01ch グルメ食べ歩き
よし房 凛
(東京都 文京区)

店名 石臼挽き手打蕎麦 よし房 凛(よしぼう りん)
住所等 東京都文京区根津2-36-1 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2006年6月中旬 せいろ 750円




〜根津 よし房凛〜



2006年6月中旬 せいろ 750円

今回は、都内でも屈指の「美味しいそば店」との呼び声が高い、巷で評判の「よし房 凛」(文京区・根津駅 or 千駄木駅)さんを訪問してみました。
実際に数多くの「グルメガイド」への掲載を始め、インターネットでも「日本蕎麦系サイト」「グルメ系サイト」では、こちらの「蕎麦」について「絶大なる支持」と「揺るがぬ高評価」をしているサイトが少なくありません。

こちらのお店は不忍通りに面し、根津神社への入口にあります。交差点の角地なので判りやすい場所だと思います。




ちなみに、「谷根千」(やねせん)と言う言葉があるようで、これは「谷中」「根津」「千駄木」の頭文字をとったものです。
つまり、江戸下町情緒を今も色濃く残すこの界隈を指す言葉なのですが、この一帯は、震災や戦災による家屋の焼失からまぬがれたお陰で、今なお江戸情緒の残るエリアです。
数え切れないほどの多くの坂道や小さな階段があり、閑静で緑も多く、昔ながらの駄菓子屋さんや甘味処、七十を超える寺院仏閣、記念館や美術館、名所旧跡などが点在し、ブラリと「散策」するには持って来いの町です。
そして、この地域はなぜか美味しいお蕎麦屋さんが多い事でも良く知られています。

ちなみに、ここから500mほどの場所にある「団子坂」は、随分と急な坂道なのですが、江戸川乱歩の推理小説「D坂の殺人事件」の舞台となった事でも有名なようです。




玄関に生花が置かれ、六月なので店頭の「アジサイ」が花を付けていました。
格子の付いた窓の控えめな照明が「蕎麦処」らしい風情を醸しています。




営業時間と定休日の案内です。
終日禁煙の蕎麦屋さんは、都内でもまだまだ希少でしょう。
蕎麦の魅力は「味」だけでなく、その半分は「香り」にこそありますので、こういうお店は実に嬉しいですね。




店頭のメニューです。「せいろ」を頼む事にします。
大吟醸や純米吟醸など、有名銘柄の日本酒が揃っていますが、中でも静岡県の「磯自慢」があるのは凄いですね。
よほどのルートがないと、まず滅多に手に入らない貴重な銘柄です。




店内はカウンター席はなく、テーブル席が散在する形です。
ガラス張りの麺打ち台の中に沢山の麺棒がかかっていて、本日の「蕎麦の産地」が書かれています。
配膳用の小窓から少しだけ厨房が見えます。




こちらは「あたたかい」おそばのページです。
むむ・・・「地蔵そば」とはどのような蕎麦なのでしょう。




「ぶっかけそば」もあるようです。
この後にもいくつかメニューページがありました。




非常に香りの良い、素晴らしく美味しい「蕎麦茶」です。
芳ばしくてとても美味しいですね、あちこちで蕎麦茶を頂きますが、今までの中でも三本の指に入る香りと味の良さです。
蕎麦だけでなく、淹れ方も上手なのでしょう。

これはいやがうえにも、蕎麦への期待がますます高まります。





さて、いよいよ「せいろ」の登場です。
最近は四角い箱にスノコを敷いた物ではなく、丸い笊に蕎麦を乗せて出すお店が増えましたね。
割箸は高級なタイプでオリジナルの箸止めが付いています。
薬味はワサビだけでなく、辛味大根も添えられます。





うーん・・・・美しい盛り付けですね。
「せいろ」にしては蕎麦の色がやや濃い目でしょうか。色の濃さに比較すると、蕎麦の香りはややマイルドに感じられます。

食べてみると「ぬめり」が非常に良く取れていましたので、その分、冷水締めの時間がやや長かったようなイメージも受けます。
蕎麦の冷水締めは、食感を損なう「ぬめり」をどう取るかも大切ですが、あまりやり過ぎてしまうと、蕎麦の「味」や「香り」も抜けてしまいます。

蕎麦をきれいに洗いながらも、「香り」や「味」をどう残すか・・・そのバランスがとても難しいと言われています。






「せいろ」ですが、アップにして見ると、ほんの少しだけ蕎麦殻が混じります。
まずはツユに浸けずにそのまま蕎麦を食べてみました。

蕎麦の輪郭が大変良く残っていて、すする度に「ツルツル」と動きは良いのですが、味的にはやはり多少の「水気」が感じられる気がしました。
今回がたまたまのブレかも知れませんが、あくまで私的な好みとしては、茹でた後の流水にさらす時間を、もう少し短めにしてくれると嬉しいような気もします。
ただ、その分、麺の表面がとても滑らかで、スルスルとしたノド越しの良さにつながっています。

一口食べて感じたのは、何と言うか・・・・妙に気負ったところのない、実に優しい風合いを持った蕎麦だと思います。
ですので、こちらもリラックスして食べられると言うか・・・・「食べ疲れ」せず、沢山食べられそうな蕎麦です。





透明感のある優しいツユです。ミリンのほんのりとした甘味があります。
このツユも、蕎麦同様にどこにも「気負った」「背伸びした」感じがないですね。

ツユに浸けて食べてみても、蕎麦の印象がガラリと変わるようなことはなく、やはりとても自然体で、安心できる穏やかな味です。
醤油の強いパンチや辛口系のツユは、この優しい蕎麦には合わないと思いますので、このツユはベストチューンでしょう。





蕎麦湯は自然な濁り具合で、どうやら蕎麦を茹でたそのままの湯を出してくれたようです。
別途、蕎麦粉を溶き入れてトロリとしたポタージュのようにした蕎麦湯を出すお店もありますが、どちらが好きかは食べ手の好みになるのでしょう。

ちなみに手打ち蕎麦のお店の中には、蕎麦打ちの際に、多めの塩を使うお店もあり、そのようなお店で蕎麦を食べたり、蕎麦湯を飲んだりすると、食後に「塩」のキツイ味が舌に長らく残ってしまう事がよくあります。
ですが、こちらのお店は食べ終えてお店を後にしてからも、舌に塩気などを感じることもまったくなく、後味も実に「すっきり」としたとても心地良いものでした。



ところで、今回は「6月」と言う初夏のシーズンに訪問したのですが、言うまでもなく、「蕎麦」が最も美味しくなる季節は「秋」です。
ほぼ10月〜11月頃が一番「蕎麦」が美味しくなる季節と言われています。
なぜなら、当然ですが「蕎麦」は農作物であり、もっとはっきり言えば、蕎麦の実は「野菜」と同じく、「鮮度が命」ですので、その収穫し立ての新鮮で香りの良いフレッシュな蕎麦の実を挽いて作る「秋の新そば」こそが、蕎麦の真実の味だと言われています。
逆に、月日が過ぎる毎に、鮮度は落ちてゆき、香り、歯応え、味ともに弱くなり、次第に美味しくなくなってしまいます。

その意味で、蕎麦通の間では、年間で最も鮮度が落ちてしまった「夏の蕎麦」はあまり美味しくないと言われる事が多いようです。
もちろん上手な「保存の仕方」によっては、ある程度の鮮度を保つ事も可能でしょうし、最近は日本とは四季がちょうど逆転する南半球のオーストラリアなどで、蕎麦を栽培することで、年間を通して「新そば」や「新そばに近い蕎麦」が食べられるよう、努力していると言う話も聞いたことがあります。

ちなみに、縦に長い日本列島ですので国産の蕎麦でも、その産地により蕎麦の収穫時期にはずれがあります。
こちらのお店は、シーズンにより蕎麦の産地を選択するなどして、出来うる限り「旬」の蕎麦の実を仕入れているようで、こう言う努力は実に素晴らしいですね。
製粉も、石臼挽きで自家製粉をされているようです。

また、超プレミアムの「磯自慢」の大吟を始め、置かれている日本酒のほとんどが純米酒と言うのも非常に素晴らしいですね。
しかも、店内は全席終日禁煙ですので、タバコの煙がない場所で、安心して美味しい日本酒をゆっくりと堪能したいと言う諸兄には、まさしく「救世主」と言えるお店ではないかと思います。



(麺は完食。蕎麦湯は3割飲んだ)










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