01ch グルメ食べ歩き
鰻重
(埼玉県 越谷市)

店名 うなぎ 鰻重(うなしげ)
住所等 埼玉県越谷市川柳町3-73-8 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2006年6月中旬 うな重 1785円  + うなぎ白焼 1785円




〜鰻重〜



2006年6月中旬 うな重 1785円  + うなぎ白焼 1785円

今回は、埼玉県の「うなぎ屋さん」の中でも「トップクラスの美味しさ」と巷で評判の「鰻重」(越谷市・蒲生駅)さんを訪問してみました。
店名は「鰻重」と書いて、「うなしげ」と読みます。

実際、インターネットの鰻グルメ専門の有名サイトでも、こちらのお店は「絶品の鰻重」「あの値段では安すぎ」などの声が寄せられており、埼玉県内でも第一級の評価を受けているようです。
お店のある「川柳町」と言う住所も・・・・鰻大好き人間のハートをくすぐるものがあります。




埼玉県越谷市川柳町、あちこちに用水路が流れ、ところどころに田畑の残る一本道を進んでいくと、お店が見えて来ました。
右側の四本目の電柱に「鰻重」の白い看板が見えます。
東武伊勢崎線の「蒲生駅」から、徒歩ですと約20分ちょっとはかかります。




瓦屋根の一軒家風の店構えです。
「鰻重(うなしげ)」と言う店名は、料理の「鰻重(うなじゅう)」とちょっとダブリ易いですね。
お店の右脇の道路を入ると駐車場があります。




この日は、夕方の開店時間と同時に4時30分に入店しました。
店内は「箱型」に仕切られ、分厚い天然木のテーブルが設置された座卓形式です。仕切り板が厚いのは良いですね。




店舗の半分ほどは、宴会などに使えそうな立派な座敷スペースになっています。
右手に入って来た扉が見えます。




卓上のメニューです。
「うなぎ」意外にも、「なまずたたき」「どぜう唐揚」「いなご佃煮」など、いかにも河川や田んぼに由来するメニューが並びます。

「うなぎ白焼」と「うな重」を注文しました。
ちなみに、こちらのお店では、客の注文が入ってから、一尾ずつ活きている鰻を割いて仕事にかかるそうです。




壁に貼られていた「お土産用」メニューです。
「うなぎ佃煮」はあまり馴染みがないかも知れませんが、以前に中央区の佃島の佃煮屋さんで買って食べた事があります。

蒲焼にするには小さすぎる鰻などを使って佃煮を作るようですが、非常に美味しくて、ご飯の友にピッタリです。
そのお店では、確か1500円で100gほどの量でした。




「巾着」(きんちゃく)型の湯飲みと、民芸調のメニュー表。
店内には漫画の単行本なども結構置かれていて、鰻が出来上がるまでの間、退屈せずに待つ事ができます。




卓上の調味料類です。
「GABAN」の山椒とは、通好みですね。




さて、注文をしてから、丁度30分ほどで「白焼き」が登場しました。
箸と比較して頂くと判るかと思いますが、なかなかのビッグサイズです。見た感じ、身肉の筋肉もしっかりと盛り上がっていて、これは期待できそうです。

ちなみに・・・・活きていた鰻を桶から出して包丁で割き、串を打つことから始めると、ウナギのサイズにもよりますが、どれほどのベテラン職人でも、料理の提供まで早くても30〜40分前後はかかります。
ですので、もし10〜15分など、極端に短い時間で鰻重が登場するようであれば、おそらくは調理の途中まで済ませてあったウナギであったり、
あるいは、すっかり焼き上がっていた鰻を、単に「温め直しただけ」と言う可能性があります。

作り置きした鰻をすべて否定する訳ではありませんし、常に行列が出来るようなお店であれば「見込み」で次々に調理し、タイミング良く「出来立て」を出すことも可能でしょう。
ですが、もし調理してからあまりにも時間が経ってしまったり、保存の状態が悪かったりすると、すぐに鰻の身が硬くなってしまい、限りなく「スーパーで売られている鰻」の食感に近くなってしまいます。

時間が経つほど、身肉も「コチコチ」に硬直し、縮んでしまい、まったく「ふっくら」感がなくなってしまいます。
一度そうなってしまうと、もう、どのように上手に温めなおしても、デリケートな鰻の白身の食感が「焼き立て」の状態に戻る事はありません。
特に「鰻の黒皮」がまるでビニールのようにビヨンビヨンに硬くなってしまい、決して口の中でトロけません。
本来であれば、鰻は何よりはこの活性化した皮ぎしの脂こそが抜群に美味しいのですが・・・・。

それゆえ、だからこそ、「こだわるお店」は、活きたウナギをわざわざ客の注文があってから割き、一連の淀みのないスピーディな調理の後、まさしく「割き立て」「焼き立て」を提供してくれる訳です。

今や、スーパーへ行って、800円前後も出せば、なかなかのサイズの「国産の鰻」をタレ付きで手軽に買えてしまう時代です。
それを、わざわざ鰻の専門店へ出かけて行って、何倍もの値段を出してまで食べると言う事は、つまり、それなりの「意義」(=割き立て)を客は求めているのではないでしょうか・・・・。
ですので・・・・せめて、鰻の専門店を名乗るのであれば、ぜひこちらのお店のように「活き鰻」を割いて出して欲しいと思います。





さて、まずは何も付けずに、鰻の白焼きを一口食べてみました。
白焼きは、「フゥワリ・・・」とした軽い食感を想像していたのですが、「フワフワ」とかの淡白な食感ではなく、「トロトロ」と蕩ける食味でもなく、
「モチャモチャ」と、やや舌に粘り付くような・・・・意外にヘヴィな食感があります。

この「モチャモチャ、モチャモチャ・・・・」と、ややネバり付く食感は、鰻の皮目のゼラチン質が豊富なのと、身に油がたっぷりと乗っているからでしょう。
実際、白身の魚とは思えないほどに旨味に「コク」があり、ゼラチンの粘性があり、コッテリとした濃厚な味わいに満ちています。

「白焼き」ですと、蒲焼と違って焼きが浅い分、ゼラチン質(コラーゲン)や油が豊かに身肉に残るのに加え、タレが塗られていないため、鰻の旨味やゼラチンや油分がダイレクトに舌に触って、ピュアにこれらの魅力を堪能できますね。
ただ一方で、この独特なネバリ気が、やや食感の重さやクドさにも感じられなくはありません。

そこで、添えられている「山葵」(わさび)を使い、食べてみますと、「スパーンッ・・・」と、鼻に抜けてゆくワサビの鮮烈な揮発系の辛味で、この油がまとわり付く感触が一気に解消され、鰻の美味しさだけが、見事に抽出されて「舌に届く」イメージになりました。
余計な脇役が姿を消し去り、鰻の「白焼き」の魅力、その真価が、いよいよ「ステージ」の中央へ登場する感じです。

さらに醤油をちょっとだけ垂らして、「ワサビ醤油」風に食べても美味しいですが、醤油風味が加わってしまうと、イメージが「蒲焼」に近くなり、「白焼」の意味が薄れてしまう気がします。
卓上には「塩」が置かれていませんでしたが、これなら是非「わさび+塩」で食べてみたいですね。





「うな重」は、白焼きの3分後に登場しました。
できれば白焼きを食べる時間を考慮して、10分以上は間隔を置いて欲しい気もします。

さらに・・・・デザートの「グレープフルーツ」まで一緒に登場しました。
触ってみるとヒンヤリと冷やされていて美味しそうなのですが、鰻を食べ終わる頃にはぬるくなってしまわないか少々心配です。

漬物は冷やされておらず、室温でしたが、カブがシャクシャク小気味良い歯触りで、口中の鰻の油を洗い流してくれて美味しいです。
キュウリは、皮が厚く、パリパリとして「瓜」のような味わいで、いかにも露地栽培の良質物を自家製の漬物にしたと言う感じです。





さて・・・・いよいよ重箱を開けてみて、その鰻のボリュームに圧倒されてしまいました。
「白焼き」よりも、さらに一回り大きな鰻が、横たわっています。しかも、いかにも身肉が厚くガッチリとしています。

そして、備長炭の香りとタレの焦げ風味が混じって織り成す、非常に香ばしく良い匂いが周囲一帯にあふれ返ります。
まさに、この重箱のフタを開ける一瞬こそ、鰻大好き人間の「至福」の瞬間でしょう。

まずは、鰻だけを一口食べてみました。


うーむむ・・・・・何とも「肉厚」で「ジューシー」な美味しい鰻です。川魚に特有の生臭みやドロ臭さなども絶無です。
タレは甘すぎず、辛すぎず、香ばしくて美味しいですが、醤油がきっちりと効かされた濃い目の味わいで、油も乗り過ぎと言う位にかなりタップリと乗っています。

鰻の身肉自体も、ふっくらしながら、しっかりと厚みがあり、柔らかすぎない歯応えで、鰻のれっきとした筋肉繊維を舌に感じる絶妙な「マッスル感」があります。
むやみにトロトロに柔らかいのではなく、食べていて、「川魚」を食べている実感が湧いて来る食味です。きちんと「焼き魚」を食べているイメージなのです。

タレはタップリと塗られていますが、甘味がないので、後味にクドさはありません。





食べていて感じることは・・・・・全体的に「豪快」と言うか、「大味」と言うか・・・・造り込みの緻密さや、上品さ、仔細さを目指したような印象はさほど受けないですね。
肉厚の鰻をドーンと焼いてドーンと乗っけた・・・・と言う、気取りのない「ありのままのスタイル」「素朴なカントリーっぽさ」を生かした鰻重・・・・と言うイメージを受けます。
気取って粛々と食べる感じではなく、一気に「かっこむ」、豪快に「かっくらう」のが良く似合いそうで・・・・実に衒いのない「大衆的な美味」「下町の美味」の路線のイメージです。

特に「皮」の存在感があり、よく油が乗り、鰻の精分がタップリ残っている印象で、その分、味が多少しつこく濃厚に感じられます。
何と言うか、舌先で、優雅に「フワリ」とする気取ったお上品な味わいではなく、おそらく調理の過程で「蒸し」の時間が少ないのか、どこかしら身肉が「荒っぽい」印象で、脂肪もかなり残っています。
そのせいか、しっかりとした歯応えやコクの濃厚さからは・・・・いわゆる関西風の蒲焼も連想させられます。





鰻を箸で切って、断面を見てみました。鰻の「肉厚ぶり」が判るかと思います。

皮の表面はトロリとしていますが、厚いせいか濃密なゼラチン質で「モッチャ・・・」とする歯応えもあり、鰻の身全体としては、フワフワとかトロトロとか、蕩ける感じではありません。
食味にしっかりと野性味があり、きちんと歯応えがあり・・・・成人した鰻と言うか、まるで「川の主(ぬし)」のような存在感がある鰻と言う印象です。

ご飯は、粒がピンッと立ったやや硬めの炊き上がりで、炊き方も良く美味しい米なのですが、
ただ、たまたまかも知れませんが、ご飯にかけられている「タレ」の量がやや多すぎて、終盤は重箱の底にタレが残っていたりして、最後の方は多少しょっぱく感じられました。

また、ご飯がタレでツルッと濡れているため、まるで「洗い飯」のように粘性がなくなっていて、ご飯がパラパラと分解してくずれてしまい、やや箸で掴みづらく思いました。
もう少し、ご飯同士がくっついていた方が、行儀良く鰻と一緒に頬張る事が出来ますし、食べ易いですね。

ご飯にこれだけタレがかかってしまうと、無垢な味わいの白飯による「息抜き感」がないため全体の味がちょっと濃く感じられますが、
「肝吸い」も「お新香」も美味しいので、適度にこれらを箸休めとして織り交ぜることで、次々と箸が進み、美味しく食べられるようになっています。





白焼きの皮目側です。やや緑色がかった背中をした実に良い色合いの鰻ですね。
いわゆる「アオ」と呼ばれる最高の鰻です。
かなりお皿に油が残っている様子からも、鰻の油のノリ具合が判るかと思います。

ただ、次第に鰻が冷めて来てしまいますと、やや「ベシャッ」としたウェットな食感に感じられて来ます。
当然ですが、熱々のうちに食べる事が大切です。





肝吸いは三つ葉と肝のみと言うオーソドックスなタイプですが、味はかなり美味しいです。
特に主人公の「肝」は、クニクニとした独特の歯応えですが、噛み砕くと、ほど良い苦味が口中に一斉に「パアァ〜〜・・・」と広がって、実に鮮烈な美味しさです。

旬のサンマの肝臓を連想させる、本当にピュアな魚の内臓の味です。これは相当に新鮮な肝ですね。
全く生臭さなどはなく、やはり30分前までは「活きていた」鰻ならではのフレッシュで嫌味のない苦味の美味しさです。
また、汁自体もダシが効いていてすごく美味しいです。

デザートの「グレープフルーツ」は、鰻重を食べ終わった状態でも、ぬるくはならず、十分にヒンヤリとしていて安心しました。
食べてみますと、香りも良く、「ジュワワッ」と果汁がほとばしり、瑞々しく、とってもジューシーでこれまた非常に美味しかったです。

「グレープフルーツ」特有の鮮烈な苦味と共に、柑橘系の強い酸味で、口中に一気に唾液を分泌させ、鰻の油やタレの味をきれいに舌の上から洗い流し、サッパリと気持ち良くリフレッシュさせてくれます。
さらに、一通り「苦味」と「酸味」が通り過ぎますと、後には柑橘の爽やかな香りとフルーツのナチュラルな甘味が舌に残り・・・・まさしく「至福」の時間が流れます。

鰻重の後に「グレープフルーツ」を食べるのは初めてですが、これほど「冷たいグレープフルーツ」がベストマッチするとは思いませんでした。



さて、食べ終えての感想ですが・・・・・
まずは、いくら駅から多少遠い場所にあるとは言え、その良心的な価格設定と鰻のボリューム感に驚かされました。

特に、鰻重は1785円と言う値段から考えると、破格の内容だと思います。
さらに、「肝吸い」、「香の物」、「フルーツ」まで・・・・単に「出せばいい」と言う安易な発想ではなく、いずれも良質で、相性が良いものをしっかりと取り揃えているのも素晴らしい事です。

さらに、客の注文を受けてから活きたウナギを一尾ずつ割いて、火起こしの面倒な備長炭で調理する姿勢にも感激してしまいました。
今では、都内の名立たる「老舗店」や「有名店」でさえ、客の回転率重視で、このような手間暇をかける店は、極端に少なくなっています。

そうして供される「鰻重の味」は、都心の名店と並ぶだけの実力店だと思いますが、例えますと都内の「野田岩」(港区)や「石ばし」(文京区)などのような、「繊細で上品」、「精緻でエレガント」な・・・・究極の「鰻アート」を追求するタイプの鰻重とは、目指している方向性はだいぶ異なる印象を受けます。

つまり、こちらの鰻重は、良い意味で、どこかしら「豪放さ」が残る印象で、ワイルド・テイスト、そんな「ガツンッ」としたパンチのある鰻を、まったくケチケチせず、まるで焼き魚をお弁当箱へ「ドカッ」と入れたかのような雰囲気・・・・言うなれば「鰻のドカベン」、そんな気取りのない「ノリ」を感じます。
タレは醤油がきっちりと効いた濃い目の味わいで、油も乗り過ぎと言う位にタップリと乗り、肉厚で油のしたたるガッチリとした鰻であり、実に「バンカラな味」「気骨のある食感」と言う路線に思います。

高価なイメージのある「鰻」だからと・・・・決して、上品になりすぎず、洗練されすぎず、 その落とし所が素晴らしいと言うか、地域社会に根ざして、何とも「庶民のごちそうの味」「大衆の幸せの味」を絶妙に探り当てている印象です。
つまり、当然な事なのかも知れませんが、こちらの地域や客層にしっかりと的を絞り、「ルーツ」「根」を張ったイメージの味として完成されています。
良心的な価格設定に加え、あまり気取らず、ローカル色が豊かで、まさにお店の雰囲気や周囲のロケーションとも見事に「一致する味」だと思います。

ちなみに、こちらのお店へ寄った後に、立ち寄った近所の「元荒川」などは、いかにも「関東平野」を流れる感じで水量がたっぷりとあり、流れがゆっくりと淀んでいて、岸辺には水草が生い茂り、いかにも「天然鰻」が住んでいそうな趣きでした。
「鯰」(なまず)や「どぜう」(どじょう)が同じメニューに並んでいる事を考えると、古くから豊かな「川の幸」に恵まれていた土地柄のように感じられます。
また、「海なし県」だからこそ・・・・「川魚」に対するニーズが、古来、ことさら大切にされ、「鰻料理」が他県よりも一層発達して来た一面も、確実にあるように思います。



(すべて完食)



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熟練職人が、特製のタレと備長炭でじっくり焼き
上げた「純天然」の絶品うなぎの味をぜひお試し
下さい。

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