01ch グルメ食べ歩き
やまだ
(群馬県 館林市)

店名 川魚 やまだ(やまだ)
住所等 群馬県館林市緑町1-12-16 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2006年7月上旬 天然うなぎ 特上吸物付 2500円




〜川魚やまだ〜



2006年7月上旬 天然うなぎ 特上吸物付 2500円

今回は、群馬県の「うなぎ屋さん」の中でも「美味しい天然うなぎ」が食べられるお店として巷で評判の「やまだ」(館林市・館林駅)さんを訪問してみました。

創業40年超、「うなぎ百撰」と言う鰻料理の専門誌にも名を連ねている有名店です。
数多くの著名人もこちらの天然鰻に舌鼓を打ったそうで、マスコミへの露出も少なくないようです。

今時、希少な「天然うなぎ」を使った鰻重が、なんと2500円と言うリーズナブルなお値段で食べられると知り、居ても立ってもいられず、訪問することにしました。




お店は立地的には駅から離れた住宅街の中にある感じです。駐車場は店の近くに十数台分あるようです。
電車ですと、東武伊勢崎線の「館林駅」から徒歩17分程でしょうか。

この日は、三日前にお店へ電話を入れて「天然鰻」の予約をしてから訪問しました。
遠路遥々訪問して、万一「品切れ」では泣くに泣けませんし、また、天然鰻は川の泥の中に潜る習性があるため、捕獲してすぐに蒲焼にすると「ドロ臭」「カビ臭」などが非常に強く、捕獲してから2〜3日はきれいな水で泳がせて、「ドロ抜き」をしっかりやらないと、美味しく食べられないからです。
ですので、もし天然鰻を食べるなら、泥抜きの期間も考慮して、三日前までに電話で予約を入れておくと良いと思います。




店頭には「紀州備長炭」が山積みされ、入口脇には活き鰻が飼われているのであろう「生簀」(いけす)が置かれています。
左側のガラス窓のあるスペースが「焼き場」です。




備長炭は、「太」「中」「細」と、原料のウバメガシの「部位」によって、分別して桶に入れられています。
おそらく、部位によって火持ち、火力が異なるため、上手に鰻が焼けるよう三種類を使い分けているのでしょう。うーん・・・・さすがですね。

ちなみに、紀州備長炭とは「うばめがし」(姥目樫 or 馬目樫)が原料になっている白炭で、木炭世界の超高級ブランドです。
ウバメガシは、水に沈むほど木質密度が「濃い&硬い」そうで、その木を1000℃ほどの窯の超高温で焼き上げた白炭です。
表面が真っ黒でなく、白っぽく見えるため白炭と呼ばれるのですが、非常に硬く、炭同士で叩き合わせると「キンッ、キンッ」と金属のような音がします。

私も通販で和歌山県の窯元から紀州備長炭を購入した事がありますが、普通の黒炭と違って、なかなか着火しませんが、一度火が付くと、非常に安定して長時間に渡り、強力な赤外線を出し続けます。
また、その燃焼の状態は、赤く「白熱」するだけで、ユラユラとゆらめく「炎」は出しません。そのため、「炎」で直接に焼くのではなく、あくまで強力&高熱の「熱線」(赤外線)で焼くところに特徴があります。

赤外線は「波長」が長く、内部浸透力が優れているため、焼き物料理に最適な「強火の遠火」状態を現出させ、「外側」と「内部」の両方から一気に焼き上げられるのです。
また、純粋な炭素であるため、水蒸気を出さず、魚や肉や野菜類が、「カラッ」、「パリッ」と芳ばしく焼けて、水っぽくならないと言うメリットがあります。




入口脇に設置された「生簀」です。絶えず流水が供給されています。脇には鰻の目方を量るのであろう「ハカリ」が置かれています。
店のガラス窓には、テレビ局や有名人の「サイン色紙」「記念写真」が多数貼られていました。




フタの開いたバケツが置かれていたので、何気なく覗いてみると、沢山の「どじょう」が泳いでいました。おそらくは生簀で飼われている鰻のエサになるのでしょう。

いやはや、美味しい天然鰻が食べられそうな条件が見事に揃っていますね。
これだけのシチュエーションが見事に揃ってしまうと・・・・いやが上にも「鰻重」に対する期待がピークに達してしまいます。




さて、いざ入店です。
店内は小上がり席とテーブル席で、年季の感じられる民芸調の造りです。
壁には、数々のメニューに混じって、天然うなぎ「入荷」の札が貼られていました。




卓上のメニューです。
こちらの卓上の定番メニューには「天然うなぎ」の記載はないですね。やはり、シーズン物ですし、入荷が不安定だからなのでしょう。

それにしても、普通の「特上うな重」が2200円で、「天然うなぎ 特上」が2500円・・・・この「養殖」と「天然」の価格差がわずかに「300円」とは・・・・東京に居たのでは、到底考えられないですね。
うむむ・・・・市の南北を利根川と渡良瀬川と言う大きな河川に挟まれ、市中に無数の支流も存在する、この館林市界隈では、シーズン中の「天然鰻」など・・・・「日常のもの」であり、さして珍しくもないと言うことなのでしょうか?

実際、メニューには「うなぎ」、「鯉」、「なまず」など、河川流域の平野部ならではの「川の幸」が並びます。
同じ川魚でも、山間部へ行きますと、「鮎」や「山女」「岩魚」などがメインになるようです。
「海なし県」の群馬県だからこそ・・・・これらの「川魚」に対するニーズが、古来、ことさら大切にされ、「うなぎ」や「川魚料理」が他県よりも一層発達して来た一面も、確実にあるように思います。




トイレへ行く途中に、店の奥にも小上がり席スペースがある事に気付きました。
ちょっとした宴会などに持って来いの雰囲気です。





さて、私が入店してから僅か5分ほどで鰻重が登場しました・・・・・。

事前に電話で到着予定時刻を告げておいたからでしょうか・・・・・。
それにしても、過去、私が訪問した数々の鰻屋さんの中でも、破格の「最速」ぶりです。

おそらくは「白焼き」「蒸らし」などまで予め済ませて、待機してあった鰻なのでしょう。
実際、この日、他の客が店内の天然鰻入荷の札を見て、その場で店員さんへ在庫を尋ねて「天然うなぎ」を注文していたのですが、その客へも約10分ほどで鰻重が提供されていました。

ちなみに・・・・活きていた鰻を桶から出して包丁で割き、串を打つことから始めると、ウナギのサイズにもよりますが、どれほどのベテラン職人でも、料理の提供まで早くても30〜40分前後はかかります。大きな鰻になりますと「蒸らし」に時間がかかり、一時間以上かかることも珍しくありません。
ただ、こう言った事情を知らない客側が、まるでファーストフード店に入ったような感覚で、「スピード」を要望するのでしょうか・・・・極端に短い時間で鰻重を提供するシステムのお店も増えています。

万一、調理してからあまりにも時間が経ってしまったり、保存の状態が悪かったりすると、すぐに鰻の身が硬くなってしまい、限りなく「スーパーで売られている鰻」の食感に近くなってしまいますが、常に客足の安定しているお店であれば、ランチタイムや夕食時などのピーク時に向けて、「見込み」で調理を進めて置き、ある程度タイミング良く「出来立て」を出すことも可能なのでしょう。





おおお・・・・これが、「川魚やまだ」の誇る「天然うなぎ 特上」ですか。
お重のフタを取りますと、炭の香り、焦げたタレの風味が「ホワワッ・・・・」と、心地よく香ります。
鰻の身が厚く、「隆々」として肉が盛り上がっていますね。天然鰻はこういう肉の付き方をしている例が多いようです。

ちなみに漬物は、派手な色合いから見て、市販品をそのまま使っていると思われます。
実際、タクアンがやたらと甘すぎて、かなり人工的な味付けでした。
白菜は薄味の浅漬けと言う感じでしたが、温度がぬるくなってしまっていて、あまりサッパリ感はありませんでした。





肉付きの良い「鰻」も立派ですが、同時に、「ご飯」の炊き上がりも非常に見事です。

ご飯は写真で見ても、その感じが伝わるかと思いますが、飯粒が「ピンッ」と立ち揃った見事な炊き上がりです。
一粒一粒が「プチプチプチ・・・」と噛みつぶれるような・・・・硬めの歯応えが絶妙です。
しかも、均一に空気を含んだように軽く良くほぐれ、かといって、決してバラバラにならず、素晴らしい「炊きの技術」を感じます。

ご飯の量もたっぷりと盛り付けられていて、食べ応えがありますが、バランス的には、鰻の量に比較してご飯がやや多かったような気もします。
ですが、甘口の芳ばしい美味しいタレが適度に染み込んでいて、そのままご飯だけを食べても非常に美味しいかったです。

ちなみに、天然鰻のシーズンは、地方により多少の差はありますが、4〜11月頃と言われています。
なぜなら、鰻は冬の間は、川底の泥の中で「冬眠」のような状態になってしまい、エサも食べず、動かなくなるので、釣ったり、ワナで捕らえたりできなくなるからです。したがって、冬場の鰻は養殖物がそのほとんどを占め、天然鰻はほとんど出回りません。
天然の鰻は、夏に向けての4〜8月頃までは活発にエサを食べるので、捕獲もしやすいようですが、天然鰻が本当に美味しいシーズンは、脂の乗る「秋」の9〜11月頃だと言われています。





まずは、鰻を少し箸で切って、鰻だけを一片食べてみました。
備長炭の「こんがり」とした焦がし風味が鰻を包み込み、炭火の「超高熱」の名残りをしっかりと感じられる・・・・無類の「芳ばしさ」、生き生きとした「焼き加減」、まさに「備長炭」ならではの卓越した美味しさの世界です。

タレはやや甘味が目立つ感じがあり、粘度が高く、口当たりが「ネトッ」としてやや粘っこく感じられます。
口当たり軽く「サラッ・・・」としたあっさり路線ではなく、「ネットリ・・・」と重く仕上げてある「ヘヴィ路線」で、例えるなら、まるで少量の水あめを隠し味に使っているかのような・・・・甘さと粘り気のあるタレです。

さすが天然鰻だけあって、やたらと脂肪が多すぎず、油のしたたるコッテリ感は少ないのですが、タレが厚く塗られていて、しかも粘り気があるタレのため、鰻の裏表ともに「ネチッ、ネチッ」と一瞬ですが歯にくっつく感じがあります。
濃厚な「たまり醤油」をたっぷりと塗って炭火で丹念に焼き上げた「硬焼きせんべい」のような・・・・濃い味のタレが表面を均一に厚い「膜」のように覆っているイメージです。
そのため、食べていると味が舌へ蓄積して、次第に口当たりが重くなって来るイメージがあります。

また、割と小骨が目立って舌に感じられ、いかにも「魚」と言う印象で、鰻が、先ほどまで元気良く「暴れていた」と言う印象を受けます。
柔らかさ一辺倒で、身がトロトロに蕩けてしまう鰻ばかりが多い中・・・・・身肉の筋肉繊維が「ささくれ立って」感じられ、「野生の証明」とでも表現すべき、河川を泳ぐための「マッスル感」「暴れん坊感」が、身肉全体からはっきりと感じられます。





鰻の「背」を見てみますと、背中の皮が「深緑色」をした、いわゆる「アオ」と呼ばれる最高の良質鰻です。
ご飯も、アップの写真で見ると、飯粒が「ピンッ」と立ち揃った見事な炊き上がり具合が一層良く判ります。

そして、天然鰻は皮が硬いといいますが、実際、この外皮がさほどトロけず、やや「ワシワシ」感があり、皮と身肉が口中から消え去るのに若干のタイムラグがあり、一体になって同時に消えて行くと言うよりも、やや分離して、皮が少しだけ口に残る印象を受けます。
同時に「ムチョ、ムチョ・・・」と歯にくっつく感じがあるのですが、これは皮目のゼラチン質が豊富なせいだと思います。

ただ、食べ進むうちに・・・・微妙な「苦味」が見え隠れして感じられるのですが、どうやら皮目の一部が焦げて、「炭化」したことによる苦味のようです。
全体的にも、身肉に微妙な硬さが感じられ、どうやら調理過程において「蒸らし」の時間が短めで、その分「焼き」の時間が長くなっているイメージを受けます。
タレは甘いのですが、鰻自体は僅かに炭化したような苦味があり、結果としては両者が均衡して、なかなかバランスが取れているようです。

また、天然物ゆえなのか、極微細なレベルですが・・・・ナマの川魚の風味が感じられ、川魚大好きの私は全く気になりませんが、ひょっとしたら「川魚」独特の匂いが苦手な人にとっては、恐らくは千人に一人位の確率だとは思いますが、この風味を僅かに生臭いと感じる人もいるかも知れません。
ただ、山椒をかけるとすっかり消えましたし、全く判らなくなりましたので、実際には全くノープロブレムでしょう。





アップで見てみますと、身肉の厚みが良く判ります。
鰻の身は「トロトロ、サクサク」と軽い食感ではなく、「フワフワ、ホワホワ・・・・」と柔らかく蕩(とろ)ける感じでもありません。
脂肪が少なめで、身が引き締まっていて、身肉の筋肉繊維がしっかりと舌に触り、ささくれ立つような・・・・れっきとした「川魚」としての身体を感じさせる食感です。

私は、去年に「野田岩」(東京都港区)で、生まれて初めて天然鰻を食べて、その「食味」に衝撃を受けて以来、この食感こそが「天然うなぎ」の証であり、そもそも鰻の「本来の姿」だと理解するに至ったのですが・・・・
天然鰻を知らずに、甘い油が「ジュワワッ」としたたる「フワフワ」「トロトロ」な柔らか養殖鰻ばかりを食べていると・・・・この天然鰻を食べて、実に「意外な」食味だと感じる人も少なくないことでしょう。
まさに、「本末転倒」とはこのことだと思いますが・・・・・。

実際、養殖鰻は、運動させずに高カロリーのエサを大量に与え、冬も暖房ヒーターの入った人工池でヌクヌクと育てられているせいか、筋肉が発達せず、脂肪ばかりが蓄積し、蒲焼にすると身肉がトロトロにとろけて、まるで身肉の繊維感がなくなってしまい、「魚」と言うよりもまるで柔らかな「絹ごし豆腐」を食べているような感触です。
その状態を、「ふっくら柔らかくて美味しい」・・・・と言う事もできるのかも知れませんが・・・・そこでは、既に「川魚の味」は求められておらず、ともかく「ふっくら」して、甘い脂がジュワッと乗っている、ギトギトしたたっている・・・・物が、鰻の「あるべき姿」「理想の鰻」だと誤解されていると思えてなりません。

「脂の乗り」では、最初からそれを目的にほとんど運動させず、多量の高カロリーのエサを食べさせる人工飼育の方が、はるかに味も脂も「濃厚」でしょう。人間が美味しいと感じるように作られた末での味なのですから当然です。
一方で「天然うなぎ」には、野生の猪や鴨のように、人間の手によらず、厳しい自然を生き抜いている野生の「尊厳」がある味だと思います。

時折、「天然鰻」と「養殖鰻」の美味しさを比較する人が居ますが、それらは一つの延長線上で競い合うような味ではないと思います。
それらは同じ「鰻」ではあっても、まったく別のベクトルを持った味であり、お互いに永遠に交差しない、異質の存在と言う印象です。





肝吸いは、「三つ葉」「椎茸」「そうめん」入りです。
肝は苦味やエグ味はなく、まるで一度「下茹で」を済ませたかのような・・・・あっさりとした肝です。
ただ、よくよく噛んで行くと、デリケートな苦味や渋味が底の方から沸き立って来ます。汁自体はあっさりとした薄味です。


さて、食べ終わっての感想としては・・・・・
まず、鰻の身に、あまり「ふっくら」感が感じられず、トロトロに蕩けるようなタイプではありませんでしたが、これは、焼いてから時間が経っていたためと言うよりも、おそらく調理の過程で「蒸らし」の時間が短めに仕上げられていることによる印象です。

ここで、ふと思ったことは・・・・・先日食べた「鰻重」(埼玉県越谷市)と同じ路線の仕上がりだということです。北関東の蒲焼は、こういうタイプが多いのでしょうか。
蒲焼には、背開きにした鰻にこの蒸らしを入れる「関東風」と、腹開きにした鰻をそのまま焼く「関西風」があるのは周知の事実ですが、東京の多くの名店は、トロトロの純白な鰻の身が、舌先でフワリとトロける「繊細で上品」、「精緻でエレガント」な食感であり、「蒸らし」により身をふっくら柔らかく仕上げるテクニックに重点を置いています。

それらと比較すると、何と言うか、優雅で気取ったお上品な味わいではなく、どこかしら身肉が「荒っぽい」印象で、しっかりとした歯応えやコクの濃厚さからは、「バンカラな味」とも感じられます。

天然鰻は、去年の「野田岩」に次いで、二回目になる訳ですが、今回も「天然物うなぎ」ならではの食味を大いに堪能させて頂けたと同時に、その調理法や味付けについては、まさに「所変われば品変わる」と言う印象を受けました。
天然物ゆえ「個体差」によっての食味のバラ付も多分にあるとは思いますが・・・・「野田岩」で去年食べた天然鰻を、磨きぬかれた筋肉美とエリートの血統による「サラブレッド」(駿馬)のイメージとすれば・・・・こちらのお店で今回食べた天然鰻は・・・・荒々しく、猛々しく、雄々しい「マスタング」(野生馬)のイメージ・・・・ですね。

味付け自体も濃いめで、良い意味で「朴訥」(ぼくとつ)という感じなので、何と言うか、このあまり洗練され過ぎていないカントリー調の造りが、地方の河川で採れた鰻と言う「天然物」感覚を一層加速させ・・・・絶妙な「野趣」のある味わいを演出している印象もあり、東京ではあまりお目にかかれないタイプの美味しさだと思います。



(すべて完食)



iconicon <超お薦め>「天然うなぎ」通販 icon

“天然うなぎ”の美味しさを知るには、超お薦め!
「日本最後の清流」と言われる四国「四万十川」
で獲れた非常に貴重な天然鰻の蒲焼きです。

熟練職人が、特製のタレと備長炭でじっくり焼き
上げた「純天然」の絶品うなぎの味をぜひお試し
下さい。

(全日空商事提供)








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