、「69'n' Roll ONE」です。
「ラーメン屋」とか「ラーメン家」ではなく、「ラァメン家」。
ドアには「禁煙」「禁携帯」などの黄色いマークが並びます。






「1号」「2号」「3号」の三種類のラーメンがあります。
他に「限定」も・・・・。
「1号」と「2号」の券を購入しました。






店内は赤い照明、曲線カウンター、バーテン調の服装など・・・店名どおりのイメージで統一。
窓の横に「RO逆浸透膜浄水器」が見えます。その下に青い浄水タンクも。
リーゼントの店主氏は、実に「クール&パーフェクト」な調理ぶり。










2006年9月上旬 1号ラーメン 700円
(この写真はクリックで拡大します)



柔らかな細麺が「スルゥゥン、スルゥーン・・・」と、
箸の動きに息をピッタリと合わせて、リズム良く「スイング」し、
追い鰹の鮮明でフレッシュな風味にあふれるスープが、心地良く「華」を添える、

言うなれば、「スーパー・スゥイング・ヌードル」。

有田焼の円い器の中は、
ラーメンの「楽しさ&美味しさ」の仔細な作り込みの宝庫です。
竹製の箸が長いのにもきちんと理由があります。









鶏のピュアな旨味と、鰹のフレッシュな風味を組合せた美味しいスープ。
上質な「クオリティ」面ではまったく文句は無いものの、
あまりにも優等生と言うか・・・やや無難過ぎるような気も・・・。







こ、これぞ・・・・ストレート細麺の究極の「理想形」でしょう。
この無類の「滑らか感」「しなやか感」「のびやか感」・・・・
過去、私が食べた細麺ストレートの中でも間違いなく「最高峰」ですね。
国産小麦の麺の美味しさは「言わずもがな」です。






めくるめく、「妖艶」で「なまめかしい」柳腰の細麺。
美味い、あまりにも美味すぎである。
まるで、スーパーフッ素加工の新品フライパンの表面を撫で回すような・・・
なんとも、「ウルトラ・シルキースムース」なタッチフィール。




2006年9月上旬 1号ラーメン 700円

2005年12月創業、相模原のラーメン店「キリン食堂」から独立された店主氏が営む人気店。
小田急線の町田駅から歩いたのだが、途中にJRの線路や川があったりしてやや遠回りになるが、それでも約8分ほどで到着した。白い大きな看板に「69'N'ROLL ONE」(ロックンロールワン)と書かれており、ダンスする女性のシルエットが描かれている。上に「ラァメン家」と書かれていなければ、一見、ダンス教室か何かのようにも思う人もいるかも知れない。
入店すると左に券売機があり、「1号」「2号」「3号」の三種類のラーメンがある。店内の内装は、店名どおりの「アメリカン・オールディーズ」のイメージで統一され、赤いライティングが印象的だ。

リーゼントの良く似合う店主さんは、あくまでロックを愛する男らしく、「男は背中で語ります・・・」みたいな、実に「寡黙」で「クール」な調理振りだが、その所作の一つ一つは、ほれぼれする程に「絵になる」一流のプロフェッショナルに特有の動きに満ちている。ラーメンを作ってもらっていると言うよりも、ホテルのバー等で名人バーテンダーにシェイカーを使ってカクテルを作ってもらっているような・・・そんな気分になって来る。
特に湯切りの動作は、目の高さまでザルを上げて水平に保ち、ザルの中で巧みに麺を「踊らせる」と言う・・・・まさに「ロックンロール風」の湯切りである。
使われているラーメン鉢は有田焼だそうで、「支那そばや」の佐野氏から寄贈を受けたものらしい。良くみると底の丸い器と、角ばった器の二種類がある。

最初に登場した「1号ラァメン」は、鶏スープにカツオ出汁を加えた物である。見ていると、スープを一杯分ずつ行平鍋に取り、カツオ節を追いガツオの要領で漉していた。
まずはスープを飲んでみると・・・・鰹風味がまさに「出来立て」そのもので、非常に鮮明でフレッシュだ。寸胴でカツオ節を煮込むのと違って、旨味のコクは浅いものの、カツオの風味がまったく飛んでいない。
ただ、鶏のピュアな旨味と、カツオのフレッシュな風味の組合せは、素晴らしく上質な美味しいスープだが、お店の雰囲気からは自己主張の強いラーメンを想像していたせいか、意外に優等生過ぎると言うか、やや無難過ぎるようにも感じられ、予想していたほどは、強く主張して来るものが感じられないような・・・・気もしないでもない。
と言うよりも、本当のところは、この後に食べた「二号ラーメン」のスープがあまりにもインパクトがあり過ぎたため、こちらの「一号ラーメン」のスープは、「クオリティ」面ではまったく文句は無いものの、あまりにも公式どおりと言うか・・・・方向性がやや大人しく感じられてしまったようだ。

また、最初に長めの「竹製の箸」が置かれているのを見て、少々不思議に思ったのだが、いざ麺を食べ始めると、すぐにその理由に合点が行った。
器の口がやや狭めで、かつ、器が深いので、ややもすると多少「麺」をすすりづらいのだが、その分、箸が長くなっているのだ。普通の割り箸だと少し間に合わないと言うか、ちょっと長さが足りなくなると思う。
実は、この器の形と、長い竹箸と、滑らかな細麺・・・・の三者の組合せには、実は「ある意味」が秘められている事が数十秒後に判明する。

細いストレートの麺は・・・・既に、箸でつかみ上げた時点の、手に伝わって来る感触からして、その「しなやか感」&「スムーズ感」に、凡百の麺とは「まるで違う」「明らかに異なる」麺の素性を確信させられる。
そうして、最初の「ひとすすり」をしただけで、そのまま「卒倒」しそうなほどの・・・・・にわかには、信じ難いレベルの美味しさ。
その食味は、「特注」&「別注」感・・・・・「ありあり」であり、特に「滑らか感」「しなやか感」「のびやか感」の素晴らしさは・・・・普通ではない。

まるで、スーパーフッ素コーティングされた新品フライパンの表面を指で撫で回すかのように、とめどなく、「ウルトラ・シルキー」な超絶のタッチフィール。なんと言う・・・・「妖艶」で「なまめかしい」柳腰だろうか、それに加え、適度な量感も完備し、すすれば、すするほど、すっかり「夢心地」である。
噛み締めれば、紛う事なき「国産上質小麦」の香りと旨味が、口中に心地良く広がり、これぞ・・・・ストレート細麺の究極の「理想形」であると言う確信を持つ。

チャーシューは鶏肉を使った物が二枚載る。
臭みなど微塵もなく、上質でふくよかな食感で美味しい。ただ、意図的に味付けや食感はやや大人しめに控えられているような気がする。敢えて「あくまでチャーシューは脇役」の範疇に抑えている印象を受けるのだ。
穂先メンマは、空気を含んだかのように舌先で軽く「フワッ・・・」として柔らかく、噛めば「シャク・・・」とする非常に精緻な繊維感、どこまでも繊細な食感が、「すこぶる」付きで素晴らしい。
こちらも意図的か、やや薄味に仕上げられていて、メンマ特有の醗酵臭や旨味がきちんと感じられながら、メンマと醤油スープが器の中で出会い、両者の味わいがブレンドされることで、メンマの美味しさも完成形を迎え、際立つように設計されているようだ。

ちなみに、この手の「細く」「長く」「ストレート」の滑らかな麺で・・・・香りも味も「国産上質小麦」の麺と言えば、私的に真っ先に思い浮かぶのは、「支那そばや」と「ちゃぶ屋」である。しかし、こちらの細麺は、部分的にはその両店を凌駕しているとさえ思える節がある・・・・。
つまり、「支那そばや」や「ちゃぶ屋」の麺が、非常にハイレベルな「滑らか感」「しなやか感」「のびやか感」を持ちながらも、どこかしら機械チック・・・・具体的には麺の「切刃」の存在を暗に感じさせる食感であるのに比べ、こちらの麺は全く切刃の存在を感じさせないナチュラル感がある。つまり、まるで「手延べ」の麺のような・・・・ナチュラルな角の丸さと、ふくよかな口当たりのある食感なのだ。

そう言う意味では、過去、私が食べて来たストレート細麺の中でも、間違いなく「最高峰」の麺の一つに間違いない。
後日、インターネットで調べた限りでは、「中根製麺」の特注麺を使っているらしい。

そして、「さらに・・・・・」
この麺を、さらに一層、「美味しい」と感じさせるマジックが待ち受けている。

実は、深さのある器は全体がなだらかな曲線を描いているとともに、特に底に絶妙な丸いカーブが付けられている。
そのため、なだらかな器の中で「スルゥゥン、スルゥーン・・・」と、この柔らかな麺が前後左右に「スゥイング」するように、実に心地良く動くのだ。この感覚がまた何とも言えず「気持ちいい」。
のびやかな麺が、常にリズムに乗って、滑らかに体を揺らし、常に動きが淀まず対流し、こちらの箸の動きに息をピッタリと合わせて「スイング」するのだ。いつしか、私も、体を揺らしながらリズムを取るようにして、楽しい気分で箸が次々と進んでしまう・・・・。ラーメンを食べて、こんな感覚になるのは初めてである。
ちょうど丸い「金魚鉢」に半分位まで水を入れて、ゆっくり「円」を描くように揺らすと、中の水が「グル〜ン、グル〜ン」と対流する・・・・ちょうどそんな感じの麺の動きなのだ。
そして、普通より3割ほど「長い竹箸」は太さと剛性感もあり、この深さのある器の中で「スゥイング」する麺へ届くための、良く動き回る麺をスムーズ&しっかりと掴んで食べるための・・・・「特別に」セレクトされた見事な「ツール」である事が良く判る。

うーん・・・新感覚、「これは、新しいラーメンの美味しさ&楽しさ」だなぁ・・・・と感心させられる。
器そのものも、いかにも「有田焼」らしく、表面が硬質で、滑らかにツルツルで、高級感満点。おそらく、買えばかなり高価なものだろう。特注麺の「滑らか感」「しなやか感」「のびやか感」を最大限に伸ばした、こう言う「無類のフィーリング」の食感も、この器でなければ、絶対に生まれて来ないだろう。
店内の壁には「水も食材」、「器も食材」と額に入って飾られているが、食べ進むにつれ、確かに「正論」だと思った。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)




↓続きあり






〜69‘N’ROLL ONE その2〜










同上日 2号ラーメン 700円
(この写真はクリックで拡大します)



「鶏スープ」「醤油ダレ」「極上細麺」「上質な具」「有田焼の器」「長い竹箸」・・・
そのどれか一つが欠けても決して成立しない、極めて「高い位置」でバランスした「独創」の一杯。
知れば知るほど、その造り込みの「深さ」に驚嘆してしまう。

スープは一切の迷い無く、徹底して「100%鶏」オンリー。
その効果は想像を超えて、まさに「絶大」ですね。

シンプルながらもパワフルな「剛」のキレ味・・・・
「二の太刀要らず」と言う、「薩摩示現流」の剛剣のイメージです。









うむむ・・・・信じ難いほどに「研ぎ澄まされた味」。
そして、鶏の「リアリティ」(現実感)・・・・が、半端なくもの凄い「衝撃」です。
キラキラと黄金色に光輝く、まるで「宝石」のような鶏油が美しい・・・。






「スルルルル〜〜ンッ♪」っと、リズム良く口中へ滑り込んで来て、
「しっとり・・・」、「モッチリ・・・」と歯に吸い付き、舌にまとわりからむ・・・。
絹のビロードのような、実に艶かしい動きと舌触りを持つ、なんとも「妖艶」なる麺。




同上日 2号ラーメン 700円 

券売機の説明によれば、こちらの「2号ラァメン」は「比内地鶏100%スープ」のラーメンだと言う。
ご存知の方も多いと思うが、今や秋田県名産の「比内鶏」は、国の「天然記念物」に指定されている。ただし、比内鶏は「天然記念物」とは言え、もともと食用家禽なので今も食用に対する特段の規制はされていないのだ。
しかし、「原種」を保護するために、比内鶏の「原種」は市場に出回らなくなり、雄の比内鶏と雌の外国産鶏(ロードアイランドレッド)との交配による一代「雑種」が、比内「地」鶏という名前で流通している・・・・旨の説明が農林水産省のHPに出ていた。

つまり、正確には「比内鶏」と「比内地鶏」とは「種」が異なる訳だが、それでも薩摩地鶏や名古屋コーチンと並んで、「日本三大地鶏」の名声を担っている「比内地鶏」であり、その「比内地鶏100%」のスープと言うのは実にスゴイことだ。
なぜなら、世の中、例えれば「○○○ブランド鶏使用」などを謳うお店でも、なかなか100%と言うお店は少ない。実際はコストの関係で「○○○ブランド鶏」は何割かを使うだけで、鶏ガラの大半は普通の無名銘柄の鶏のガラを使っている事が少なくないのだ。特にコストの制約を受け易いラーメンは、他にも、「○○昆布使用」とか「○○の塩使用」などと述べられているケースも同様であり、高価な食材の場合、単に一部(数%)使っているだけで、その比率的な実態は無名銘柄の昆布や塩が食材の大部分を占めている事もあるようだ。
これは薀蓄表記の「マジック」である。「全量使用」(100%)と、単なる「使用」(1%でも可)では、その実態があまりにも大きくかけ離れて異なる現実を、客側も良く理解する必要があると思う。

さて、登場した「2号ラァメン」は・・・・スープの透明感が増し、醤油ダレの色が一段濃くなっている。
レンゲでスープをすくってみると、「キラキラ」と黄金色に光輝く、まるで「宝石」のような鶏油が素晴らしい美しさ・・・。豊潤に盛り上がって光り輝く「珠」状の鶏油を見て、これは相当に期待できると直感した。

そのスープを一口飲んでみると・・・・鶏の旨味が非常に「スーパーリアル」&「ウルトラパワフル」だ。
何より、鶏の「リアリティ」(現実感)・・・・が、半端でなくもの凄い。かって・・・・私は、これほどの鶏の「リアリティ」を持つスープとは出会った事がない。
そして、非常に味が「筋肉質」で「引き締まって」いる。「薄めた」ような感じが全くないと言うか・・・・この「超」の付く「濃厚&芳醇」さは・・・・「鶏スープ」と言うよりも、もろに「鶏エキス」と言うイメージだ。
「ギラギラ」とした獰猛な鶏の一面が光るスープ。そして、とにかく鶏の味が「グイン、グイン」と、「前へ」「前へ」と、力強く前へ出て来る味だ。グイグイと「前へ」出て来る鶏の風味に・・・・「この鶏・・・・一体どこまで前に出て来るんだ」と思えてしまう。

加えて、「醤油のキレ」がもの凄い鮮烈だ。非常に「明るく」「キレがあり」「力強さ」があり、こちらも「醤油ダレ」と言うよりも、まさに「醤油エキス」と言うイメージで、「くっきり」とした濃い味わいを持つ印象。
いわゆる香りが熟れて円熟したようなコクのあるコッテリした「たまり醤油」とは正反対で、醤油の若くて明るい香りが生きた、キレのある鋭角的で「華やか」&「明瞭」な味である。
どうやら、老舗の醤油蔵から、火入れ(加熱)処理前の生の醤油を入手して、店内で独自の火入れ処理をしているらしい。

ただ、スープは、臭み消し用の香味野菜なども使っていないそうで、そのお陰で、鶏の「現実感」が100%に生きている訳だが、そのせいか一方で・・・・どうしても多少の鶏特有の「クセ」も感じられる。
特にスープ一口目は、鶏油が多めに口に入るため、余計にそう感じられてしまう。この鶏の「クセ」を、人によっては鶏の臭みと感じる人もいるかも知れない。しかし、その分、計り知れない「パンチ」と「勢い」、そして食べ手を圧倒するアグレッシブな旨味の「力感」を生んでいるので、この辺りのバランスは諸刃の剣と言うところだろう。
もちろん、「ブロイラー」のような化学的な臭みでは一切ないのだが、「生き物」としての鶏の様々な風味を、あまりにも「リアル」に感じさせるのだ。
何と言うか、本物の「革ジャン」に身を包んだ時の「本革の匂い」・・・・に通じる「ゾクゾク」する「リアル感」がある。ビニール製の安い「合成皮革のジャンバー」では絶対に味わえない本物のみが持つ匂いだ。
ただし、数口食べて、麺とスープと鶏油が、次第に撹拌され始めると、ちょうど良い具合にバランスが取れて、ほとんど気にならなくなって来る。

細麺は、先の1号ラーメン同様に、「スルルルル〜〜ンッ♪」っと、リズム良く口中へ滑り込んで来て、「ユルーリ・・・・」と舌の上へ横たわり、「しっとり・・・」、「モッチリ・・・」と歯に吸い付くような、舌にまとわりからむような・・・・この路線の麺が好きな人には「堪えられない」絶品麺だ。
細さと長さが両立し、絹のビロードのような、実に艶かしい動き方と舌触り、全く噛まずに飲み込めるほどの最高のノド越しを持つ、素晴らしく「妖艶」な麺である。
国産上質小麦、多加水、やや緩めの圧延、そしておそらくは天然カンスイの組合せ・・・・さらに麺の茹で方や扱い方も完璧、そこへ有田焼のラーメン鉢による例の「絶品スゥイング感」と、高価そうな長い竹箸による「高級ツール感」が加わり、これほどの究極の「ラグジュアリー」な麺食の世界が誕生するのだろう。

ただ、先の一号ラーメンと比較すると、気のせいかどうか、麺に絶妙に「シャキッ」とする感触が加わっていた。それでも、スープに感動し過ぎてゆっくり食べていたところ、終盤に入る頃には、さすがにやや緩めになって来たので、この麺は早めに食べ切るのがコツだと思う。

具としては、穂先メンマは一号ラァメン同様に繊細な歯触りの美味しいものだが、チャーシューは鶏肉ではなく、豚のバラ肉が使われている。
この豚バラチャーシューは、オーブンで「焼き」を加えているらしいのだが、長らくスープに浸っていたせいか、さほど香ばしいと言う事は感じなかった。
このチャーシューも、とても上質で丁寧な作りだが、やはりあくまで「具」としての脇役的立場をわきまえたようなイメージで、決して「麺」や「スープ」の前にしゃしゃり出てしまう事がないのは「さすが」だ。

食べていて途中、あまりに「リアル」な鶏の美味しさに、「鶏のモモ肉の照り焼き」に、かぶりついて食べている生々しい感覚になって来た。
しかし、さらに食べ進むと、「モモ肉」などよりも、もっと味わいが濃く、遥かに油の旨味が芳醇であることに気付いて来る。そうして、「この味は・・・・もっと別な何かに似ているなぁ・・・・」と思い始めたのだが、数口後に何と似ているのか閃いた・・・・。
そう、濃い醤油ダレを付けて焼いた油タップリの鶏の「ボンボチ」(ボンジリ)の串焼きの味である。「ボンボチ」とは、鶏の尻尾の先の貴重な部位で、一羽から一つしか取れないため高価なものだが、鶏の旨味がギュギュッと濃密に詰まり、口に入れれば極めてジューシー、焼き鳥の中でも鶏の「肉」と「脂」の両方を最も美味しく味わえる最高の部位と言われている。
こちらの「鶏のリアリティ」があふれる衝撃的なスープは、まさしく「鶏の美味しさの凝縮形」そのものであり、この貴重で高価な「ボンジリ」の濃縮された旨味のイメージに近い・・・・と思う。


さて、食べ終えての感想としては・・・・
こと、「比内地鶏100%スープ」に関して言えば・・・・久しぶりに「刮目」(かつもく)する程の凄いスープと出会った・・・・と言う印象だ。
その単純明快ながら極めて力強いシンプルさと、迫真のリアリティさゆえ、「一刀両断あるのみ」「二の太刀要らず」と言われ、一切の小手先技を使わない「剛」の剣術で知られる、「薩摩示現流」のイメージが脳裏に浮かぶ。

もしくは野球で言えば、一切の変化球を使わず、150kmの「超剛速球ストレート」のみで真っ向勝負する「痛快」な豪腕ピッチャーだろうか・・・・。
お酒で例えるなら、他のお店のスープが通常の14〜16%程度の濃度である醸造酒の「赤ワイン」だとすれば、こちらはそれを蒸留してアルコール度数と旨味を何倍にも濃くした「40%」を超える蒸留酒の「ブランデー」の口当たり、飲み心地・・・・そして、旨味の「度数」と言うイメージでもある。
それでいて、後味はいかにも「鶏」らしく、極めてあっさりとして、すっきりとしているのだから恐れ入る。

加えて、「極上の細麺」も絶品だ。これほどの「滑らかさ」「のびやかさ」「しなやかさ」を完備し・・・・それでいて、一本一本が見事に「スジが通ったコシの動き」「イキイキとしたビビッドな食感」を放つのだ。この「麺」、そしてこの「茹で加減」を「完璧」と言わずして、一体何が「完璧」であろうか・・・・。国産小麦の麺の美味しさも「言わずもがな」である。

さらに、それだけにとどまらず、食べ進むにつれ、「鶏100%のピュアスープ」「キレのある醤油ダレ」「滑らかな極上細麺」「上質な具」「有田焼の円い器」「長い竹箸」・・・・どれか一つが欠けても成立しない、恐ろしく「高いレベル」で有機的にバランスした極めて「独創的」な一杯である事実に気付き、その造り込みの「深さ」に愕然としてしまった。

こう言う、独創&ハイレベルなラーメンは、作り手に類まれなる「センス」が備わっていなくては、到底、「考え付く事」さえ不可能だと思う。
ただ、同時に、非常に「趣味性」の高いラーメンだな・・・・とも思う。あらゆる要素を「突き詰めて、突き詰めて・・・・さらに突き詰めて・・・・」作るとこういう味になると思う。それゆえ・・・・やや食べ手を選ぶ部分もあるかも知れない気はする。
だが、どこの店のラーメンとも「一切」似ていない、「オンリーワン」の味は、まさに「食べ歩きフリーク」のハートを見事に射止める一杯である事に一切の疑いの余地は無いだろう。そう言う意味では、今年の5月に食べた、「不如帰」(渋谷区)のラーメンと通じるセンスがあるようにも感じられる。
あふれるセンスと技術を、単に美味しさの追求だけで終わらせるのではなく、自分だけの大切なオンリーワンの「新しさ」と「オリジナリティ」の追求に費やしているとも思える一杯だ。

ちなみにこちらのお店、インターネット上では営業時間は11:00〜18:00(売切仕舞)と表示されている事が多いようだが、この日は私の帰る頃、午後3時過ぎには材料切れとなったようだ。遠方から行くなら、早めの時間帯が良いと思う。


(麺は完食。スープも完飲。)










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