01ch グルメ食べ歩き
吟八亭 やざ和
(東京都 葛飾区)

店名 そば 吟八亭 やざ和(ぎんぱちてい やざわ)
住所等 東京都葛飾区亀有1-27-8 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2005年11月中旬 せいろそば 850円 
            田舎せいろ 1000円 




〜そば やざ和〜



2005年11月中旬 せいろそば 850円  + 田舎せいろ 1000円

今回は、都内でも屈指の「美味しいそば店」との呼び声が高い、巷で評判の「吟八亭 やざ和」(葛飾区・亀有駅)さんを訪問してみました。

実際に数多くの「グルメガイド」への掲載を始め、インターネットでも「日本蕎麦系サイト」「グルメ系サイト」では、こちらの「蕎麦」について「絶大なる支持」と「揺るがぬ高評価」をしているサイトが少なくありません。
ちなみに、こちらのお店のご主人は千葉県柏市にある有名店「竹やぶ」で修行をされたようです。

お店は、京成線の「亀有駅」から徒歩約5分ほどの場所にあります。
交差点の角地なので判りやすい場所だと思います。


 大胆な個性を放つ店構え

天然の木材を多用したユニークな店構えです。入口の瓦ヒサシなどは手作り感満点です。
店舗の右側に一台分だけ駐車スペースがあります。
「新そば」の貼り紙がまぶしいです。


 美しく活けられた草木

エントランス部分は結構広く、玉砂利が敷き詰められ、石畳が敷かれ、草木が活けられています。
赤い実が「南天」かと思ったら・・・どうも別な木のようですね・・・。階段を上がった2階にお店があります。


 店内風景

店内は窓が大きめで明るいです。二階部分なので、特に陽光がたくさん入ります。
奥に小上がりスペースもあります。


 天然木を巧みに配した壁面

左側が入って来た入口のドア、エンジ色のノレンの奥が厨房です。
一枚ずつ形の異なる天然木(欅?)を巧みに配し、店主さんの感性で、店舗外観、入口、階段、客席スペース・・・・ありとあらゆるところが「創作されている」イメージです。
この辺りの凝り方も、修行先の「柏 竹やぶ」ゆずりなのでしょうか。


 メニュー その1

達筆な手書きメニューです。
ちなみにテーブルの上部に見えるゴツゴツした模様は、テーブルに蕎麦の実を埋め込んだオブジェです。
「せいろそば」と「田舎せいろ」を注文しました。


 メニュー その2

黄門そばとは・・・?
ひょっとして、(水戸)納豆そばのことでしょうか・・・。
この他、多数のメニューページがありました。



 「せいろそば」 850円

さて、まずは石臼挽きの「せいろ蕎麦」の登場です。
ほう・・・お盆上に展開される配膳レイアウトも、見事に「アート」していますね。
蕎麦がうっすらと淡い緑色をしているのは、採れ立ての真新しい「新蕎麦の粉」を使っている証拠でしょう。

まずは、香りをかいでみると・・・・蕎麦特有の清々しい香りが鼻腔を満たしてくれます。
そして、その香りは蕎麦らしく素朴でありながらも・・・・カントリーぽさオンリーではなく、むしろ上品でどこかしら洗練されているような香りに感じます。ふんわりと優しく、優雅な香りです。

最初は例の如く、何も付けずに「蕎麦」だけを一つかみ食べてみます。


スルスル・・・・モグモグ・・・・。

うーん・・・・実に「素晴らしい」ですね。このお蕎麦は、本当に素晴らしく「美味しい」です。

いやはや・・・・一口食べただけで、その「高尚な美味しさ」に、既にすっかり打ちのめされた気分です。

普段はなかなか出会えない「最上の世界」の味です。
蕎麦界トップランクの「美味」の世界へと、「一歩も二歩も」確実に踏み入れている蕎麦だと思えます。



 「せいろそば」のアップ

こちらの「せいろ」の食感・・・・・。

見た目からは、もっと「ザラリッ・・・」とした粗さと茶色い風味を感じさせる地場っぽい蕎麦かと想像していたのですが、意外にもふくよかで上品な仕上がりで、目が覚めるほどに美味しいです。
とにかく、非常に優雅で心地よい舌触り、優しい味わいが特徴です。

すすり心地は、決して「ツルツル」と硬質なのではなく、「スルスル・・・」と軽く、柔らか。

硬めのエッジが立った、ソリッドな食感の蕎麦ではなく、いうなれば・・・・恐ろしく、「たおやかな」、口当たりです。

口に入ると、ポヨポヨと軽く弾むように動き、ふわっと優しい歯触りが何とも秀逸です。
麺が縦にも横にも微妙に伸びるような・・・動きの柔軟さがある「ふんわり」とした、中量級のシルクタッチな歯触り・・・そう、恐ろしいほどに「シルキー」なタッチなのです。

非常に優雅で心地よい舌触りで、まるで「淡雪」に触れるかのような・・・口解け感が素晴らしいです。
何とも艶(なまめ)かしい柔らかいタッチが・・・・どちらかといえば「女性的」なアンニュイ・フィールを感じさせる蕎麦です。

全体的に、グイグイ主張して「押す」のではなく、たおやかに「一歩引く」ことの「美学」が織り込まれている印象ですね。

決して、弱い麺ではないのですが、「はにかむ」ようなコシ・・・。
思わず、その食感を、「追いかけたくなる」感じです。

この辺りのバランスの采配の上手さは「お見事」としか言いようがないです。

まさしく、食べ手を、「蕎麦の桃源郷」へと誘う「魅惑」の食感でしょう。
何と言うか・・・・蕎麦と言うと、「香り」とか、「味わい」とか、「ノド越し」とか・・・・いろいろ語るべき要素があるわけですが、こちらのお店の蕎麦は、そういった「個々の要素」を語るレベルを、すでに大きく通り越して、さらに上を目指している味に思えます。


そのまま半分ほど、何も付けずに食べたところで、敢えて「ツユ」を使ってみることにしました。

徳利に入ったツユを器へあけてみると・・・醤油の色が濃い、黒々としたツユです。
やはり、箸でつかんだ蕎麦の下三分の一だけをチョコンとツユに浸けて食べるタイプです。


ズルズル・・・・モグモグ・・・・。
うーん・・・これまた抜群に美味しいですね。

ツユの旨味が濃厚なので、付ける量の加減がポイントだと思います。
ツユ自体は、「かえし」が濃いのですが、しょっぱいとか、カドを感じるとか、舌を刺すとか・・・・そういう無粋な部分は微塵もなく、本当に、十分に、「寝かせた」ツユであると感じます。

味が濃いと言うより、「深い」と言うイメージです。
甘辛い味ですが、出汁がジンワリと底の方から立ち上がってくるように感じられます。

香りの華やかな明るい味のツユではなく、もっと味わいの奥深さを重視したようなヘヴィなタイプです。
くれぐれも、蕎麦をジャブジャブとすべて浸け込まないことが肝心です。
それでは、ツユの味が勝ちすぎてしまう事になります。

白ネギは切り方が薄く、繊細な感じがこの繊細な蕎麦に添えられる薬味としてベスト。
ワサビはちょっと粉っぽさがあったかも知れません。



 「田舎せいろ」 1000円

さて、「せいろ」の大感激も冷めやらぬうちに、続いてこちらは、手挽きの「田舎せいろ」の登場です。

蕎麦の実を丁寧に手挽きした蕎麦粉を使ったものです。
「せいろ」に比べて色がやや茶色っぽく見えるのは、蕎麦の実を丸々使う「挽きぐるみ」だからでしょう。

うーん・・・・器の趣味や使い方など、やはり、どこかしら修行先の「竹やぶ柏本店」を彷彿とさせます。
ちなみに、山葵ではなく、ダイコンオロシが付いてきます。

まずは何も付けずに蕎麦だけを食べてみると・・・・。


スルスル・・・・モグモグ・・・・。

いやはや・・・・こちらもまた「せいろ」に負けず、実に美味しいですね。
どちらかと言うと、やはり蕎麦の香りはこちらの方が「せいろ」よりも強いですね。

蕎麦の強い香りとともに、味わいにも「力」が漲っている感じがあります。

ダイコンオロシが珍しいので、使ってみましたが、「ギュッ」と搾られていて水気が全くなく、しかも「辛味」の強いダイコンなので、非常によく合いますね。
特に、田舎蕎麦の野趣あふれる強い風味には、むしろワサビよりも、このダイコンの辛味の方が合うようです。



 「田舎せいろ」のアップ

「田舎そば」と言うと、やたらと太く、乱切りで、がっつりしていて、アゴに力を入れて噛み締めて食べる感じのお店が多いですが、
こちらの田舎蕎麦は、打つ時に、ギュッギュッと押し固めてしまったようなところが微塵もなく、「せいろ」同様に、やはり素晴らしく「たおやか」「ふくよか」な食感です。

ただ、それでも、やはり先に食べた「せいろ」の絶妙なタッチ・フィールから比較すると、僅かな差ですが、ちょっと動きが硬い気がします。
また、「挽きぐるみ」になる分、蕎麦の香りも味もどこかしら微妙に荒削りと言うか、どうしてもアグレッシブに感じられます。
ですが、それも洗練され切っていない「田舎テイスト」の演出として理解できますし、パンチはこちらの方があるように感じます。
僅かですが蕎麦の「殻」が混じるのも、ほど良い野趣を感じさせます。

どちらも同じように超ハイレベルの出来栄えですので、後は食べ手の好み次第と言う事になるのでしょう。



 濃厚な「蕎麦湯」

頃合いを見て、「そば湯」を持って来てくれます。
見た目からして、かなり濃厚な蕎麦湯です。いわゆる「ポタージュ」系ですね。
茹で湯だけでなく、蕎麦粉などを溶かし入れているのでしょう。

ツユと混ぜて飲むと、これまた素晴らしい美味しさです。
まるで飲む手が止まりません。結局、ほとんど飲んでしまいました。この蕎麦湯は濃厚なので、かなりの満腹感があります。



 石臼で蕎麦の実を挽く店主氏

大満足とともにお蕎麦を食べ終わって、客席を出ると、ちょうど店主さんが石臼で蕎麦の実を碾いて(ひいて)いらっしゃいました。
北海道や福島県の農家から仕入れた蕎麦の実を店内の石臼で自家製粉しているようです。
どうやら「玄蕎麦」を石臼に掛けたところのようで、割れた「殻」が見て取れます。

ちなみに、なぜ「石臼」を使うかと言うと、大型の高速製粉機で蕎麦の実を挽く(ロール挽きと言う)と、摩擦熱が発生して、熱で蕎麦の風味が劣化してしまう恐れがあるからだそうです。
冷たい「石臼」でゆっくりと挽けば、熱も出ず、しっとりとしていて、蕎麦の新鮮でデリケートな風味も劣化しない・・・・と言うことらしいです。
まして、手で石臼を回せば、ハンドルの振動を通して蕎麦粉の状態が手に取るようにダイレクトに伝わって来ますので、時間がかかり、熟練の技術も要しますが・・・・本当に「こだわる」のであれば、至極当然のように「石臼の手挽き」と言う事になるのでしょう。



さて、食べ終わって感じた事は・・・・旬ピークの「新そば」の季節と言うこともあるかと思いますが、

うーん・・・・まさに、「行くところまで行った蕎麦」・・・・と言う感じでしょうか。

ちなみに、こちらのお店の蕎麦の何よりの魅力は、その比類のない蕎麦の「食感」だと思います。
もちろん、蕎麦の「香り」や「味わい」も卓越していますが、それでも、おそらく都内の有名店を何軒か回れば、おそらく同等の「香り」や「味わい」の蕎麦を出すお店を見つけることは可能かも知れません・・・。

ですが、これほど卓越した蕎麦の「絶品の食感」を出せるお店となると・・・・
たとえ東京全域を探訪したとしても、容易には巡り合えないのではないかと思わせられるほどに、
あまりにも卓越して「素晴らしいお蕎麦」でした。



(すべて完食。そば湯は7割飲んだ)










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