01ch グルメ食べ歩き
やなぎや
(埼玉県 秩父市)

店名 純手打そば やなぎや(やなぎや)
住所等 埼玉県秩父市相生町3-19 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2005年12月下旬 大もり(くるみ汁) 850円
            たぬき 750円




〜純手打ちそば やなぎや〜



2005年12月下旬 大もり(くるみ汁) 850円 + たぬき 750円

今回は、都心からも近く、「美味しい蕎麦の里」として有名な埼玉県の「秩父」を訪問してみました。
現在、秩父地域は、約七十軒以上ものそば屋さんがあり、秩父や長瀞を訪れる観光客にも「秩父そば」ブランドとして高い人気があるとのことです。

実際、秩父農林振興センターのHPによれば、秩父は「蕎麦の里」として町興しをしているようで、特に秩父市を横断する国道140号線を「そば街道」にしようと、そば屋さんの組織や地元の商工会などが中心となって動いているようです。
秩父地域で生産される蕎麦の品種は、昔から栽培されている秩父在来種で、蕎麦本来の上品な香りが強く、食味が優れているそうです。

こちらの「やなぎや」さんは、数ある秩父の蕎麦屋さんの中でも、老舗中の老舗だそうで、特に秩父のお蕎麦屋さんに広く普及している「胡桃汁」(くるみ汁)の発祥のお店と言われているようです。
「蕎麦の里」としてPRをしている秩父は、現在では観光客向けのおそば屋さんも多いそうですが、こちらのお店は、今でもしっかりと「地元志向」で営まれているようです。


 お店は国道299号沿い

お店に到着しました。店頭の緩くカーブした道路は、国道299号です。
お店の右脇を入ると駐車場があります。
電車だと、秩父鉄道の「秩父駅」から徒歩10分ほどでしょう。


 老舗の店構え

看板は「柳屋」ではなく、「やなぎや」です。
いかにも、「地元のおそば屋さん」と言う感じの、さりげない店構えですね。
「秩父そばの会」のノボリ旗が立っています。


 店内も老舗らしさ満点

店内インテリアは「民芸調」でまとめられています。
写真ではやや判りづらいですが、左奥にちょっとした小上がりスペースがあります。


 メニュー表

メニューです。「大盛り」系のメニューが筆頭に来ています。
お店自慢の「くるみ汁」は100円増しで頼めます。
せっかくなので、「大もり」を「くるみ汁」でオーダーしました。


 メニュー裏

メニューの裏側です。こちらは「温かいそば」類です。
「うどん」類は置いていない、「そば専門」店になるようです。

私は普段は、手打ち蕎麦屋さんでは「もり」「せいろ」オンリーで、温かい蕎麦は滅多に食べないのですが、
こちらのお店は「温かいそば」の種類が割と充実していたので、興味が湧いてきました。

「大もり」を食べ終わった後、せっかくなので「たぬき」を追加で注文してみました。



 「大もり」(くるみ汁) 850円

さて、いよいよ「大もり」(クルミ汁)の登場です。

うーん・・・・まさに山間部や温泉地などでよく出会う、いかにも「カントリー調」の「地場っぽい」お蕎麦です。
まさに、これぞ懐かしの「田舎そば」・・・と言う佇まいですね。
麺は細切りタイプですが、いかにも「手切り」と言う感じで細さに微妙なムラがあり、長くて真っ直ぐストレートな姿ではなく、やや短めでワシワシと縮れた感じがあります。

蕎麦猪口(そばちょこ)のデザインも、実にローカル色豊かで、ご当地っぽさを盛り上げてくれます。
薬味に、さりげなく柚子が添えられているのが風流で良いですね。



 もり蕎麦のアップ

良く見ると、細切りの蕎麦はやや「平打ち」気味です。
色合いからも、「挽きぐるみ」したお蕎麦のようで、黒っぽい蕎麦殻を多少混入させたタイプです。

「挽きぐるみ」は、蕎麦の実の殻の下にある薄皮(甘皮)ごと製粉するため、蕎麦粉は茶色がかなり濃くなりますが、蕎麦の香りと甘味が増します。
食感的にも、洗練された上品な蕎麦ではなく、野趣にあふれて懐かしい素朴な感じになります。



 蕎麦は細切りタイプ

さて、まずは、汁に浸けずにそのまま一口食べてみますと・・・・「スルスル・・・」とか、「シュルシュル・・・」ではなく、「ワサワサ・・・」と唇に触れて来る感触が楽しいです。
口当たりは少し粗いですが、蕎麦の風味が強く、歯応えはパンチがあります。
そして・・・・何と言うか蕎麦の「穀物の味」とともに、うっすらと「木の実」のような風味を感じるのは、蕎麦の「殻」が混じるせいでしょうか。

水切りが非常にしっかりされていて、ウェット感がなく、どちらかと言えば歯触りはカッチリとした硬さを感じますが、細切りなのでトータルでは丁度良い感じです。



 くるみ汁

こちらのお店が「元祖」と言う、秩父名物の「くるみ汁」です。
使われるクルミのほとんどは地元の秩父産の「和グルミ」だそうです。
少し飲んでみると、「くるみ汁」は、普通のツユに、すり下ろして裏漉ししたクルミを混ぜたような感じです。

もっと、そうめんに使う「ゴマダレ汁」のようなザラザラしていて、種実を煎った香りが芳ばしい汁、
もしくは、もっと甘くて粘度のある「ピーナッツバター」を混ぜたような濃厚な汁を想像していたのですが、
意外にクルミ自体は薄味と言うか・・・・舌触りがサラッとしていて、さほど甘味も感じられず、クドくない「さっぱり」とした味わいです。



 くるみ汁に浸けた蕎麦

いざ、蕎麦を浸けて食べてみますと・・・・荒削りの蕎麦の魅力、その野趣あふれる食味が、「山クルミ」の風味で一層増幅されます。
うーん・・・・これぞ、まさしく「郷土の味わい」、「秩父の味覚」なのでしょう。
自然の味の素朴さを生かした、どこまでもナチュラル&シンプルな、穏やかな香りと優しい味わいです。

決して、「ガツンッ」と来るインパクト路線ではなく、「蕎麦」も「クルミ」も、大自然に囲まれた「自然の味」「山の味」である事を再認識させられる感じです。
クドい旨味や脂っこさがゴテゴテとして、アレコレいじりまくったような・・・・ジャンクっぽい蕎麦とは対極に位置する味ですね。

塩分の強さもなく、添加物感もなく、本当に「毎日」でも食べたくなる、しみじみとした美味しさです。
「蕎麦」も「胡桃」も長寿食の代表選手ですので、体にも大いに良いことでしょう。



 「たぬき」 750円

続いて、「温かい蕎麦」から一品、「たぬきそば」を食べてみました。
普段は「手打ち蕎麦」店では、滅多にツユ物は食べないのですが、12月下旬と言う寒さの厳しい時期ですので、体を温める意味もありました。

器はやや小振りで、まさに「昔のスタンダード」と言う感じのサイズです。
飾らない真っ白の器が、いかにも地元志向のお店らしいですね。

もり蕎麦での「ワサワサ・・・」と唇に触れて来た麺の感触が、熱いツユに浸ったせいか、大人しめになりますが、
それでも、いかにも包丁切りされた、微妙に不揃いな食感と自然に出来た縮れやねじれの食感が舌をくすぐり、何とも楽しいです。
機械による大量生産ではない、人の手による「手作りの味」ならではの、ゆっくりと心が温まる美味しさです。

ツユの色は濃い目ですが、強い塩分感はなく、じっくりと伝わって来る「かえし」と「出汁」の旨味・・・・。
これまた「じんわり」、「しみじみ」とした美味しさです。
ザク切りされたネギが柔らかく、特に内側が「トロトロ〜」ととろけていて美味しかったです。



食べ終えての感想としては・・・・・
山間に位置する秩父の土地ならではの「ご当地」の味、ほのぼのする「カントリーっぽさ」、ゆったりとした「ローカルな味」を、しっかりと堪能させて頂けた気分です。
観光地化してしまうと、どうしても観光客相手のお店が増えてしまいますが、こちらのお店には、その土地の人達が普段食べている蕎麦を食べられる楽しみ、虚飾のない「地場の味」に巡り逢えたようなしっかりとした満足感があります。

ちなみに、蕎麦は山の痩せた傾斜地や小石がゴロゴロしたような荒地でもよく育つ作物であり、寒冷な気候でもよく耐えるため、今ほどに食料事情が豊かでなかった時代は、「米」の代用食として育てられていた時期もあったようです。
その蕎麦も、今では消費量の8割を外国からの輸入に頼っているそうです。そして輸入のほとんどは中国からで、他にカナダ産、アメリカ産なども混じるようです。

そんな中でも、こちらのお店は国産の蕎麦粉にこだわり、地元の名産品である「胡桃」を上手に取り入れたメニューで、しっかりと地元の支持を勝ち取っていることが分かります。
今回、訪問させて頂いた「秩父」のお蕎麦屋さん数軒の中では、こちらのお蕎麦は、最も「秩父ご当地」らしさ、昔ながらの「老舗の味」を伝えるお蕎麦・・・・と言う感想を持ちました。



(すべて完食。ツユは7割飲んだ)










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