01ch グルメ食べ歩き
和味
(埼玉県 秩父市)

店名 そば処 和味(なごみ)
住所等 埼玉県秩父市荒川日野1466-1 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2005年12月下旬 せいろそぱ 730円  + 蕎麦の実愛す 300円




〜手打そば 和味〜



2005年12月下旬 せいろそば 730円  + 蕎麦の実愛す 300円

今回は、都心からも近く、「美味しい蕎麦の里」として有名な埼玉県の「秩父」を訪問してみました。
現在、秩父地域は、約七十軒以上ものそば屋さんがあり、秩父や長瀞を訪れる観光客にも「秩父そば」ブランドとして高い人気があるとのことです。

実際、秩父農林振興センターのHPによれば、秩父は「蕎麦の里」として町興しをしているようで、特に秩父市を横断する国道140号線を「そば街道」にしようと、そば屋さんの組織や地元の商工会などが中心となって動いているようです。
秩父地域で生産される蕎麦の品種は、昔から栽培されている秩父在来種で、蕎麦本来の上品な香りが強く、食味が優れているそうです。

特にこちらの奥秩父「荒川地区」(旧:荒川村)は、地域全体で蕎麦栽培に力を入れていると言うことで、60軒を超える蕎麦生産農家と約30軒程のお蕎麦屋さんがひしめくと言う・・・・さながら荒川地区全体が関東屈指の「そば処」として味を競い合っているそうです。

その中でも、こちらの「和味」さんは、街道から1Kmほど山の中へ入った場所にお店を構え、店主さんご自身で近隣に蕎麦畑を持ち、納得の行く蕎麦を自家栽培し、100%秩父荒川産の蕎麦を打っていらっしゃるとのことです。
さらに、当日の朝に「石臼」で丁寧に自家製粉を行い、挽いた蕎麦をその日の内に打ち立て&茹で立てで提供してくれるそうです。


 国道140号

写真の道路は「秩父そば街道」と呼ばれる国道140号です。
秩父駅から7〜8Kmほど「西」になる場所で、あと300m程行くと秩父鉄道の「武州日野駅」があります。
お店へは、この「荒川中学校入口」の信号を左折して山道へ入ります。


 「和味」への入口

左折して進む道です。秩父鉄道の踏切が見えます。
お店はここから約1Kmほど先の場所ですが、途中で道がくねくね曲がったり、細くなったりします。
所々にお店の小さな案内板が立てられているので、見落とさないように進むと良いと思います。


 駐車場からの風景

お店に到着しました。画面の右手側から到着する形になります。
道路の向かい側に広大な駐車場が広がっています。


 ミニ庭園風のエントランス

お正月が近いので、立派な門松が飾ってありました。
「奥秩父荒川産そば」と書かれたノボリ旗が立っています。

ちなみにこちらのお店、提供される蕎麦は、何と一日限定「49食」のみだそうです。
これは自家栽培の秩父産の蕎麦粉のみで打つため、量的に一日当たり50食が限界だからだそうです。

そして、間違いのないものを出すためにも、一食分を店主氏が毎日味見をしているそうで、その一食分が引かれて、49食のみの提供となるのだそうです。
うむむ、何とも・・・・蕎麦大好き人間の好奇心を「これでもか」と「そそる」要素が完璧なまでに揃っています。


 入口のコメント

入口脇に置いてあったコメント書きです。
蕎麦の魅力は「味」だけでなく、その半分は「香り」にこそありますので、こう言う配慮は嬉しいですね。


 テーブル席

入店するとテーブル席スペースがあります。
四人掛けテーブルが三卓並んでいました。窓が大きくて陽光が明るいです。


 座敷席

奥には座敷スペースが広がります。
こちらも窓が大きめで明るいです。

ちなみに、後で知ったのですが、店主さんが出来た蕎麦のうち一食分を味見した際に、その日の出来具合を「自己採点」して、店内に点数を貼り出しているそうです。
貼り出した紙には気付かなかったのですが、果たしてこの日の点数は何点だったのでしょうか・・・。


 メニュー

卓上に置かれたメニューです。
「セット物」が筆頭にありますが、「せいろそば」を注文しました。
加えてせっかくなので、珍しい蕎麦の実を使った「蕎麦の実愛す」と言う手造りアイスクリームを注文しました。


 巨大な茹で釜

厨房に鎮座したスゴイ大きな茹で釜です。
オールステンレス製だと、もの凄く高価だと思います。
蕎麦は、たっぷりの湯で泳がすように茹でるのが美味しい茹で方のコツだそうです。


 オミヤゲコーナー

入口近くにちょっとしたオミヤゲ・コーナーがあります。
自家栽培の「そば粉」、「そばのハチミツ」、「そば焼酎」、「お茶」などが売られています。

「そば粉」の説明に「自家栽培」と書かれているように、こちらのお店は近所にご自分の「蕎麦畑」を持っているそうです。
全国に「蕎麦屋」多しと言えども、蕎麦の栽培から、石臼挽き、そして蕎麦打ちに至るまで、一貫して「自家製」と言うお店は・・・・果たして何軒あるでしょうか。

また、「そばのハチミツ」は「MADE IN 和味の畑」と書かれています。
ちなみに「蕎麦の花」は、自家受粉できないため、蜜蜂の助けが必須だそうです。
その意味も兼ねて養蜂をされているのでしょう。



 「せいろそば」 730円

さて、いよいよ「せいろそば」の登場です。
白ネギの切り方や半分だけ擂られたゴマなどからも、こだわりが感じられます。箸置きが天然の石と言うのも雰囲気があります。
箸は割り箸ではなく、塗り箸が添えられます。少しでも木をムダにしないエコロジー精神の現れなのでしょう。

余談ですが、日本人は一人当たりにすると年間約200本もの割箸を消費しているそうです。
現在、日本で使われている割箸は、ほぼ100%中国製だそうで、近年、中国の森林伐採の行き過ぎが問題になり、割り箸価格も大幅な上昇機運にあるそうです。
そのため、連日、大量の割箸を消費する「立食い蕎麦店」や「持ち帰り弁当チェーン」は、軒並み、割箸価格の高騰(コストアップ)に頭を痛めているとかいないとか・・・。



 蕎麦のアップ

アップで見てみると、独特な蕎麦の打ち方である事が良く判ります。
長くて真っ直ぐスマートな蕎麦とは、明らかに異なる、いかにも「手打ち感」満点のスタイルです。

お店のHPによれば、蕎麦の香りと食感を楽しめるよう蕎麦の実を「荒挽き」にしているそうです。



 さらにアップ

うむむ・・・・こう言う「カラフル」な蕎麦は初めて見ました。
なるほど・・・・「荒挽き」された、胚乳中心部の白、甘皮の茶、殻の黒などが点在して、まるで幾何学模様の「アート」をしているようです。

見た目はワシワシと縮れ、ゴツゴツした感じですが、実際にはそんな事はありません。
何とも・・・・自家製「石臼碾き」ならではの、独創的なお蕎麦だと思います。



 半透明な美しい蕎麦

箸で持ち上げてみると・・・・窓からの光が、まさに「透き通る」ような・・・・透明感のある蕎麦がとても美しいですね。

一口、そのまますすってみると・・・・蕎麦が「フワフワ、パラパラ・・・」と軽く口に当たり、
蕎麦の穀物風味が香り良く、とても「たおやか」に口に入って来ます。

見た目は食感が粗そうで、ワシワシする感じに見えますが、実際は多加水で、柔らかな腰の動きを持ち、それでいて「クニッ」とする歯応えが最高のコントラストです。
表面が小気味良く「モチモチ・・・」する感じがあり、さらにすすると、「スルスル・・・」とノド越し良く、喉の奥へと吸い込まれて行きました。
素晴らしく美味しいです。しかも、今まで全く体験したことのないエポックメーキングな「新食感」の蕎麦です。

さらに続けてもう一口・・・・・今度は良く噛んで食べてみます。

噛み始めは「シコシコ・・・」とした歯応えがあり、さらに噛んで行くと「モチモチ・・・」とこなれて来て、まるで良く炊けたご飯のような粘り気が感じられます。
途中、粗挽きされた蕎麦の実がポツポツと歯や舌に当たり、楽しいアクセントになります。
しかも、別な物を練り込んだのではなくて、すべてが蕎麦なので、どこまでも「蕎麦一色」、味と香りの一体感があります。

噛めば噛むほど、蕎麦の清々しい旨味が次々に口中に湧き立って来て、いやはや・・・・「目が覚める」ような美味しさですね。

蕎麦も素晴らしく美味しいのですが、さらに言えば、使われている「水」が凄まじく美味しいと感じます。
そのお陰で、蕎麦の味わいが非常に「清冽」なんですよね。

まるで、深山幽谷の冷たい「湧き水」を飲んだかのような・・・・大いに、「胸のすく」、「心洗われる」、美味しさです。



 穏やかなツユ

ツユは、お店のHPを拝見すると、本鰹、北海道産昆布、味醂、醤油を使用し、
砂糖ならびに化学調味料は一切使用していないそうです。

蕎麦があまりにも「清冽」で美味しいので、できればそのまま蕎麦だけを食べ続けたいほどですが、
せっかくなので少し使ってみる事にしました。

「チャポッ・・・・」

「ズルズル・・・・・ハグハグ・・・・・」


うーん、これまた美味しいです。
蕎麦の一切の邪魔をしないよう躾けられたかのような、何とも柔らかな物腰のツユですね。
丁寧な仕込みの賜物か、どこにもカドがなく、口当たりがとても優しいです。

そして、「主役」はあくまで「蕎麦」なのであり・・・・自分は蕎麦を引き立てる「影」であると言う・・・・徹底して自身の分をわきまえたかのような、
決して出しゃばらない、このツユの味の「細やかな」「まろやかな」立ち居振る舞いに心打たれます。

量がさほど多くないと言うこともありますが、一口一口、本当に「噛み締める」ようにして、最後の一本までじっくりと堪能しつつお蕎麦を頂きました。
作り手の「決意」が、余すことなくストレートに伝わって来る・・・・実に凄いお蕎麦だと思います。



 「蕎麦の実愛す」 300円

こちらのお店の名物でもある、冷たい「蕎麦のアイスクリーム」です。
その名も「蕎麦の実愛す」だそうで、なかなかウィットがあります。

「そばのアイスクリーム」と言う事で、何となく抹茶アイスのような「渋い大人向けの味」を想像していたのですが、さにあらずです。
アイスクリームの中に大粒の蕎麦の実が入っていて、これが心地よい歯触りのアクセントになるとともに、まるでナッツのように香ばしく、素朴な風味でありながらもかなり美味しいです。

蕎麦を入れたアイディアだけでなく、アイスクリーム自体の美味しさも相当なものですね。
乳脂肪がとても滑らかで、口当たりに「モッタリ」した感じがなく、実にピュアできれいなクリームの美味しさです。



食べ終えての感想としては・・・・・・
メニュー表には「お酒」や「ツマミ」類が一切置かれていませんので、「玉子焼き」や「蕎麦がき」、「蕎麦味噌」などを「アテ」に、酒の杯を傾けつつ、いよいよ仕上げに蕎麦を・・・・と言うようなスタイルの、「昔ながらの蕎麦好き」の楽しみ方には向かない気がします。
一日に打つ蕎麦の量に制限があるため、「大盛り」が出来ないのも、蕎麦をたっぷり食べたいと言う方には、少々残念なところでしょう。
ツユも「江戸前の蕎麦」のような濃くて辛口のそばツユではないので、人によっては多少優しすぎる味と感じるかも知れません。
レディースセットやアイスクリームなどもあるように、どこかしら「女性」を意識しているような運営姿勢も感じられます。

ただ、こちらの蕎麦を一口食べれば判ることですが、むしろ、そういった従来の蕎麦屋のスタイルや味に、こだわらず・・・・縛られず・・・・干渉されず・・・・
ただただ、純粋に「自分だけの美味しい蕎麦」をクリエイトしたい・・・・と言う、店主さんの強い「決意」、熱い「思い入れ」がひしひしと感じられて来ます。

日々、「蕎麦道」を精進している気概がしっかりと伝わって来る高尚な味だと思います。
これぞ、まさしく「求道者」の創る蕎麦でしょう。

最後に女性スタッフを相手に会計をしていると、厨房からご主人がわざわざ出て来てくれて、「ご来店、ありがとうございました。」と、きちんと頭を下げてくれたのもとても嬉しかったです。
今回、訪問させて頂いた「秩父」のお蕎麦屋さん数軒の中では、こちらのお蕎麦は、秩父の誇る「新進気鋭店」、「創作系蕎麦」、「実力派ニューウェーブ店」・・・・と言う印象を持ちました。



(すべて完食)










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