01ch グルメ食べ歩き
いもや 二丁目店
(東京都 千代田区)

店名 とんかつ いもや 2丁目店(いもや)
住所等 東京都千代田区神田神保町2-48 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2006年4月下旬 ヒレかつ定食 900円 




〜トンカツ いもや 神保町二丁目店〜



2006年4月下旬 ヒレかつ定食 900円 

今回は、都内でも屈指の「美味しいトンカツ店」との呼び声が高い、巷で評判の「いもや」2丁目店(千代田区・神保町駅or水道橋駅)さんを訪問してみました。
実際、インターネット上の「とんかつ系サイト」「グルメ系サイト」などを見る限り、こちらのお店を「絶賛」する記述が多数見受けられます。
しかも、その表現は「ヤミツキになる味」「驚異的コストパフォーマンス」などの最上クラスの賛辞が惜しげもなく贈られているお店なのです。

実は「いもや」は神田神保町をメインとして、「とんかつ」と「天ぷら」に分かれて数店舗が展開しています。
そんな中でも、特にキャベツの盛りが良いことで知られている「とんかつ二丁目店」を訪ねてみました。


 お店は白山通り沿いです

水道橋駅から徒歩6分ほど、白山通りに面してお店はあります。角地なのでとても見つけ易いですね。
古本屋街として知られる神保町界隈は、様々な商業施設やオフィスに加え、大学や専門学校も多く、実に多くのサラリーマンや学生が行きかい、人波が途切れることがありません。
そのため、一歩横道へ入ると、それらの人達がランチを食べるための小さな飲食店がひしめき合っています。


 とんかつ「いもや」 2丁目店

大きく「とんかつ」と書かれた看板と、白地の大きなノレンが目印です。
白木の引き戸を開けて、いざ入店です。


 J型のカウンター席

昼過ぎの一時半に訪問したのですが、店内は満席で、さらに壁に沿って8名ほどが待っていました。さすがの人気振りですね。
店内は特に装飾もなく、白木のカウンターがある以外は、ガランとした感じです。
あえて虚飾を排除したかのような簡素な内装とともに、4名の店員さん達は「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」などの最低限の言葉以外は、黙々と各自の仕事に没頭しています。


 メニューは二種類のみ

待ち客の列に加わると、店員さんから「とんかつですか?」とお声がかかりました。
実は「いもや」には、「とんかつ定食」と「ヒレかつ定食」の二種類しかメニューがありません。他には「おしんこ」があるだけです。
大抵の人は「とんかつ定食」、つまり「ロースカツ」を頼むようですが、私は個人的な趣向として「ヒレカツ」が好きなので、今回も「ヒレかつ定食」をオーダーしました。
なお、未確認ですが、混雑の著しい「昼12時〜1時」の間は、「とんかつ定食」一種類のみしか頼めなくなる暗黙のルールがあると言う話を聞いたことがあります。


 すんごいキャベツの量

カウンターの中央付近に「揚げ場」があります。
大きな寸胴で揚げているようです。その向こうでは、キャベツの千切りが山のようになっています。圧倒される光景ですね。

なお、着席するとすぐにお茶を目の前のカウンター上に置いてくれるのですが、この時に、すぐにお茶を取って自分の手元へ下げる事が肝要です。
なぜならその後、次々にライス、味噌汁、トンカツ皿などが置かれますので、何か置かれたらすぐに手元へ下げないと、店員さんが次のお皿を置けないからです。
忙しい時などは店員さんは、無言でササッと置いて行きますので、「自分のだ」と思ったら、ボーッとせず、すぐに手元へ移動させましょう。


 ライスと味噌汁の発進準備完了

トンカツの揚げ上がるタイミングに合わせて、一斉に「ドドドドドン・・・」と味噌汁やご飯が並びます。
ちなみにトンカツにかける調味料は、右下にちらっと見えるソース一種類だけです。



 「ヒレかつ定食」 900円

さて、いよいよ「ヒレカツ定食」のご登場です。
ヒレカツ3枚、大盛りキャベツ、ご飯、シジミの味噌汁、お茶のセットです。
漬物は、卓上にある黄色いタクアンを自由にとって良い事になっています。

小判型に揚げられたヒレ肉の厚さは 1cm 〜 1.5cm位です。
衣のパン粉は「中目」位ですが、「ガリガリ」と硬めで、鋭くて唇などにややチクチクと尖って感じられます。この歯触りからすると、揚げ油は「植物油」よりも「ラード」をメインにブレンドして使っている感じです。
また、多数の客を順調にさばくためにも短時間で揚がるように高温で揚げているようです。

いざ、食べてみますと・・・・衣はカラッとして油切れが非常に良く、どちらかと言えば「ドライ」系の衣の食感ですが、反面、肉質はとてもしっとりとしてジューシーで「ウェット」な舌触りです。
肉に歯を入れると、「ふぅんわり」、「ほっこり」として、噛み応えは「しっくり」、「しっとり」としていて、肉汁がジュワッとあふれ、何より旨味に鮮烈な「パンチ」があります。
うーん・・・・このトンカツは素晴らしく美味しいです。これほど人気があるのも実に納得の美味しさです。

味噌汁も、使っている味噌は普通のものに思えますが、味噌の香りが非常に良く立ち昇り、香りが良く、いかにも作り立ての新鮮な味噌汁と言う感じです。
具はシジミですが、身がフニフニとして、エキスが流れ出た感じで、やや火が通り過ぎたような・・・いかにも煮詰められた感じのものでした。その分、味噌にはシジミのエキスが良く溶け込み、汁はしっかりとした美味しさです。

味噌汁だけを飲むと、味はやや濃い目に感じますが、ご飯やトンカツと合わせて食べ始めると、丁度良い塩梅である事が判ります。
漬物は市販品らしき黄色のタクアンで、パリパリッとする軽い食感、ほんのりと甘味を感じます。

ご飯は、やや硬めに炊かれていますが、食感に「モッチリ」とした適度な粘りと重さがあり、飯粒はさほど立ってはいませんが、米の旨味がしっかりと乗っていて、これまたフレッシュな美味しさです。
全くベシャとしておらず、かと言ってパサパサもせず、ジャーで長時間保温したような臭みも絶無なのはお見事です。
トンカツも、味噌汁も、ご飯も・・・作るそばからどんどん売れてゆく、超繁盛店ならではのフレッシュさとアドバンテージを強く感じます。

山盛りのキャベツは、水らさらしたような感じではなく、どちらかと言えばややドライな感じです。
しかし、決してゴワゴワと硬いのではなく、適度なしんなり感も残り、細切りと言うこともあってか、シャクシャク、シャクシャクと軽く大量に食べられるサラリとした仕様になっています。



 ヒレカツ理想の「形」「厚み」

こちらの「ヒレカツ」は、「カリカリ」「ガリガリ」するドライな衣と、「ジュワッ」とジューシーで柔らかでソフトなヒレ肉の「コントラスト」が良い感じです。
いかにも繁盛店と言う感じの、フレッシュで若々しく、実に「パンチ」と「気合」のこもったトンカツですね。

ただ、逆に言えば・・・・植物油でじっくりと低温で揚げたサクサクとする食感の軽い衣に、「塩」だけをかけて、肉の旨味を隅々まで堪能しつつゆっくりと食べるような、繊細系、高尚系の味ではないように思います。
カツにかける調味料は一種類のソースのみですが、これは大手メーカーの市販の中濃ソースのようなタイプと感じられました。
ちなみにカツに臭みやクセがないので、何も付けずに食べても十分に美味しく食べられます。

肉の色は濃くてやや暗色ですが、ともかく「新鮮な肉」「フレッシュな旨味」と言う感じで、かなり美味しいです。そして、味はヒレ肉らしく「あっさり」していながら、非常に旨味が「濃厚」です。
筋とか硬い部分とか、食感の不均一な部分が一切なく、肉の繊維や脂などの掃除が良く行き届いていると言うか、棒状のヒレ肉の中心の「芯」の部分をぜいたくに使っているような肉質の良さがあります。
歯応えはどちらかと言えばフワッとして「ふくよか」で「ソフト」な部類だと思います。
肉にも揚げ油にも獣臭さのようなものは全く感じられず、他店で食べる2000円クラスのヒレカツと肉の「質」的には全く遜色ないと思います。

会計は食後の手会計です。


食べ終わって感じた事は・・・・実は、ここ半年ほどで15軒ほどのトンカツ屋さんで、ヒレカツを中心に食べ歩いて来ましたが、正直、こちらのヒレカツはその中でも「トップスリー」に入るほどの秀でた美味しさに感じられました。
それでいて値段は最も安かったですが、値段とは関係なく考えても、最もリピートしたくなる味でした。
何より不思議なことに、美味しいだけでなく、なぜか非常に安心できる食べ心地なのです。

そして、食べ終わってから少しして気付いたのですが・・・・実は以前、私が最も美味しいと感じたある名店の「ヒレカツ」と共通している事実が一つあることに気付きました。
それは、ズバリ・・・・ヒレカツの「サイズ」と「厚み」と「形」です。
形はいわゆる「小判型」で、肉の厚さは 1cm 〜 1.5cm位です。

そして・・・・しばし熟考の末、このサイズ、この形、この厚み・・・・こそが、実は、ヒレカツを最も美味しく食べられる理想の条件なのではないかと思い始めるに至りました。
豚のヒレ肉の部分自体は「棒状」なので、ちょっと高価なヒレカツですと、その「棒」のままの形で上手に揚げられている事が多いです。
しかし、この「棒状」のカツを包丁でカットして出されると、ちょうど「巻き寿司」の海苔のように周囲にのみグルリと衣が付く事になりますが、こうすると、衣よりも肉が直接舌に触る面積が多くなります。
つまり、直接に「肉」が歯や舌に触れるとともに、体積的にも衣の比率が少なくなってしまい、それでは衣と肉のバランスがあまり良くないと思うのです。
これでは、「トンカツ」と言う調理法ならではの・・・・香ばしい「衣」で包んだ肉の美味しさ、衣の持つ魔力、その醍醐味が薄れてしまう・・・・気がしてならないです。

トンカツは単なる豚肉の「素揚げ」とは違うのです。
要は、「サンドイッチ」の原理です。例えれば、ハムをそのまま食べても良いですが・・・・これをパンで挟んで食べると、まったく新しい美味しさが現出します。ハムをパンで挟むことによる「マジック」です。そのままハムを食べるよりも何倍も美味しくなることでしょう。
つまり同様に、トンカツもその衣と肉の「出会い」によって新しく生み出される「マリアージュ(複合味)」の妙味にこそ、その意味、その真価があると思うのです。
しかし、これらの「出会い」系の美味に、何より大切なのはお互いのバランスでしょう。

サンドイッチでも、「具」と「パン」のお互いの厚み、そのバランスによって味は大きく「左右」されます。
当然、トンカツも「肉」と「衣」のバランス、そしてその形状が、使われる肉の質や衣の材質以上に、まさにトンカツの「味」そのものに大きく影響している・・・・と悟りました。

たとえば、高級店や高価格店のトンカツになりますと、やたらと分厚いトンカツや、やたらと大きなトンカツが登場する事があります。
それだけの分厚い肉や大きな肉に見事に火を通す「技術」や「職人芸」にはほとほと感心しますし、確かにそれは「凄いこと」だとは思いますが、では、それが必ずしも美味しいかと言うと・・・・・
分厚すぎる肉、大きすぎる肉は、肉と衣の比率がどうしても怪しくなって来てしまうと思います。
いつしか、理想のバランスから離れ、職人さんの「揚げる技術自慢」「ひとりよがり」「自画自賛」になってしまっていないでしょうか・・・・。

お寿司などでもその美味しさにはタネとシャリのバランスが最も大切です。
寿司でも過度にタネが大きすぎるお寿司は「話題性」はありますが、味のバランスと言う点では、真の寿司好きには歓迎されないでしょう。

そう言う意味で、ヒレカツも最も美味しく食べられる、理想のサイズ、理想の形、理想の厚み、があると思います。
そして、間違いなく、私には、こちらのお店のヒレカツが、この「理想三条件」を見事なほどに具現していると感じました。



(すべて完食)










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