01ch グルメ食べ歩き
一茶庵本店
(栃木県 足利市)

店名 手打そば 一茶庵 本店(いっさあん ほんてん)
住所等 栃木県足利市柳原町862-11 【地図表示】
禁煙 タバコ分煙(フロアを分離)
訪問日 2005年8月下旬 五色天もり 2050円




〜足利一茶庵 本店〜



2005年8月下旬 五色天もり 2050円

今回は、栃木県足利市にある「一茶庵本店」さんを訪問してみました。
こちらのお店は、今や全国に1000軒を超すと言われる手打ち蕎麦界の一大勢力「一茶庵」系の、まさしく「総本山」「総本家」として知られています。

一茶庵の創始者は、近代蕎麦の始祖と言われ、「神様」「蕎聖」とも謳われた片倉康雄氏(故人)です。
片倉氏は、もともとは大正15年頃に東京・新宿で蕎麦屋さんを創業し、その後、第二次世界大戦の戦火に遭い一時期は蕎麦の世界から離れていた事もあるようですが、その後、日本工業倶楽部の例会で蕎麦を打っていたところを、同倶楽部のメンバーだった当時の足利市長に「ぜひに」と請われ、昭和29年4月、この足利の地にて「一茶庵」を再開したと言うヒストリーがあるようです。

その後、「蕎麦屋」を志す全国の人間がこちらの足利へ足繁く通って「一茶庵」の蕎麦を食べて勉強した事から、
蕎麦を志す職人達の間では、「足利詣で」「足利参拝」という言葉も生まれたというほどの、日本蕎麦業界の重鎮なのです。
現在、こちらの一茶庵本店は、片倉康雄氏のご子息である片倉敏夫氏が切り盛りされています。


 一茶庵本店のファサード

お店に到着しました。
低く構えた瓦屋根が美しいなかなか荘厳な店構えですね。一茶庵「総本山」としての風格や威厳を感じさせます。
まだ、真新しさが感じられる建物ですが、どうやら近年、足利市内でお店の場所を移転して建替えたことによるようです。
店頭が駐車スペースですが、右横にも駐車場がありました。


 威厳を感じさせる入口

看板は右から左に向かって文字が書かれています。「笊蕎麦 一茶庵」と書かれているようです。
文字に使われている薄い緑色(若草色)は、新蕎麦の「甘皮の薄緑色」をイメージしたようにも思えます。
左側に見える格子戸から入店します。


 客席スペース

窓が広く、天井が高いので開放感があります。テーブルや椅子はあくまで「蕎麦屋」さんらしいものです。
禁煙マークがあるように、こちらは禁煙席スペースです。


 笹竹のある中庭

ガラス越しに笹竹の植えられた中庭が見えます。
禁煙席を希望したところこちらのスペースへ通されましたので、未確認ですが、中庭の向こうへ見える席スペースは喫煙可能な席なのかも知れません。
この後、昼の12時少し前位から、続々と客が来店して来ました。


 メニュー表紙

メニューは「総本家」としては、意外にシンプルで飾り気のないものでした。
ちなみに、一茶庵は「せいろ」や「田舎そば」はもちろん、けしの実や柚子を使った「変わり蕎麦」の評価も高いようで、一茶庵から巣立った数多くのお蕎麦屋さんも、メニューには、大抵、この「変わりそば」を置いています。
温かいメニューでは、鴨南蛮も人気メニューのようですね。


 写真のアップ

写真部分のアップ。
人気の「五色蕎麦」は、「おせいろ」「茶そば」「田舎そば」「けしきり」「さらしな」の五品です。
冬には「ゆずきり」も出来るようです。


 メニュー中ページ

うーん、一茶庵「総本家」と言うことで、それなりにお値段が張る物と思っていましたが・・・・
「せいろ」「田舎」「さらしな」などが、わずか650円とは・・・・・意外にも「安め」の、かなり良心的な価格設定です。

「五色そば」を食べる予定でしたが、思っていたよりもずっと値段が安いのと、せっかく来たので、天ぷらの付く「五色天もり」を注文することにしてみました。
普段、私は「蕎麦」には滅多にタネ物を付けないのですが、一茶庵本店と言うことで、天ぷらにも興味が湧きます。


 おみやげ品と営業時間など

「生そば」「干しそば」などがオミヤゲとして売られています。
営業時間は午後7時までのようですが、売り切れじまいなので、遠方からの訪問の場合は十分に早めに訪問した方が良いでしょう。



 「五色天もり」 2050円

さて、いよいよ「五色天もり」の登場です。
注文してから約10分ほどで、先に天ぷら類が運ばれてきました。
五色もりと言うことでなのか、「ネギ」も「ツユ」もたっぷり付いて来ます。左上の器は「天つゆ」です。



 天ぷらのアップ

天タネは丸々と太った海老二本、ししとう、小茄子です。
食べた印象としては、衣は適度な厚さゆえあまり主張しすぎず、口当たりはしっとりとした感じで、いかにも「お蕎麦屋さんの天ぷら」と言う仕上がりです。
衣には揚げ油の茶色い粒子がやや浮いて見えますが、身がプクプクしてなかなか美味しい海老でした。



 五色の器

五色蕎麦は、一種類ずつ色違いの器に入れられ、「五重の塔」のような形に積み上げられて登場します。
店員さんからもコメントを頂きましたが、ここで大事なのは、最初から器をすべて開け広げてしまわない事です。

茹で上げた蕎麦は大変にデリケートな状態で、何よりも特に「乾燥」に非常に弱いですので、フタを取ると蕎麦がみるみる乾いて行ってしまいます。
ですので、食べる蕎麦の器を一つずつ手元へ降ろし、他は積み上げたままにしておいて、最上段の器にはフタをしておき、乾燥を防ぐ事が肝要です。



 「さらしな」

さて、最初に香りや味の強いものを食べてしまうと、後で薄味の蕎麦の味が判りづらくなってしまいますので、最初に「さらしな」を食べてみました。

「さらしな」は、その純白さから別名「しらゆき」とも呼ばれているようです。
その名の示すとおり、蕎麦の実の「芯」だけを製粉した粉、つまり最も貴重な「更級粉(さらしなこ)」だけを使うわけですが、
この「更級粉」は「御膳粉」とも呼ばれ、蕎麦の実からごく少量しか得られず、製粉も大変に手間のかかるもののようです。

その成分は、蕎麦の実の芯ゆえ色は真っ白で、タンパク質や灰分が混じらず、ほとんどが混じり気のないデンプン質だそうです。
この更科粉には粘り気がほとんどないので、蕎麦を打つのは大変で、最も熟練の技術を必要とするそうです。
日本酒で言えば、酒米を磨きに磨いて、真っ白な「米の芯」の部分だけを贅沢に使って造る、高級な「大吟醸酒」のようなものでしょう。



 「ツユ」と「更科」

ツユは、黒いチョコと器に入れられるせいで、色が判りづらいですね。
鰹節などの香りが「ほんのり」、「うっすら」と感じられますが、蕎麦を浸けて食べてみると、意外にしっかりと明確にダシが効かされています。

「かえし」(醤油)の味わいも最初はさほど強くは感じなかったのですが、後半になるにつれドスンッとしっかり足が地に付いているズッシリと太さのある味です。
醸造風味のズッシリとした味わいのある、それでいて味にカドがなく、とても上品な味わいです。
後口に、「みりん」の甘味なのか、「すっきり」「ほんのり」とする甘味が感じられます。



 さらしなのアップ

うーん、箸で持ち上げてみると、さらに一層、「美しさ」が際立ちますね。陽の光が透き通るような「純白さ」が眩しいです。

まずはツユに浸けずに食べてみますと、蕎麦の「芯」のみゆえに、蕎麦本来の香りや味わいは大人しくなってはいますが、
その味わいは・・・・非常に「柔らかく」、どこまでも「軽く」、一切の「雑味」や「粘り」がなく・・・・まるで「淡雪」のような口解け感と無重力感です。
まさしく、穢れ(けがれ)なき味、無垢な味、心洗われる味・・・・と言うところでしょうか。

何と言うか、「たおやかさ」を通り越し、あまりにも「軽くて」、「淡い」、「潔い」口当たり・・・・まさに「夢見るような」味わいです。
使われている更科粉は、まさに蕎麦の「胚乳」の部分に当たるわけですので、どことなく・・・・「幼い味」とも感じられる気もします。

さて、次にツユに浸けて食べてます。
ただ、しっかり「かえし」の効いたドッシリとしたツユですので、あまりツユを多く浸けてしまうと、繊細な「更科風味」が簡単に霞んでしまいます。
ですので、お尻の方だけを「ほんのチョッピリ」だけ、ツユに浸ける位で丁度良いと思います。

ツユを浸けてみても、その味わいは「極めて軽く」、「サッパリ」、「あっさり」・・・・としていて、特に「粘り気」「甘味」が絶無なので、その儚い食味は、
どことなく、水に良くさらして辛味をすべて抜き、水分をきれいに搾り取った、肌理の細かい淡い「フワッ・・・」とした大根オロシのような・・・・食味にも近いように感じられました。

うーん・・・・蕎麦の本来の味わいと言うよりも、この「スーパーピュア」な穀物風味の「繊細さ」を楽しむための「特別なお蕎麦」と言うイメージですね。



 「おせいろ」

二番目に選んだのは、一茶庵の最も基本とするお蕎麦「せいろ」です。
いわゆる蕎麦の実の中間部分である「並粉」を使ったお蕎麦ですので、「さらしな」に比べるとクグッと色が濃くなりますね。

少しそのまま食べてみると、「しっとり」とした舌触りで、蕎麦の「シーズン・オフ」である、八月と言うこともあるかとは思いますが、
蕎麦のふくよかな香りや風味はやや控えめで、さほど湧き立つように立ち昇ると言うことはあまりなかったように思います。



 おせいろのアップ

ツユに浸けて食べてみると、味わいに輪郭とパンチが加わり、美味しいですね。
やはり、「せいろ」になると、先の「さらしな」よりもグーンと蕎麦らしい食感と風味が感じられ、ツユの味にも負けず、ツユとの相性も良いです。

「コシ」はどちらかと言えばやや柔らかめで、実に優しい口当たりです。
縦の「アシ」が豊かで、豊かなすすり心地と、滑らかなノド越しを見事に両立させています。



 田舎そば

次に選んだのは、「田舎そば」です。
やや平打ち気味で、「田舎」とは言え、表面に一切の「起伏」を持たせない、まっさらなストレートタイプですね。
「田舎そば」とは言え、表面がデコボコしていたり、蕎麦の実の殻がポツポツと入るようなタイプではないようで、この辺りが一茶庵の「田舎蕎麦」の特徴とも言えるでしょう。
使われている蕎麦粉も、先の「せいろ」と全く同じように見えますが・・・・・実際はどうなのでしょうか?



 田舎そばのアップ

見た限りでは、この「田舎」は「せいろ」をそのままやや太くしたようなイメージでしたが、
食べてみると、「せいろ」よりも歯応えが「モチモチ」していて、とても美味しいです。歯応えも「豊か」で、ノド越しにも「量感」が加わってきます。

よく田舎そばと言うと、がっつりとした「歯応え」を出したいのか、ビンビンに硬く練り込まれた強靭な歯応えの蕎麦を出すお店もありますが、
こちらの「田舎蕎麦」は、決して硬くなり過ぎておらず、素朴な風合いと、幅のあるコシ、太麺のモッチリ感の楽しめる美味しいお蕎麦です。

ただ・・・・先の「せいろ蕎麦」でのアシの伸び方、また、こちらの「田舎蕎麦」でのモッチリとする噛み心地から想像しますと、蕎麦の打ち方としては、割と「つなぎ」(小麦粉)を使っているような印象も受けます。



 「けしきり」

次は、変わり蕎麦の「けしきり」を食べてみました。
白っぽい色をしているのは変わり蕎麦の常石である「一番粉」を使っているからでしょう。一番粉とは「更科粉」より、やや混じり気の多い蕎麦粉のことです。

食べてみますと・・・・芥子(けし)の実は「煎って」あるのか、特有の芳ばしい香りがあると言うか、粉っぽさがあると言うか、いかにも、ローストした「種子」や「ナッツ」が入っていると言う感じの香りと歯触りです。
一番粉の粘りの少ない生地に、ケシのツブツブ感が心地よいアクセントとして感じられて楽しいです。
ピュアな一番粉の香りに、ローストしたナッツ類のような芳ばしさが加わって、なかなかユニークで豊かな味わいになっていて、「趣味性」の高い美味しさですね。



 「茶そば」

最後は、いよいよ「茶そば」です。
その香りの強さゆえ、食べる順番としては、一番最後にしたのですが、フタを開けた途端、清々しい「抹茶」の香りが匂い立ち、素晴らしい香りの良さです。
蕎麦の盛りが良かったので、中心部に少しだけフタで圧迫されてしまった跡が見受けられます。

見た目は、「抹茶」を混ぜたせいなのか、表面に微細な粒子感を持った個性的な仕上がりになっています。
そのせいか、食べてみますと、歯触りに「サラサラッ」「サラリ・・・」とした独特な粒状感があり、シルクのように「ふぅんわり」と舌に触る感じが絶妙です。
私的には、今回の五色の蕎麦の中では最も好きな「歯触り」でした。
さらに、純粋な抹茶の「かほり」に、やさしい「癒し」の効果があるのか、とても優雅な、極めてリラックスした気持ちにさせてくれます。

ただ、粘り気のまったく出ないサラサラとした抹茶を混ぜて打っているせいでしょうか、「つながり具合」は他の蕎麦と比べると弱いようです。すすってみましても、やや「プツッ」と短くちぎれやすいようですので、ツルツルと小気味良くすすれる感じにはなりませんでした。



 「そば湯」

最後に「蕎麦湯」を出してくれます。「そば湯」は、蕎麦独特の食後のアフターの楽しみです。

茹で湯をそのままストレートに注いでくれたようで、別途そば粉を足してトロミを付けたいわゆるポタージュタイプではないようですね。
ツユが少し残っていたチョコにそば湯を注ぎ、飲んでみますと・・・・蕎麦打ちに使われた塩分が流れ出したらしき、極僅かなしょっぱさを感じましたが、それ以上に蕎麦粉の滋味豊かな風味がしっかりと感じられます。

ちなみに、なぜ「そば湯」を出してくれるかと言うと、蕎麦の栄養素のうち、ビタミンBやルチンなどの栄養素は「水溶性」であるため、蕎麦を茹でている間に、どんどんお湯の中へ溶け出してしまいます。
そこで、茹で湯を飲むことで、せっかくのこれらの栄養素を摂取できるようにとの配慮からのようです。
また、ツユの味を熱いお湯で割ることで、ツユの出汁の香りが立ち、濃い「かえし」の味も溶き伸ばされて、汁物として「ツユ」の味わいがじっくり楽しめるようになる・・・・と言う趣旨もあると思います。




さて、食べ終えてみての感想としては・・・・・
今回頂いた「五色天もり」は、一茶庵の主力メニューを一度に味わえる魅力のメニューだと思いますし、実際、いずれのお蕎麦も「なるほど」と思わせられる出来栄えでした。
しかも、丸々と太ったエビ天が二本も乗るなどして、2050円というプライスはかなりのお値打ち感があり、満足度は高いと思います。

ただ、今回、個人的に反省すべき点が二つありました。
一つは、せっかくの総本山への初訪問が、諸般の事情があったとは言え、「8月」と言う真夏のシーズンになってしまったことです。
言うまでもなく、「蕎麦」が最も美味しくなる季節は「秋」であり、年間で言えば10月〜11月が一番「蕎麦」が美味しくなる時季と言われています。
なぜなら、当然ですが「蕎麦」は農作物だからです。もっとはっきり言えば、蕎麦の実は「野菜」と同じく、「鮮度が命」です。

実りの「秋」に蕎麦は収穫されますので、その収穫し立ての新鮮で香り高い蕎麦の実を挽いて作る「新そば」こそが、「蕎麦の真実」を語る味だと言われています。
逆に、月日が過ぎる毎に、次第に鮮度は落ちてゆき、香り、歯応え、味ともに弱くなり、美味しくなくなってしまいます。

その意味で、特に「夏の蕎麦」は美味しくないと言われています。前年の秋に収穫された蕎麦の実が、すでに10カ月近くを経過し、年間で最も鮮度が落ちている状態の蕎麦を食べる事になってしまうからです。
ただ、もちろん「保存の仕方」によっては、ある程度の鮮度を保つ事も可能でしょうし、最近は日本とは四季がちょうど逆転する南半球のオーストラリアなどで、蕎麦を栽培することで、年間を通して「新そば」や「新そばに近い蕎麦」が食べられるよう、努力していると言う話も聞いたことがありますが・・・・。
それでも、やはりせっかくの一茶庵本店への訪問であれば、ぜひとも「秋の新そば」を食べたかったですし、そうすればさらに一層、蕎麦の美味しさも際立つものとなったことでしょう。

ちなみに・・・・あまり知られていないようですが、「蕎麦」には、「夏そば」と「秋そば」があります。

品種の違いではなく、単に栽培時期の違いによるものですが、「秋そば」の方が、味、香り、色、いずれも優れている蕎麦が得られるため、一般に「新そば」と言えば「秋新」と言われる、「秋そばの新そば」を指します。
「夏そば」は栽培される量も少なく、旧盆に振舞う目的などで栽培されているようです。


また、もう一つの反省点は・・・・蕎麦は非常にデリケートな食べ物ですので、その美味しさは、「三立て」である事は広く知られています。
つまり、「挽き立て」「打ち立て」「茹で立て」でこそ、蕎麦の「真実の味」に迫ることができる訳です。

今回、いくらフタをして置いたとは言え、五色の蕎麦を一辺に食べるにはどうしても時間がかかります。
さらに追い討ちをかけるように「天ぷら」を食べる時間もかかって、蕎麦をすするインターバルを長くしてしまい、最後の蕎麦を食べる頃には、茹でてからかなりの時間が経過してしまいました。
これでは食感も明らかに衰えてしまうでしょうし、香りも飛んでしまいがちです。実際、最後の方はさすがに蕎麦が乾燥し始めて、麺がくっつき気味になってしまいました。
つまり、私のように食べるのが遅い人間にとっては、「五色もり+天ぷら」は、やや難易度が高かったのかも知れません。

次回は、ぜひとも新そばのシーズンに訪問して、「せいろ蕎麦」や「変わり蕎麦」を自分の食べるペースに合わせて、常に「茹で立て」を食べられるよう、一枚ずつタイミングをずらしてオーダーしてみたいと思います。
ちなみに、全国にその名声を轟かす「一茶庵本店」ですが、「価格」や「接客」からは地元密着な姿勢も十分に感じられ、居心地も大変に良く、肩肘張って訪れなくても良いと思えました。



 名物「パンヂュウ」の屋台

さて、せっかく足利まで来たこともあり、一茶庵からの帰りに、足利名物として知られる「パンヂュウ屋」さんを訪問してみました。
「パンヂュウ」とは、あまり馴染みのない名前ですが、東京で言う「今川焼き」や「人形焼」のような小豆の餡の入った焼き菓子のようなものです。

お店は、足利市旭町交差点にある「御獄神社」の境内の脇のスペースで開いています。
一茶庵から600mほどの場所でしょうか。日本最古の総合学校と言われて有名な「足利学校」の史跡からも400mほどと近いです。
お店はリアカーに乗った屋台のような構造ですが、一説によると、大正時代から続いている由緒あるお店だとの事です。
実際、この味のファンも多いとのことで、時間帯によっては客の行列があることも少なくなく、一人で20〜30個も買って行く人もいるらしいです。
営業時間などの詳細は判りませんが、夕方早い時間に閉店してしまうようですので、早めの訪問が良いでしょう。
場所はこの辺りです。


 芳ばしい良い匂い

お店の看板には「元祖・岡田 パンヂュウ」と書かれています。左端に「4コ 100円」の表示が見えます。
看板によれば、「パンジュウ」とか「ぱんじゅう」ではなく、「パンヂュウ」「ぱんぢゅう」なんですね。もともとは、国内の小豆生産の8〜9割を占める北海道の名物のようです。

ちなみに・・・・「ぱんぢゅう」の命名の由来は判りませんが、ひょっとしたら「パン」と「おまんじゅう」を足した造語ではないでしょうか。
私は四個しか買いませんでしたが、お店の方はとても感じが良かったです。アツアツのパンヂュウを白い紙袋に入れてくれます。



 「パンヂュウ」 4個 100円

何よりアツアツ、ホカホカの焼き立てを食べる事が、美味しく食べるコツでしょう。
焼き立ての香ばしい匂いが素晴らしく、例えれば「どら焼き」に近い香りです。小麦粉だけでなく、卵の良い風味も感じます。



 パンヂュウの中身

真ん中から二つに割ってみました。アンコは「こしあん」です。
食べてみますと、焼いた表面はパリパリとして、中身のパン生地はホカホカ、ホックリした口当たりで、美味しいですね。
「どら焼き」や「今川焼き」よりも、皮が空気を含んでふっくらとしていて、確かに「パン」のようです。

それでいて焦げ目は絶妙にザラッ・・・として、絶妙に焦げたようなデリケートな苦味を感じます。甘さ一辺倒ではない、この苦味と甘味のコントラストが良い感じです。
値段から考えたら破格の美味しさではないでしょうか。

コシアンはコクが薄目と言うか・・・舌触りがサラッとしていて、あっさりとした甘味です。クドくなく、旨味が濃すぎないので、沢山食べられそうです。
地方の温泉へ行くと、よくある温泉饅頭の餡子(あんこ)と同じようなタイプの味でしょう。
ただ、汗をかきやすい盛夏と言うこともあるのか、アンコに塩はやや強めに効かされているようでした。
サイズが小振りなので何とも可愛い感じですし、どこでも、いつでも、軽く「つまんで食べられる」サイズなのも人気の秘密だと思います。



(すべて完食。そば湯は5割飲んだ)










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