01ch グルメ食べ歩き
安斎
(東京都 杉並区)

店名 うなぎ 安斎(あんざい)
住所等 東京都杉並区荻窪4-12-16 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2006年8月中旬 鰻丼 3000円




〜安斉〜



2006年8月中旬 鰻丼 3000円

今回は、都内の鰻屋さんの中でも「荻窪に安斎あり」と巷で評判の「うなぎ 安斎」(杉並区・荻窪駅)さんを訪問してみました。
お店は、荻窪駅南口から歩いて4分ほどの住宅地の一角にあり、ロケーション的にはあまり目立たない立地ですが、創業以来「鰻」一筋で高い評価を受けているようです。




JR荻窪駅の南口から道路を数回曲がってお店を発見しました。この道路を後300mほど行くと、「環八通り」です。
駅に近いせいか、この通りはやたらと「路線バス」がゴーゴーと休みなく通ります。




場所柄、ご近所の常連客の方が多いのか、どうやら「ノレン」の出ないお店のようです。
「うなぎ安斎」の大きな看板がなければ、知らない人は普通の民家のように思う人もいる事でしょう。

赤レンガ貼りの建物は三軒のテナントが入居しているようです。
「安斎」は左側、建物の三分の一のスペースになります。

鰻を焼いた煙は、道路側へ出すのではなく、外壁のパイプを通して屋上へ排出しているようです。




入口の引き戸を開けると・・・・照明の落とされた客席と、厨房の小窓が現れます。
一階は、四人掛けテーブルが二卓のみで、ほとんど「個室」のようなスペースですが、この狭さが、むしろ何とも言えない「プライベート」な雰囲気を醸していて良いですね。

厨房から「腕の長さ」で、すぐに客席があるイメージです。
逆に、この間合いだからこそ、お店と客の「一体感」が生まれ、昔からの「馴染み客」の方にはきっと居心地が良いのでしょう。

先客のテーブルに「鰻丼」の赤い器が見えます。
ちなみに、こちらのお店では、「白焼き」などもあるようですが、いわゆる「ご飯もの」は、四角い重箱に入った「鰻重」はなく、丸い丼に入れた「鰻丼」のみとなるようです。

紺色のノレンの奥に二階へ上がる階段があります。




狭い階段を昇って、二階席へ到着しました。
ちなみに、この日は事前に電話で予約し、三名で訪問しました。

二階席も、一階の面積からイメージする通りのこじんまりとしたスペースです。
畳と襖(ふすま)の和室に、座卓が三つ置かれています。

一切の虚飾を廃した、実にシック&シンプルな和室が、むしろ「新鮮」なイメージにも映ります。
座布団がビニール製なのはご愛嬌でしょう。扇風機が回っていました。




お茶と山椒です。箸袋も白無地のシンプルなものです。
「山椒」はかなりフレッシュで香りが強く、「鋭角的」な強い風味ですので、かけ過ぎには注意した方が良いと思います。

着席しても、特にメニューなどは出されず、注文も既に電話で済んでいますので、後は「うな重」の登場を待つだけです。
こちらのお店は、電話予約をする際に到着予定時刻を告げますと、その客の到着時刻に合わせて仕事にかかるそうです。
そのため、ほとんど待ち時間なく、焼き立ての鰻丼を頂ける至便なシステムになっています。

ただ、逆に言えば、客側が時間に遅れますと、先に鰻丼が出来上がってしまう可能性もあります。
この日、私達は予約電話で告げた到着予定時刻の5分前に到着し、入店させて頂きました。





さて、席へ着いてから約7分ほどで、「鰻丼」が登場しました。

ちなみに・・・・活きているウナギを桶から出して包丁で割き、串を打つことから始めますと、鰻のサイズにもよりますが、どれほどのベテラン職人でも、料理の提供まで早くても30〜40分前後はかかります。
大きな鰻になりますと「蒸らし」に時間がかかり、一時間以上かかることも珍しくありません。

朝にまとめて一日分の鰻を調理し、注文ごとに炙り直して出すお店もありますが、調理してからあまりにも時間が経ってしまったり、保存の状態が悪かったりすると、すぐに鰻の身が硬くなってしまい、限りなく「スーパーで売られている鰻」の食感に近くなってしまいます。

そう言う意味では、美味しい「割き立て&焼き立て鰻」を食べるには、どうしても客としては長時間待たされることになりますし、お店としても客の回転が極端に悪くなると言う・・・デメリットがある訳ですが、
お店と客側が、お互いきっちりと予約時刻を厳守することで、こういう「待ち時間ゼロ」で、「割き立て&焼き立て鰻」が食べられるシステムも実現可能なのですね。実に画期的なことだと思います。





まずは、鰻だけを食べてみますと・・・・舌先で「ふわっ・・・」とトロける柔らかさです。
ただ、割としっとりとしたウェットな食味で、備長炭焼きの特徴である「パリッ」&「こんがり」とした感じは控えめです。
「備長炭」の香りもさほど強くなく、何と言うか・・・・「焼き」よりも、主に「蒸らし」でウナギに熱を通しているような印象です。

こちらの鰻の食感を「トロける柔らかさ」と評する声をよく聞きますが、このコシのない柔らかさは活きた鰻の「割き立て」だからと言うよりも・・・・おそらく「蒸らし」がかなり長めに成されている事によるものだと思います。
蒸せば、鰻の身肉はフワフワになり、皮もトロトロに柔らかくなりますが・・・・やり過ぎると鰻の風味や油も抜けてしまいます。
鰻は一尾一尾で、微妙に大きさや身肉の締まり、油の乗り、皮の厚みも異なりますので、その見極めが難しいところです。

実際、味に関しては・・・・「蒸らし」により、油がかなり落ちていて、同時に鰻のギラギラした精分も抜け切ってしまった印象で・・・・鰻の旨味やコクも控えめです。
もう少し蒸らしが短くても良いような気がしますし、コッテリとした鰻やジュワッとほとばしる甘い油が好きな方には、思うように旨味が舌に乗ってこないと言うか・・・・食べていて、ある種の「もどかしさ」や「もの足りなさ」を感じるかも知れません。
ただ、その分、口当たりはサッパリとしており、脂っこいのが苦手な方や、年長者の方には喜ばれそうな・・・・胃腸への負担が極めて少なく、実に消化が良さそうなタイプです。

ただ、油やコクが少なめにもかかわらず、口当たりには意外に「コテッ・・・」としていて、ややクドさを感じます。これはおそらく「タレ」の粘度によるものでしょう。
その「タレ」ですが、甘味の少ない硬派タイプのタレです。ただ、やや生醤油のような醤油が立った風味と・・・・微妙なしょっぱさを感じます。





鰻の断面を見てみました。

写真で見ても「皮目」が薄く、「フニャ・・・」「シナッ・・・」としていて、シワが寄るほど、徹底して鰻を「蒸らした」印象です。
そのため、皮目のゼラチン質の「ネトッ」とする粘りや、「トロン」とするほどの厚みもなくなり、歯応えが極めて「淡白」です。

身肉も、あまり厚みはなく、味わいも油が落ちて「あっさり」としています。
これだけ身肉があっさりとしていますと、普通なら小骨が舌に触るところですが、小骨は丁寧に取り除かれていて、ほとんど舌に触らないので良かったです。





また、写真を見ても判るかと思いますが、あまりご飯にタレがかかっておらず、特に「重箱」と違って「丼」は、「深さ」がありますので、下の方はほとんど「白米」のままの状態でした。
そのため、「うな丼」としての、鰻とご飯との一体感と言うよりも・・・・鰻をおかずにして、白いご飯を食べる設定・・・・と言う印象を受けました。

そのご飯ですが・・・・鰻丼には、一粒一粒が硬めに「ピンッ」と立ち揃い、間に空間が開く位の炊き加減が合うと思うのですが、こちらのご飯は、炊き上がりがやや柔らかめです。含まれている水分が多い感じで、食感が「モッチャリ・・・・」と、つぶれたように感じられます。
そして、おそらくは炊き上がり時に、湯気抜きでご飯を軽くかき混ぜる際に、「練り回して」しまったような・・・・粘り気が感じられ、飯粒同士が粘ってしまい、あまり口中で「フワッ・・・」とほぐれませんでした。

また、ご飯に特有の「旨味」や「モチモチ感」が少なく、非常に「アッサリ・・・」「サラッ・・・」としていて、よーく噛んでも、味が「薄い」「水っぽい」イメージです。
おそらく、米を研ぎすぎていて、かつ、釜の中に張る「水」の量が多すぎるのでしょう。ただ、これは、あっさりとした鰻とのバランスを考えて、意図的にあっさりとした米の銘柄や炊き方を選択した結果なのかも知れません。

私も自宅で、いろいろ水加減や火加減を研究しながらご飯を炊きますが、米を研ぎすぎたり、釜の中の「水」の量が多すぎると、「こう言う味」になります。つまり、米の旨味が抜けて、水の味と「置き換わってしまう」イメージになります。
米屋さんの話によりますと、昔と違って今は精米技術が格段に発達しているので、米を「研ぐ」と言うよりも「洗う」程度が丁度良いと聞きます。むしろ、今の白米は力を入れて研ぎすぎると、肝心な「米の旨味」まで削ってしまう事になるそうです。

また、今まであまり「鰻丼」・・・・つまり、鰻を「どんぶり」で食べることは少なかったのですが、食べ進んで行くと、ある「もどかしさ」を感じ始めました。
それは・・・・「鰻」と「ご飯」の両者のバランスが取りづらいと言うことです。

私の鰻の食べ方は、一口で食べられる大きさに鰻を箸で四角いブロックに切り分け、その下のご飯と共に「押し寿司」のような形にして頬張るのですが、底の平らな「重箱」と違い、底の丸い「丼」ですと、ご飯の厚みが一定せず、中心部ではご飯が「深すぎ(多すぎ)」、逆に外周部ではご飯が「浅すぎ(少なすぎ)」・・・・一口毎の「鰻とご飯のバランス」が一定にならないのです。
「タネ」と「シャリ」のバランスが命である「寿司」ほどではありませんが、四角い「重箱」には、常に「鰻とご飯のバランス」が保てるメリットが備わっていたことに改めて気付きました。

ただ一方で、「重箱の隅を突付く・・・・」と言う言葉があるように、真四角な重箱はご飯を食べるには決して食べ易い形ではありません。
ですので、「うな丼」や「天丼」などを、一気に「かき込む」ように食べるのが好きな人にとっては、底の丸い「丼」(どんぶり)はストレスなくご飯をかき込む事が出来、むしろ「丼」に入った鰻丼の方が好きだと言う方もいることでしょう。
この辺は、客の食べ方や好み次第と言う事になるかと思います。





肝吸いは「ヒンヤリ・・・」とした「冷製」でした。
冷たい肝吸いは初めてです。おそらく盛夏の暑いシーズンだからでしょう。

ただ、主役の「肝」は、まるで一度「下茹で」をしたかのように、旨味が「薄く」感じられ、「肝」特有のほろ苦味もほとんど感じられませんでした。
噛んでも、あまり味が感じられず、「ペラペラ」とした食感とあっさりとしたツユの味だけが伝わって来ます。
おそらく、ヒンヤリ冷たいゆえに・・・・「肝」の旨味が熱で活性化しておらず、旨味が湧き立って来ないのだと思います。





セットで添えられた漬物です。
「赤」色のミニトマト、「緑」色のキュウリ、「青」色のナス、「黄」色の玉子焼き、「白」色のラッキョウ・・・・・
なるほど、「色彩効果」を考慮しての盛り合わせでしょう。「なかなかやるな」と言う印象です。

いずれの漬物も「業務用」っぽさがないのは良いですね。おそらく自家製の漬物だと思います。
ただ、ラッキョウは匂いからすると古漬けのようで、濃い糖分で表面がニチャ・・・と粘り、あまり口直しのサッパリ感は得られませんでした。
玉子焼きは、もともとウナギと相性がとても良いですので、彩りにもなりますし、なかなか良いアイディアと思いました。



さて、食べ終えての感想としては・・・・・
こちらのお店は「グルメ本」などへ掲載される事も少なくないようですが・・・・・実際に訪問した印象としては、杉並区の住宅地の一画に溶け込んだ、無理な背伸びのない、いわば杉並区ローカルの地元指向のお店だと感じました。

店の佇まいも、内装も、接客も・・・・実に気さくな雰囲気で、取り澄ました気取りや無駄な虚飾がどこにもなく、あくまで住宅地の中にある小さなお店らしい、「等身大」の地道な経営と言う印象です。
実際、提供される「うな丼」もまた、こちらのお店の「店構え」や「雰囲気」からイメージするとおりの内容であり、どこの町の商店街にも、必ず一軒や二軒はある、地元の客層に根ざしたタイプの鰻店だと思うのですが・・・・それでいて、なぜ大仰にマスコミに取り上げられるのか・・・・少々不思議な気もします。

また、その「うな丼」ですが、使っている養殖鰻の質はあくまで普通ですが、調理の過程で「蒸らし」の時間をかなり長めに取って仕上げられている感じの印象を受けました。
その甲斐あって、鰻の身肉はしっかりと油が抜けていて、口当たりが実にしっとりとしていてかなり柔らかく、食感に一切の「荒っぽさ」がなくなっています。
ただ一方で、逆に言えば、その分、味わいにパンチがないと言うか・・・・食味がかなり大人しいとも言え、期待しすぎてしまうと、逆に物足りなさを感じる人もいるかもしれません。

ただ、鰻だけでなく、ご飯も、口当たりや旨味がかなりあっさりとしており、ご飯にかかるタレも少なめですので・・・・全体が「あっさり」とした薄味で統一されている事を考えますと、おそらくこの辺はお店のポリシーなのでしょう。
実際、後味が、鰻を食べたとは思えないほど「スッキリ」としています。鰻は好きだけど脂っこいのが苦手な方や、年配客の方には特に喜ばれそうに思います。
ちなみに、この日の同行者二名は、人後に落ちない相当の「鰻通」ですが、こちらのお店の鰻丼の味については、私と全くの同意見でした。



(すべて完食。)



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